こんなEU、あんなEU~日常に見るヨーロッパ | Life in the EU

Archive for April 2010

スペイン料理店の料理長として1991年に初めて来日したジョセップ・バラオナ・ビニェスさんは、それ以来ずっと「本物」のスペイン料理を作り続けてきました。「当時は素晴らしいフレンチやイタリアンのレストランがたくさんありましたが、スペイン料理のお店はほとんどありませんでした。これを変えたいと思いました」とジョセップさん。


10年ほど前に、ピンチョス(小さく切ったパンに少量の食べ物がのせられた軽食)を出すレストランを開きました。「ピンチョスは北部スペインではとてもポピュラーな伝統的料理ですが、日本では当時、だれも知りませんでした」パエリヤを出し、フラメンコショーをやるように周りから言われたそうですが、日本人は「本物」を高く評価するので、本当の料理を提供し続ければ、いつかは人気が出るだろうと信じていたそうです。「実際に、今や多くのレストランが本格的なピンチョスやタパス(小皿料理)を出すようになりました」

美味しい料理は、決して高価なものとは限らない、と言います。「時には、最もシンプルな料理が一番記憶に残ります。海の近くで獲れたてを食べれば、たとえ100円のイワシでも最高においしい。山ならば、キノコを、その場で焼いて食べたら、これ以上美味しいものはない、と感じますね」

今は東京・内幸町で、隠れ家的な創作料理のアトリエ「レ・ステゥディ」のオーナーシェフとして厨房に立っています。一日一組6人限定、一人2万円で事前の予約と打合せが不可欠な「注文の多いレストラン」ですが、政治家、芸能人、文化人などに大人気。昨年2月に東京で開催された世界料理サミットに参加するなど、各種イベントやテレビ・雑誌とのコラボレーションにも積極的に関わり、スペイン・カタルニア料理の魅力を広く伝えています。(マイケル尊王寺)

レ・ステゥディHP
http://www.lestudi.jp/jp/top.html

ジョセプさんのもう一つのお店「モダンカタランスパニッシュビキニ」(ぐるなび)
http://r.gnavi.co.jp/b696203/

「スペイン料理大好き!」個人ウェブサイト(ピンチョスのレシピや、ジョセプさんの著書も紹介されています)
http://homepage3.nifty.com/naranja/pintxos/pi_index.html

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1813年―。この年は、オペラファンにとって忘れられない年だ。なぜなら、この年にイタリアオペラとドイツオペラのそれぞれの最高峰が誕生したからだ。イタリアのジョゼッペ・ベルディとドイツのリヒャルト・ワグナーである。ベルディは『椿姫』や『アイーダ』の、ワグナーは『トリスタンとイゾルデ』や『タンホイザー』の作曲家として有名だ。2人とも、世界中に熱狂的なファンがいる。

面白いのは、この二人の作風が極めて対照的なことだ。ベルディのオペラの特徴は、アリアにある。ベルディは、人間の歌声の美しさを引き出したいために、魅力的なアリアを数多く作曲した。恋の歌が多く、ベルディのアリアを歌うために、オペラ歌手たちは天性の歌声に磨きをかけた。

一方ワグナーは、歌手たちの個性に頼り、歌声の美しさを聴かせることを重視したベルディ風のアリアに対して、「情念の微妙な変化が表現できない」と嫌悪感を示した。ベルディがひたすら音の美しさを求めたのに対して、ワグナーは自分の世界観や哲学を伝えるためにオペラという形式を借りたようなところがある。その集大成が、演奏時間が15時間にも及ぶ『ニーベルングの指環』だろう。

私は二人のオペラに向かい合う時、これほどまでに異なる二つの個性が併存する形で脈々と息づいているヨーロッパオペラの幅広さ、豊饒さにいつも驚かされる。(ロニ蔵)

その昔、仕事で山形市に暮らしていたときに、いきつけのスナックの名が「シャモニー」だった。若輩の私はその意味がよく理解できなかったので、マスターに聞くと、「あなたはスキーをしますか」と逆に質問された。後で知ったことだが、スキーの指導員資格を持つマスターにとって、シャモニーはあこがれのスキー場であったのだ。

 フランスのスイス国境に位置するシャモニーに実際に行ったのは、そのスナックに通っていたころから20年くらい経った夏の盛りだ。ジュネーブから数時間で到着した街は、あのマスターがあこがれた気持ちにたがわぬ、すばらしい高原のリゾート地で、訪問客はバカンス気分に満ち溢れていた。

 スキーシーズンでないときのシャモニーの“売り”は、標高3842メートルのエギーユ・デュ・ミディというアルプスの峰を目指すロープウエーの旅。街の真ん中にある標高1037メートルの乗り場から、まず2800メートルの中間地点プラン・デュ・レギュへ。最初は眼下にシャモニーのしゃれた街並みが見えていたかと思ったら、あっという間にその景色がかすんで、ガスの中に入っていく。

 ここで、ゴンドラを乗り換え、さらに高度を上げると、雲海を突きぬけ、青空の中に3000-4000メートル級のアルプスの山々が見えてきた。エギーユ・デュ・ミディの展望台では冷たい強風にさらされたが、眼前に迫るモンブランの山容にはただただ息を呑むしかなかった。

ただ、この景色の酔いは短時間で終わった。同行者の耳がロープウエーの急激な高度上げに耐え切れず、デフ状態になってしまったからだ。私自身も耳に違和感を覚えていた。一般的に、3000メートルの高低差を短時間に行き来するのは想像以上に過酷なことなのだろう。

スナックのマスターは、「シャモニーはあこがれの地で、行ったことはない」と聞いていたので、その魅力をいつか伝えたいと思っているが、その機会はない。(日暮らし)

http://www.geocities.jp/tabinosyasoukara/chamonix1.html

先日、蜷川幸雄氏演出の「ヘンリー六世」を観に行きました。上演時間は前編と後編あわせてなんと約7時間。それでも、もともと3部作で通常9時間かかるものが整理され、時間が短縮されたそうですが。

そんなに長い時間座り続けて、最後まで楽しめるだろうか、と思っていましたが、不思議なほど、時間の長さを感じませんでした。上川達也さんや大竹しのぶさんをはじめとするベテラン俳優の卓越した演技には圧倒的な迫力があり、物語が進むにつれどんどん引き込まれ、むしろ一部ごとの上演時間が短くなっていたように感じられました。

シェークスピア原作である「ヘンリー六世」の舞台は15世紀のイングランド。中世末期に起こった、英仏間の争いである百年戦争と、イングランドの貴族間の争いである薔薇戦争を背景にストーリーは繰り広げられます。イングランドの王ヘンリー五世が急死した後、生後わずか9カ月で即位するヘンリー六世。この王の時代に王位継承をめぐり、権力闘争が起こります。ここでは、裏切り、愛と権力、信仰心、権力に対する人間の執念深さや欲深さなど、人が持つ様々な複雑な感情が絡み合っています。

「ヘンリー六世」の作品の途中から登場するリチャードを主人公とするお話が「リチャード三世」で、ヘンリー六世の続編にあたりますが、「リチャード三世」でも、人間の争いと、人間らしい様々な感情が描かれます。この時代のイングランドの歴史は、明治維新前後の日本のように、激動の時代を生きる人々の行動に人間らしさ(または人間くささ)が凝縮されており、どの人に焦点をあてても、それはそれで一つの劇になってしまうような時代だったのです。

遠い国の、しかも歴史の話ですが、結局は同じ、人としての感情や行動が描かれている話なので深く入り込んで楽しめました。いつかイギリス人に、この作品についてどう思うのか直接聞いてみたい気持ちが高まると同時に、イングランドの歴史に対する興味もわいてきました。(パクチー)

彩の国さいたま芸術劇場「ヘンリー六世」公演情報
http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2010/p0311.html

個人の方のサイトに記されている「ヘンリー六世」のあらすじ
http://www.geocities.jp/todok_tosen/shake/h6.html

先日足を運んだピアノ・リサイタル「午後5時のお茶会」で、また「あの曲」とめぐり合いました。クロード・ドビュッシー(1862年~1918年)作曲、ピアノ独奏曲「喜びの島」。この曲を初めて聴いた時、喜びで飛びはねるような躍動感、高音でリズミカル、それでいて難しいピアノの技巧を駆使するような演奏が強く印象に残りましたが、今回もその激しさを再び感じることになりました。

もともと「喜びの島」は、ルーブル美術館に所蔵されている、ロココ美術の画家ジャン・アントワーヌ・ヴァトーの作品「シテール島への巡礼」に、ドビュッシーが感動して作曲したと言われています。ドビュッシーの豊かな感受性、インスピレーションの高さに敬服します。

実生活におけるドビュッシーの女性遍歴は派手だったといわれています。二度目の妻となるエマ・バルダック夫人と婚前旅行したのがイギリス・ジャージー島で、喜びに満ちたここでの愛の生活が「喜びの島」には描かれている、という説もあります。

当時43歳という中年の域に達したドビュッシーが激しい愛の感情をメロディーに込めたと想像すると、また一段と曲に妖艶さが増すような気がしますが。

ちなみにこの曲は大ヒット漫画『のだめカンタービレ』でも登場し、マラドーナ・ピアノコンクール第3次予選で、のだめが演奏しています。(モコちゃん)

ドビュッシーの部屋
http://www.sky.sannet.ne.jp/nomura3/debussy.html

全国の書店員を中心にマンガ好きの人が選ぶ「マンガ大賞2010」。今年で3回目を迎えるが、大賞がヤマザキマリさんの『テルマエ・ロマエ』に決定した。お風呂をめぐる、今までにない視点のコメディマンガだ。

舞台は第14代皇帝・ハドリアヌス帝時代のローマ帝国。風呂の設計技師ルシアスが、現代日本の銭湯や家庭のお風呂、温泉にタイムスリップして、古代ローマと日本を行ったり来たりする。日本の風呂文化や技術に驚愕し、感心するルシアスの姿がかなり面白く描かれている。

銭湯の風呂上りに飲むフルーツ牛乳、家庭用お風呂のふたやシャワー、風呂の中で見るテレビ、果ては露天風呂を楽しむ野生の猿の光景…。びっくり仰天したルシアスは、その技術をローマに持ち帰り、早速試してみることに。その結果、斬新なアイディアとして市民や皇帝からも絶賛されたのだ。

作者のヤマザキさんは現在ポルトガル在住で、ご主人はイタリア人。この作品が生まれた源は、ご主人が「ローマおたく」で、普段の会話でもローマに関する話題が出てくる。それなのに、日々の生活では家にはお風呂や浴槽がない! 

古代ローマ人はお風呂が大好きで、公衆浴場に入っていたのに、現代ヨーロッパ社会ではそれもないという不満からこの現状をマンガにしてしまえ!と思ったそうです。おススメです。(モコちゃん)

マンガ大賞2010
http://www.mangataisho.com/

今、もし西洋絵画を観たいと思ったらどうするか。答えは簡単。美術館へ足を運べばよい。東京であれば、上野に国立西洋美術館がある。しかし、約100年前、本物の西洋絵画は、西洋へ行かなければ見ることはできなかった。したがって、当時の日本の西洋画家たちは、本物を見ることなく油絵を制作していた。日本で本物の西洋美術をみられるようにしたい―そんな強い思いを抱いたのが松方幸次郎だった。

松方幸次郎は、川崎造船所(現川崎重工業)の初代社長だ。1865年、薩摩藩に生まれ、父親は、明治政府で2回首相の座に就いた松方正義。幸次郎が社長に就いた頃、船は受注してから造るのが常識だった。しかし、彼は時代を先読みし、先に船を造ってから販売するという当時では考えられないような決断をする。そして自らロンドンへ行き、見事船の販売に成功、巨万の富を得る。そしてその頃、彼はイギリスで、英国人画家のフランク・ブラングウィンに出会った。

ベルギー生まれのブラングウィンは大変多才で、絵画のみならず、壁画装飾や空間デザインなど、さまざまな分野で能力を発揮した人物だ。彼は若い頃、船乗りだったこともあり、造船風景や、船上風景などの絵画も多く描いていた。そんな共通性もあったため、2歳違いのブラングウィンと松方は、出会ってすぐに意気投合した。

松方はブラングウィンから絵画蒐集の協力を受けながら、1910年代後半から1920年代前半にかけて、西洋の絵画、彫刻、工芸品などを集めた。そのコレクションを展示する美術館を日本に作ろうと、美術館の建築デザインもブラングウィンに頼み、計画は進んでいった。「共楽美術館」と名付けられ、場所は麻布に予定された。しかし、この計画は惜しくも夢に終わる。金融危機がおこり、松方は集めた品々を手放さなくてはならなくなったからだ。さらに、イギリスに保管しておいたブラングィンの作品を多く含む作品も、倉庫の火災で燃えてしまった。

フランスに保管されていた松方コレクションは、サンフランシスコ平和条約により、一度はフランスの所有になったが、東京に美術館を創設することを条件に返還された。そうして建ったのが、国立西洋美術館だ。

松方の、日本でいつでも西洋美術を見られるようにしたいという想いは、時を経て実現した。ブラングウィンがデザインした美術館が建つことはなかったが、彼の協力で集めた作品群を、今日我々は自由に楽しむことができる。そう思うと、ブラングウィンの存在が近く感じられる。

国立西洋美術館では、5月30日まで、フランク・ブラングィン展が開催されている。共楽美術館の素晴らしい建築デザイン画や、ブラングウィンが描いた松方の肖像画なども見ることができる。(パクチー)

国立西洋美術館
http://www.nmwa.go.jp/jp/index.html

フランク・ブラングウィン展について
http://www.fb2010.jp/main/

川崎重工株式会社(松方幸次郎初代社長)
http://www.khi.co.jp/overview/hisotry/his_02.html


自由で活発な発言を歓迎します。

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