こんなEU、あんなEU~日常に見るヨーロッパ | Life in the EU

 香港に住んでいたとき、「シュウェップス」ブランドの炭酸飲料をよく飲んだ。高温多湿の気候では、なぜかスカッとした炭酸水が飲みたくなる。せっかく外国にいるのだから、日本の飲料メーカーのものは避けたいと思っていたところ、洒落たラベルのこの銘柄が目に付いた。

そのシュウェップス社、正式名オレンジーナ・シュウェップス・グループが、驚くことにこのほどサントリーホールディングス社に買収され、なんと「日本製」のジュースとなってしまった。ネットニュースによれば、買収額は約26億ユーロ、日本円にすれば3000億円を越える金額で、かなりの大型な取引だったようだ。

 この清涼飲料水メーカーは買収前にヨーロッパ大陸内のみならず、世界60カ国以上に販路を拡大していた。08年の総売上高は約1383億円。どの国にも国内に飲料メーカーがあるだろうに、これだけ売れているというのは、民族、人種を超えて魅力的な味を提供しているためであろう。

たしかに主力商品の炭酸系シュウェップスに限らず、果汁ドリンクの「オアシス」「トリーナ」と品ぞろえも豊富で、私自身の香港時代の印象では、味も悪くなかった。ハイキングやテニスで汗まみれになったあとに、冷たくしたこの飲料は心も体もリフレッシュさせてくれたものだ。

 サントリー社は、これまでもヨーロッパでのビジネスに積極的だった。1983年にフランス・ボルドーの名門ワイン会社「シャトーラグランジュ」を買収したのを手始めに、コニャックメーカー「ルイ・ロワイエ社」、英国ではウイスキー会社「モリソン・ボウモア社」の経営権を取得し、すでに酒類の世界で確固たる地歩を築いてきた。

これらのヨーロッパ銘酒は当然、日本にも入る。サントリーと言われて、すぐに「ダルマ」「角瓶」「純生」しか思い出せない世代からすると、昨今の豊富な酒類、飲料のレパートリーに感嘆するしかない。(日暮らし)

http://www.asahi.com/business/update/0924/TKY200909240271.html
http://www.suntory.co.jp/news/2009/10577.html

40年以上東西を分断してきた壁が崩壊して20年。ベルリンという都市は、市街地を分断されるという特殊な事情を経て発展してきた。日独の建築家と都市計画担当者が集まったシンポジウムでは、ベルリンの変遷と21世紀のあり方について様々な意見が交換された。

第2次世界大戦でベルリンは空襲を受け、産業、知識層、西側のユダヤ人や東側のキリスト教徒、彼らの文化やアイデンティティを感じさせるものを全て失った。戦後復興でも、西側は個人主義を背景に、個別住宅のアメリカ型を目指したのに対し、東側は共産党体制下での集団主義をベースに、集合住宅が建てられるソ連式であった。東ベルリンのモデルネと呼ばれる近代建築は、未来の実験台とも言え、注目されたが、しょせん一時的なものであった。

冷戦下の東西ベルリンは1950年代から開発を競い合う。だが、70年代になると、戦後の30年間の開発が果たして正しかったのかなどと批判的に歴史を見直す動きが始まり、1980年代後半に都市開発計画の国際コンペが開かれることになった。

このコンペで採用されたのは、斬新なメトロポリス(未来都市)計画ではなく、欧州都市の伝統を取り戻す保守回帰的なヒルマーとザトラーの案であった。部分的には日本の磯崎新氏を始め、世界的に有名な建築家も参加した。磯崎氏の案が取り入れられたのは、欧州都市についてのイメージを現代風に甦らせたからである。

磯崎氏の説明では、19世紀までに発展した欧州都市は、中庭があること、建物の高さが抑えられていること、ファサード(正面の外観)が街の景観(顔)を作っていること、が特徴として挙げられる。20世紀の都市として中庭の中に公共の施設をつくるなど、古い町の構造に新しい要素を取り入れて近代的な風格を醸し出した、新しい形で伝統を復活させていくことを「ネオコン」と彼は呼んでいる。

20年にわたってベルリンの復興開発に携わってきたハンス・シュティマン氏は、「この都市は歴史と時代の進展がうまく融合した形となっている」と述べ、グローバル化された今日、ベルリンのアイデンティティを鮮明にし、世界各地から訪れたいと思わせられる独自の魅力を作り出していきたい、と締めくくった。(みかん)

ベルリン日独センター主催シンポジウム
「壁崩壊後のベルリン ――<ヨーロッパの都市>としての伝統を守る首都への回帰」
2009年10月27日(火) ドイツ文化会館ホール
http://www.jdzb.de/images/stories/documents/j1284_program_jap.pdf

ベルリンの代表的な建築についてまとめてあるサイトを発見↓(神戸大学平山研究室)
http://www.edu.kobe-u.ac.jp/hudev-hiraken/contents/album/modern/Germany.htm

ソニーと、オランダの家電メーカー・フィリップ社との間に、共同開発の歴史があることをご存知でしたか? CD(コンパクトディスク)は1982年にソニーとフィリップスによって市場に導入され、今ではCD-ROMとして、コンピュータの外部記憶装置としても使われています。

70年代後半の音楽業界では、カセットに代わってデジタル記憶のディスクへ転換していく機運が高まっていました。当時、業務用PCMデジタルオーディオ機器で圧倒的シェアを得ていたソニーと、光学式ビデオディスクの規格を提唱したフィリップスが共同でCD技術を創造し、世界のレコードメーカーに働きかけた結果、音楽メディアの歴史的転換を迎えました。(下記URL参照)2社共同で開発したインタフェース規格「S/PDIF」がデジタルオーディオ製品やコンピュータで使用されており、デジタルオーディオ信号を送信するスタンダードの一つになっています。

今のティーン世代にとっては、CDよりもDVDなのかもしれません。かくいう私も、CDは過去の一時期にあったディスクメディア程度の認識で、その開発の歴史をこれまで詳しく知ることもなかったのです。

しかし、近年にも両社で共同開発された技術がありました。Suica、Edy、おサイフケータイに使われている非接触ICカード技術の“近距離無線通信規格(NFC)”。国際標準規格として承認され、今や、パソコンなどの機器、交通機関、オンラインクレジットサービス、各種会員証などに利用が進んでいます。ソニーが「FeliCa」、フィリップスが「Mifare」と商標登録したこの技術は、世界の交通機関で利用されています。(くるみ)

http://www.orsj.or.jp/~archive/pdf/bul/Vol.44_10_547.pdf

東京・上野にある国立西洋美術館で開催されている『古代ローマ帝国の遺産』展に行ってきました。同展は、大きく3つのセクションに分かれていて、順に「帝国の誕生」、「アウグストゥスの帝国とその機構」、「帝国の富」がテーマ。ローマ帝国を築きあげていった偉人たちの彫像や、フレスコ、豪華な宝飾品、インフラが整備されていた水道システムの一部などが各テーマに合わせて展示されています。

今回の展示会で、私が特に面白いと思ったのは、セクション3にあるポンペイの壁画。ナポリ近郊にあった街・ポンペイは、西暦79年に、火山の噴火により、火山灰に埋もれて街自体が消滅してしまいましたが、それまでは、ローマ人の余暇地として栄えていました。

そのポンペイの街中の邸宅から見つかった庭園描写の壁画が展示されています。一部ははがれ落ちていますが、草花の模様ははっきりとわかります。また、展示室の奥にある映写室では、最先端のコンピューター・グラフィックス技術を駆使、前述の壁画が元の家の壁に復元されているようなリアルな映像が映し出されています。壁画の素晴らしさ、そして壁画が置いてある部屋の素晴らしさは、私の想像をはるかに超えていました。

かつてこの壁画があった部屋は、燦々と光が降り注ぐ本物の庭へとつながっており、まるで楽園のような、大変居心地のよさそうな空間です。今より約2000年も前のイタリアの生活の豊かさや芸術性の高さに改めて深く感じ入りました。(パクチー)

参考URL:
『古代ローマ帝国の遺産』HP http://roma2009.jp/index.html
『日本におけるイタリア年2009』HP http://blog.excite.co.jp/italiainjp/
国立西洋美術館HP http://www.nmwa.go.jp/jp/index.html

不平不満を大合唱! The Complaints Choir

Posted by: eueublog on: 2009/11/05

 皆さんは、日々のストレスはどのように発散していますか。普通は、ジムに行って運動したり、友人とおしゃべりしたり、美味しいものを食べたり…。しかし、一風変わった発散の仕方もあります。この秋東京で、不平不満を歌にし、負のエネルギーをポジティブなエネルギーに変える「不平の合唱団」のコンサートが開かれるのをご存知ですか。

このプロジェクトはフィンランドのヘルシンキを拠点に活動する若手アーティスト、テレルヴォ・カルレイネンとオリヴァー・コフタ=カルレイネンが始めました。カルレイネンさんたちが一般人から不平不満を集め、それに曲をつけて合唱曲に仕立て、大声で街中で歌うというものです。

2005年、イギリスのバーミンガムで始まった以来、ヘルシンキ、ドイツのハンブルグ、スウェーデンのマルメなど、世界約40の国と地域で行われてきました。今回、11月28日から3ヶ月間、日本で初お目見え。森美術館において、日本語による「不平の合唱団」が披露されます。

 不平の中身は個人的な悩みから、グローバル化や政治への不満まで非常に幅広い内容。その地域独特の不平不満もあれば、国境を越えた悩みもあります。ヨーロッパの人々の歌う不平と日本人の不平を比べて聞いてみると、文化の違いや共通性が見えておもしろいかも知れません。(モコちゃん)

森美術館
http://www.mori.art.museum/jp/index.html

人が靴を選ぶとき、何をいちばん重要なポイントとするのでしょうか。その質問にはあるネットサイトが答えを出しています。それは、つま先部分がゆったりしていて、足指5本がすべて動かせられ、ヒール部分も広く安定していること。日常的に使うわけですから、窮屈なものが歓迎されないのは言うまでありません。

 さらに同サイトは、自分の足の形に合ったものを、通勤、旅行、運動などの使用目的を明確にして選ぶことが大事で、ひたすらブランドやデザイナーにこだわるのはナンセンスだとも指摘しています。
ただ、ドイツのビルケンシュトックの靴は、「自然から遠ざかった人間の足を自然な状態に解放する」というのがコンセプトで、履きやすさを求めるならば、このブランドにこだわる価値は十分にあります。特に、さまざまな活動をする伸び盛りのキッズにはうってつけの製品でしょう。

 ビルケンシュトックの靴は、「臣王の靴のマイスター」として、1774年の教会の公文書に記録されているヨハネス・アダム・ビルケンシュトックを祖としています。この技術が連綿と3世紀にわたって受け継がれ、サンダルやクロッグ、シューズで、人間工学に合ったモデルが開発されてきました。

 クロッグモデルとして代表的なのは、2004年にデビューした「ローリー」。日本でも一躍人気商品となり、「ビルケン」のブランド名を隅々まで行き渡らせました。つま先まで包み込むような安定感、素足でも靴下を履いてもフィットする感覚。硬いコンクリート道を歩いても足に衝撃を与えない。まさに、神から与えられたような靴なのです。

値段は1万5000円ほどとクロッグタイプにしては高めですが、足、特に足裏が人間の健康を大きく左右するという観点に立てば、利用者はビルケン靴をけっして高い買物と思わないはず。買物とはしょせん、投資額と満足度が見合うかという問題ですから。(日暮らし) 

ビルケンシュトック公式サイト
http://www.birkenstockjpn.co.jp/product/birkenstock/

靴の選び方について
http://tamamed.web.infoseek.co.jp/dr-m/j_shoes_fitting.html#select

世界的な経済不況にあって、多くの人たちが仕事を奪われている今の時代、自分の暮らしで本当に大切なことは何だろう、という問いかけに、オランダの6人のデザイナーたちが作品を出展しました。

トレジャーハント1
「トレジャーハント:心を捉えるものは何?」(Treasure Hunt-Vanitas or Humanitas)と銘打った東京都港区のギャラリーLe Bainで開かれた展覧会。展示場は、日の光が差し込むオープンなパティオを一角にしたガラス張りの空間で、6つの作品が何気なく置かれています。

トレジャーハント2

きらきら輝くファンタジックなシャンデリア。電球から通常無駄に放熱されるエネルギーを動力に、照明のシェードが回る仕組みです。環境への負荷が少ないからと照明器具は最近、電球からLEDに移行しつつあるのですが、LEDの色は単調で温かみに欠けるきらいがあります。ここに出されたものは、今の時代に見直されるべき機能性と効率性を併せ持った明かりのデザインです。

トレジャーハント3
奥に置いてある青い机とイスの個人スペースは、“理想の仕事のための模型ルーム”。人間の移動が多い現代、空間をどのように仕切れば生産的な仕事ができるのでしょうか。そういうテーマについてデザイナーが出した答えが“他人との隔離・他人と異なる環境”。個人の領域が可変的に表現されています。

5つの小さなイスは、中国・北京の道端で見かけた外で働くさまざまな職業の人たちの椅子。自分用にカスタマイズされた世界に一つだけのイスです。

どれも見た目にかわいらしいが、それでいて強い作品の意図を感じさせます。私の心を捉えたデザインの意図に、しばし思いをはせてみたのでした。(くるみ)

http://www.le-bain.com/gallery/lebain/index.html

店の名前「ボルツァーノ」はイタリア北部、オーストリア国境にも近く、アルプス山脈東部のチロル地方南部に位置する町。この地方独特の料理を専門に提供するレストランを訪れた。

スペッツレ

手前のボールは、ジャガイモの揚げスペッツレ。一番奥は平たい乾パンのようなシュッテルブロット。

チーズ、ハム、前菜各種、パスタ、パン、どれをとっても一般に知られるイタリア料理とは異なっている。ジャガイモや肉類、キャベツを多く使ったメニューはむしろドイツ料理を彷彿とさせる。

特徴的だったのは、カネーデルリ。写真で見るとバニラアイスのようだが、セモリナ粉を牛乳、バター、チーズとあわせて練り、団子状に丸めたふわふわ感のある手打ちパスタで、ミートソースと絡めていただく。家庭料理の食感があり、アットホームな気分が味わえる。

カネーデルリ

ワインも数種類試したが、中でも南チロルのブドウ品種スキアーヴァとラグラインから作った「サンタ マグダレーナ」という赤ワインは透明感のある色でありながら味わい深く、美味だった。食後のデザートもまた、幸福感を増幅させてくれること間違いなし。(みかん。写真も)

BAR BOLZANO 
http://www.toku-toku.net/bolzano/index.html

オーナーである三輪シェフのコンセプト
http://pws.prserv.net/miwatei/miwatei/concept/index.htm

ハプスブルグ家―。世界中に知られるこの名家は、13世紀から20世紀初頭までヨーロッパの繁栄と栄華を独占したロイヤルファミリーである。一族は芸術を愛し、歴代の王は最高級の美術品を収集した。そして、多くの優れた芸術家を庇護し、宮廷画家たちは素晴らしい作品を生み出し、残していった。

それらの作品を現在、東京・六本木の国立新美術館で見ることができる。「THEハプスブルグ」展が開催されており、ウィーン美術史美術館とブダペスト国立西洋美術館の所蔵品の中から厳選された、ハプスブルク家ゆかりの作品が展示されている。開催期間は2009年12月14日まで。

展示品は主に王家の肖像画を含む絵画が中心。ハプスブルク家二大美女と言われるエリザベート皇帝とマリア・テレジア、そして皇帝たちの肖像画では、権力者たちの豪華な装身具やドレスの細部が見事に描かれている。当時のハプスブルグ家の栄華を象徴しているようで素晴らしく、見ていると王宮の世界へと引き込まれてしまうほどの迫力がある。

他の絵画もヨーロッパの名だたる画家たちの傑作ばかり。ルーベンス、レンブラント、エル・グレコ、ベラスケスなど、約50名の画家たちの秀作が一堂に会している。

絵画の他には、実際に使用されていた食器などの工芸品も展示されており、当時の王族の優雅な生活が垣間見られて面白い。明治天皇からオーストリア・ハンガリーの皇帝に贈られた画帖と蒔絵棚も展示されている。画帖には明治時代の日本の風景や人々の暮らしの様子が生き生きと描かれており、これも現代の日本人には大変興味深い。

今回展示されている120点は、ハプスブルク家が収集した芸術品の一部にすぎないが、それでも世界にその名をとどろかせている歴史的ファミリーのコレクションの偉大さに圧倒される。(パクチー)

参考URL:
ハプスブルグ展公式HP: http://www.habsburgs.jp/
国立新美術館のHP: http://www.nact.jp/
シェーンブルン宮殿: http://www.schoenbrunn.at/de/

今、東京駅八重洲口の仮囲いに、オランダと日本の交流にまつわる歴史上の出来事や人物、オランダの街並み、そしてオランダを象徴する風車やチューリップなどの風景が描かれたコラージュ画が飾られています。このコラージュ壁、立ち止まってじっと見入る人もいるほど、鮮やかで斬新なデザインです。

東京駅のオランダ壁画
日本とオランダは江戸時代に通商関係を開始してから、今年で400年になります。両国の長い友好関係によって多くのことが日本にもたらされました。江戸時代200年以上の鎖国政策の中でも、オランダとの貿易は続けられ、オランダ語で西洋の学問を研究する「蘭学」が盛んとなり、特に多くの医学の知識が日本にもたらされました。

また、河川技術についてもオランダ人の大きな貢献がありました。明治時代に、ファン・ドールン、エッシャー、デ・レイケなどのオランダ人技師が明治政府から招かれて来日、河川の治水工事の調査や工事に携わりました。

特に、デ・レイケは30年もの間日本に滞在し、幕末時代から洪水の被害にあっていた木曽三川(木曽川、長良川、揖斐川)の改修に功績を残しました。長良川沿いにある船頭平河川公園には、彼の功績をたたえた像が建てられています。山高帽子に三つ揃え、右手にステッキ、左手を腰にあて颯爽としています。

身近なところでもオランダを感じることができます。ビール、ランドセル、ポン酢など、普段使っている日本語にはオランダ語が元になっている言葉も。また、日本で画家フェルメールの展覧会が催されれば、お客さんが長蛇の列をなす人気ぶり。両国の長い交流の歴史は今も続いているのです。(モコちゃん)

 
国営木曽三川公園 http://www.kisosansenkoen.go.jp/index.html

徳島県美馬市 http://www.city.mima.lg.jp/4/64/000278.html

 

December 2009
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