Posted by: vjlu on: 2012/01/24
EUフォーラムをご利用いただきありがとうございます。EUフォーラムの記事は、2011年12月に更新したものが最後となります。
今後、EUおよび日・EU関係に関する最新ニュースは、駐日欧州連合代表部のウェブサイト(http://eeas.europa.eu/delegations/japan)および代表部のソーシャルメディアサイト(www.euinjapan.com)でご覧いただけます。なお、ソーシャルメディアは皆さまにご参加いただけます。どうぞご利用ください。
Posted by: eueublog on: 2011/11/29
元フィンランド大統領のマルッティ・アハティサーリ(1937-)さんの講演会(笹川平和財団主催「和平調停とは何か―アハティサーリ氏の経験から学ぶ」)を聴いた。ナミビアやコソボ、インドネシア・アチェなどの紛争地帯における和平合意に国連特使としてどう関わってきたのかの話はなかなか説得力があった。こうした平和構築のプロセスにおいて、今後、政府間レベルでの話し合いに加え、民間レベルでの仲介がさらに重要になるとの指摘にはなるほどと思った。2008年、こうした功績が評価されてノーベル平和賞を受賞したのだが、その後、一日30件の講演依頼が世界中から入ってくるようになったそうだ。
アハティサーリさんのお話を伺っているうちに、なぜか、「自利利他」という仏教用語が浮かんできた。自利利他とは悟りを得るとともに、他人にも仏法の利益を得させること。菩薩の心構えとして有名な言葉だ。
「自利自他」と言えば、自分の利益を得るだけのこと。おそらくアハティサーリさんは、自分の利益のために紛争の仲介を行っているわけではないだろう。それは壇上で話す彼の仕草や態度から伝わってくる。74歳になった今でも、今日は何か愉しいことがありそうだとワクワクしながら目ざめる、とも語っていた。
ああ、なんて素晴らしい人生なんだろう! おそらく自分の利益ばかり考えていたら、そんな気持には絶対になれないはずだ。人のため、世の中のために行うことが、自分のためにもなっているのだろう。これこそ、自利利他だ。教育学を専攻したというだけのことある。現在はロシア領だが、かつてはスウェーデン領やフィンランド領で陣取り合戦の舞台となったヴィボルグで生まれた元大統領は、一時期、難民になって暮らしたこともあるという。そうした経験が「自利利他」の精神を育んだに違いない。
彼のような菩薩が混迷を深める21世紀の国際社会には求められている。(ロニ蔵)
Posted by: eueublog on: 2011/11/28
最近、欧州の女性リーダーが新聞やテレビによく登場しているのを目にします。9月、デンマークで女性初のシュミット首相が誕生。10月に入るとギリシア危機で欧州金融安定基金(EFSF)拡充案の批准をめぐって、スロバキア初の女性首相ラディツォバー氏が目立っていたし、ドイツのメルケル首相も欧州の金融危機のカギを握っています。
女性リーダーが取り上げられるのは、リーダーになるケースが男性よりもまれだからという印象が以前は濃かったのですが、最近は女性として自信を持って働く姿が印象的に映ります。フランスのクリスティーヌ・ラガルドIMF専務理事が7月就任直後に「私の姿を見て、若い女性たちが、『どんな人生の選択もできる』と勇気を持ってくれたらうれしい」とコメントしていたのを覚えています。これからを生きる若い世代にとって今の女性リーダーの活躍ぶりはどのような姿として心に残るのかと頭をよぎりました。女性リーダーが増えれば世の中が変わっていく気がします。(くるみ)
Posted by: eueublog on: 2011/11/24
アジアの2大新興国であるインドと中国。経済面だけでなく軍事面でもライバルであり、インド側は、中国側が両国国境地帯の軍備を充実させていることや、インド洋沿岸の諸国にまで海軍の拠点をつくり始めたことに神経を尖らせている。
インド空軍はこのほど、EU 4カ国(英、独、伊、西)のユーロファイター社かフランス・ダッソー社から計126機もの最新鋭戦闘機を買うことを決め、近く入札が行われる。中国空軍への対抗が目的だが、インドの著名軍事アナリストがこのほど「欧州製戦闘機を買っても中国空軍の優勢を覆せない」という内容の論文を専門誌に寄せ、興奮するインド軍首脳に冷や水を浴びせた。
アナリストによると、ユーロファイター社のタイフーンとダッソー社のラファールは、「第4.5世代」の戦闘機。今年初飛行に成功した中国の「殲―20」(J-20)型戦闘機は「第5世代」に属し、レーダー類から探知されないステルス性を備えるため、欧州機は太刀打ち出来ないのだ。しかも全機の配備が終わるのは早くても2050年で、あまりにも遅すぎる。
欧州の2社は、タイフーンやラファールがなお世界最先端の戦闘機で、「殲―20」に対抗できると言い張っているが、第4世代や第4.5世代の戦闘機は、いかに改良してもステルス性を備えた第5世代の敵ではない。ロシアがスホーイ社のSu-33、Su-35を懸命に売り込む一方、同社のステルス戦闘機T-50の開発を急ぐのはこのためだ。インド軍がタイフーンやラファールで中国軍を圧倒しようという考えは、ザルで水をくむのと同様、無駄な結果に終わる。
別のアナリストは「中国空軍の近代化の成功は、自主独立の開発理念の結果だ。自前の近代的な軍事工業システムを完備しようという理念が、優れた国産兵器を生み出し、空軍全体の進歩ももたらしている」と指摘。これに対しインドの軍事力の整備は「条件反射式」で、中国にますます遅れる原因となっているとの見方が出ている。(しおせんべい)
Posted by: eueublog on: 2011/11/22
みなさんは、マルチーズという犬をご存じだろうか?絹糸状の純白で、光沢のある被毛が風にたなびくあの犬である。ドッグショー(犬の姿形を審査する「品評会」)では、無類の強さを誇る犬で、日本を含め屋内犬としては定番の犬種である。
一方で、みなさんはフェニキア人という名を聞いたことがあるだろう。紀元前、地中海全域を舞台に活躍し、その交易活動によって、古代オリエントで生まれた素晴らしい文明を地中海全域に伝えた人々である。いわゆるアルファベットの起源がフェニキア文字といわれ、今日の文明に多大な影響を残していった。ちなみにアルファベットのAは牛の頭の形を逆さまにしたものといわれている。
一見つながりの無さそうなこの両者の関係、実は3,000年前に出会わなければ、現代社会でこんなにも身近な存在にはなれなかったかもしれない。
マルチーズという名前は地中海のマルタ島からとったものとされている。もっとも、現在マルタ島でマルチーズを見かける事はない。そのマルタ島は、紀元前1,500年頃にはフェニキア人の貿易の中継地として、地中海諸国の中で最も殷賑を極めた場所だった。確かな裏付けはないが、もっとも有力な説として、マルチーズはアジア由来の小型犬をフェニキア商人がマルタ島に持ち込み、改良固定させたというものがある。初期のマルチーズは船員のペットとして船の中で飼育されることが多かったため、容易に貿易相手国に広まっていったそうだ。
そして、これを皮切りに、紀元前500年頃のギリシャでは陶製の壷や皿に白色長毛のマルチーズの姿が描かれ、ついには墓まで建てたられるようになった。ローマ人はマルチーズのために詩や肖像を残している。エジプトでは歴代の王家が、金の器で食事をさせたといわれ、15世紀のフランスでは大流行犬となり破格の価格で取り引きされていた。マルタ島がイギリス領となった1813年以降は、ビクトリア女王をはじめとする王室貴族の寵愛を一身に受けるようになり、世界的に知られるようになった。
人類が愛玩犬のために行なった事始めは、マルチーズのためだったとさえいわれている。
今日、マルチーズがドッグショーに出陳された場合、かなり高い確率でB.I.S.(ベスト・イン・ショー、大会最優秀賞に相当)または、それに準ずる順位を獲得することが多い。世界中の人々との付き合いが長く、それぞれの好みを一身に受け入れ改良されてきたので、理想にもっとも近い犬種なのかもしれない。
マルチーズを世界中にひろめたフェニキア人もまた、文字という形で欧米だけに留まらず、全世界中で生き続けている。政治的・経済的な要因はあるものの、ここまでたくさんの人々の生活に入ってきたのは、その都度それぞれの地の生活や習慣に合わせてきたからだろう。
―――この世の全てのモノは変化を繰り返し、その時の理想に近づこうとする―――マルチーズを見ていると、そんな思いを深く抱かせる。 (ばんどうたろう)
【リンク先】
●社団法人ジャパンケンネルクラブ マルチーズの紹介
http://www.jkc.or.jp/modules/worlddogs/entry.php?entryID=161&categoryID=9
●ウィキペディア フェニキアの紹介
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%8B%E3%82%AD%E3%82%A2%E4%BA%BA
●マルタ共和国政府ホームページ
http://www.gov.mt/index.asp?l=2
Posted by: eueublog on: 2011/11/21
10月26日、27日の二日間、ヨーロッパのテキスタイル、デザイン家具、照明、テーブルウェアなどを一堂に集めた「EU Gateway Program」のEuropean Designという展示商談会が行われた。
ヨーロッパ各国からの作品の中で、特に私の目を引いたのが、デンマークの二つのブランドだった。
まず、紹介したいのが、aidaという食器ブランド。今回、aidaは、デンマーク人若手アーティスト、ポール・パヴァ(Poul Pava)とのコラボレーションで作品を発表。“誰のなかにでもある子供心”をコンセプトに活動するパヴァ氏の独創的なキャラクターは、幼い子どもが落書きして生まれたような、愛くるしさと、カラフルな色使いで、遊び心が満載だ。デンマーク食器のシンプルで、かつ機能性に富んだ特徴を考えると、一瞬、これはデンマークブランドなのか?と疑ってしまいそうだが、新しい風、そして若手デザイナーを起用する点からすると、なるほど、デンマークの自由さ、寛容さというものが生んだデンマークらしい作品だなと納得するところもある。
次に、オーフス(Århus)というデンマーク第二の都市で生まれた、ウォールペーパーやクッション、テキスタイルなどのインテリア全般を扱うferm-LIVINGの展示ブースにお邪魔した。設立者は、こちらも若手アーティストのトゥリーネ・アンデルセン(Trine Andersen)。元々はグラフィック・デザイン事務所として2005年にスタートし、その後、グラフィック・アートを生活雑貨に取り入れて現在の形になったそうだ。会社のロゴには、アンデルセン氏の夢に出てきたという鳥がモチーフとして飾られている。どの作品も、とても温かみがあり、寒く長い冬を余儀なくされるデンマークの家庭に、ちょっとした安らぎを与えてくれそうな優しいデザインが施されている。展示会場では残念ながらお目にかかれなかったのだが、壁に貼るウォールペーパーは、ついこの間、パリに行ったときに、かわいさのあまり思わず購入したばかりだが、いただいたカタログを眺めているとついつい買い足したい気分になる。(さくら)
Posted by: eueublog on: 2011/11/18
年末のフィンランド旅行に向けて、気分を盛り上げるために、最近では毎日ジャン・シベリウス(1865-1957)の作品を聴いている。フィンランドの生んだ偉大な作曲家シベリウスの作品としては、『交響詩フィンランディア』や『交響曲第2番』、『交響曲第5番』などが有名だが、最近はまっているのが、グレン・グールド(1932-1982)の『ソナチネ第1番〜第3番 キュッリッキ』。
特にソナチネ第一番がいい。グールドの弾くバッハやモーツァルトも勿論いいのだけれど、このソナチネには、グールドの持つ別の側面の魅力が感じられるような気がする。消え入る音の余韻のようなものによって、逆に音を浮き上がらせるというか。じっと耳を傾けていると、淡いかすかな光が夜明け前の空にじわじわと染み込んでいくのを眺めているような気分になってくる。
従来グールドが見せる強いアタックによって度肝を抜くような破壊性は感じられないが、何かを紡ぎ出しながらも、コアの部分をじわじわと浸食していくとでも言ったらいいのだろうか。そのもどかしさが何とも言えずいいのだ(一度実際に聴いていただかないと、この感じがうまく伝わらないと思うけれど…)。
シベリウスは死に際して、フィンランドの森と湖に想いを馳せて、「自然はかくも美しい。その自然と別れるのが辛い」と呟いてあの世に旅立ったという。そんな彼の言葉を思い浮かべながら、繰り返しソナチネ第一番を聴いていると、フィンランドの幻想的なイメージが静かに立ち現れては、また消えていく。(ロニ蔵)
Posted by: eueublog on: 2011/11/16
私は最近まで、上場企業の投資家向け広報(インベスター・リレーションズを略してIRと称す)に関連した仕事をしていた。その経験から知ったのは、投資家はグローバルに存在するが、企業が発信する情報にはお国柄ないし地域柄が表れるということである。
IR情報のなかに、アニュアル・レポート(年次報告書)というものがある。事業戦略の説明や写真など、企業が自社のアピールのためにつくる企画ページと、法令や上場取引所のルールで開示が決められた、財務諸表や注記をはじめとする財務情報が一緒になった資料である。このアニュアル・レポート、読み比べると、アメリカとヨーロッパの企業で傾向が異なるのである。
アメリカでは、2002年に会計・監査・情報公開などの制度が改革されSOX法が成立して以降、徐々にアニュアル・レポートの企画ページが減ってきた印象がある。IBMを例にとれば、2002年版アニュアル・レポート中40ページを占めた企画ページは、2010年版では16ページになっている。これは、SOX法によって開示が義務づけられた項目が増えた影響だろう。財務部分の開示情報が増え、それにともなってレポートづくりの労力と費用が増加したぶん、企画ページが減ったというわけである。全体として、アメリカの企業のアニュアル・レポートは、無味乾燥で読み物としての魅力が乏しいものが増えた気がする。
対してヨーロッパでは、年ごとに企画ページが膨張して、とうとう自立するくらいに分厚くなったアニュアル・レポートも多い。例えば、内容もプレゼンテーションも洗練されていて、筆者が毎年チェックしていたイギリスのランド・セキュリティー社の2011年版アニュアル・レポートは企画部分が88ページ。スウェーデンのエレクトロラックス社の2010年版レポートは2分冊のうちの第1部全94ページが企画モノ。ドイツのバイエル社の2010年版レポートでは企画部分がなんと139ページにものぼる。
実は、ヨーロッパにおいても2005年の国際財務報告基準(IFRS)の導入以降、財務情報は増加している。にもかかわらず、製品やサービスを魅力的に見せる美しい写真を多数掲載し、成長戦略を図表も交えて説明するなど、多くの企業がそれまで以上に企画ページに力を入れているのだ。ここには、ヨーロッパにおける「企業価値」に対する考えかたや、「企業価値」のプレゼンテーションを重視する姿勢が表れていると思う。
とはいえ、情報が詰め込まれた大冊アニュアル・レポートは、必ずしも読み手である投資家に好評とばかりとはいえないのが実情だ。ページ数が多すぎて、投資家にとって本当に肝心な情報が埋没してしまうという声もしばしば聞かれる。イギリスの金融機関HSBCが発行した2006年版アニュアル・レポートは、1冊で454ページ、1.47㎏にもなったことが英紙フィナンシャル・タイムズで揶揄されたほど。ただし、アップル社のアニュアル・レポートに代表される、財務情報に表紙をつけただけという究極的なアメリカ型も、つまらないと不評である。
ここ数年は、ヨーロッパ・アメリカともに(そして日本でも)、印刷物としてのレポートの配布は止め、オンライン・レポートのみとする企業も増えてきた。企業価値の説明がいかになされるべきなのか、さまざまな立場から知見を持ち寄り、意見を交換するセミナーやウェブサイトも活発だ。正解のない課題だけに、今後も模索が続くことは間違いない。
(オオカミ女)
【リンク】
●IFRS財団 ウェブサイト
http://www.ifrs.org/Home.htm
●プライスウォーターハウスクーパースの「コーポレート・レポーティング」サイト
http://www.pwc.com/corporatereporting