こんなEU、あんなEU~日常に見るヨーロッパ | Life in the EU

Archive for June 1st, 2010

これは多くの人が持つ素朴な疑問ではないだろうか。国際問題研究所で行われたEU日本政府代表部の植田隆子大使の講演の中で、機構上の変容について説明があったので紹介したい。

2009年12月のリスボン条約発効に伴い、これまで半年ごとの輪番制で加盟国首脳が務めていた欧州理事会(加盟国首脳会議)の議長職が常任制となり、最長5年の任期でファン・ロンパイ元ベルギー首相が就任したのは、これまで報じられているとおりだ。大統領と言う呼び名はあくまでも通称で、フランスや米国の大統領のような執行権限はなく、27の加盟国をまとめる調整役として、EUが進む針路の舵取りをしていく。

もう一つの新しい役職は、外務・安全保障政策上級代表だが、これまでソラナ上級代表が担当した安全保障分野とフェレロ=ヴァルトナー委員の担当した対外関係を、アシュトン上級代表が1人で担うことになった。こうすることでこれまで別々であった軍隊・警察ツールと開発援助ツールを1本化して有効に活用することができる。新任アシュトン代表を支えるのは、新設された欧州対外活動庁だ。

理屈上はなるほど、と思えるが、実際1人の人間が行う仕事量としては半端ではない激務なのだそうだ。そうでなくても前任ソラナ代表は1週間に100時間働くと言われていた人物。そしてフェレロ=ヴァルトナー委員の仕事も域外出張の多い仕事。加えて、上級代表は対外活動庁のトップとして、予算・規則・会計制度・トップ人事・機構作りを5年の任期中に整えなければならない。

さらに、約130ある代表部の大使選出の際は、今年新しくなる駐日代表部大使も含め、アシュトン代表が自ら面接を行うそうだ。それでは1週間に200時間働いても足りないのではないだろうか。あまり無理をされないで、なんとかハードワークを乗り切ってもらいたいものだ。EUの挑戦を遠くから応援したい。
     (みかん)

駐日欧州連合代表部広報誌『ヨーロッパ』2010年冬号 質問コーナーでもリスボン条約について取り上げています。
http://www.deljpn.ec.europa.eu/modules/media/magazine/2010/10winter.html

欧州理事会常任議長のページ
http://www.european-council.europa.eu/the-president.aspx

欧州理事会外務・安全保障政策上級代表のページ
http://www.consilium.europa.eu/showPage.aspx?id=1847&lang=en

対外活動庁のページ
http://eeas.europa.eu/

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EUIJ早稲田に行ってきた。
EUIJとは、EU Institute in Japanの略称で、日本における欧州連合(EU)研究のための学術拠点だ。日本には、EUIJ早稲田(早稲田大学)の他に、EUIJ関西(神戸大学・関西学院大学・大阪大学)とEUSI東京(一橋大学・津田塾大学・慶應義塾大学)がある。EUIJの主な目的は、EUに関する学術研究を活発にすること。そしてEU諸国との国際交流やEUに関する広報活動を促進し、日本とEUの連携の強化を図ることを目指しているという。

EUIJ早稲田の福田耕治代表とプログラム・マネージャーの田邉藍さん。

EUIJ早稲田の代表で、早稲田大学EU研究所の所長である、福田耕治教授にお目にかかり、話を伺っていて、EU研究にかける情熱というものを強烈に感じた。EU研究の話になると、EUへの愛が迸り、聴いているだけでこちらが熱くなるほどだった。

ドキュメンタリー映画作家の原一男監督が小説家の井上光晴を撮った『全身小説家』という映画があったが、『全身EU研究家』という言葉が思わず思い浮かんでしまった。
先生は地域研究からEU研究に入っていったというよりは、学際的な興味からEU研究にのめり込んでいったそうだ。

「僕が研究を始めた30年ほど前はまだECと呼ばれていた時代で、欧州統合に対する関心はあまり高くなかったですね。研究者もほとんどいない状態で、未開拓の研究分野であったのは確かです。グローバリゼーションという言葉も使われていませんでした。その当時、統合に向けての試行錯誤をヨーロッパ諸国は25年間も続けてきていたのですが、そうしたプロセスがあまり日本には伝わっていなかったと思います。

それから30年近く経ちますが、その間の動きは本当に面白かったですよ。EUを一つの生命体として捉えると、各国が知恵を出し合いながら、統合体として生成していくようなものでした。統合の理念と各国の利益の駆け引きを繰り返しながら、バランスをとりながら制度設計を行っていく。ある意味では壮大な歴史的実験と言ってもいいかもしれません。そうした過程に立ち会えたわけですから、実に学者冥利に尽きますね」

EUの壮大な実験から、福田先生は国家の枠を超えた「国際公益」の重要性に着目し、国際公共政策の必要性を感じ、「国際行政学」という研究ジャンルを切り開いていった。グローバリゼーションの進展に伴い、2国間や多国間レベルでの伝統的な協力関係だけでは解決困難な問題が数多く生まれてきている。海洋資源や地球温暖化など国境を超えた問題に対して、各国の利害関係を調整し、時には妥協も繰り返しながら落とし所を探っていくことが、今後ますます重要になってきている。

EU研究で学んだ知恵を、こうした諸問題の解決に活かしていってもらいたいものだ。
(ロニ蔵)

EUIJ早稲田
www.euij-waseda.jp/

5月21日は、世界文化多様性の日。この日、東京・新宿にある日仏学院では、前ユネスコ事務局長を務めた松浦晃一郎氏と、現ユネスコ・フランス政府代表大使のカトリーヌ・コロナ氏を招いて、文化多様性についての対談が行われた。

第二次世界大戦後に創設されたユネスコの目的は、戦争の惨事を繰り返すことがないように、異文化間での誤解が生じないよう教育や文化の分野での振興を図ることだった。文化とは生活様式であり、伝統的なものも創造的なものも包括される。ユネスコは2005年に文化的表現の多様性の保護及び促進に関する条約を採択している。多様性とは、表現の全ての形態を指し、多文化主義とは意義が異なる。

文化として表現された“アイデンティティ”は、商業的に“交流”される。コロナ氏は、昨今のデジタル化における流通で、コンテンツ保護の重要性にも言及していた。「文化は商品であり、かつ、それ以上」。この姿勢を各国が示すことも必要となる。

文化の最たるものは言語なのである。独立した言語は、独立した文化に等しい。ユネスコの調査では、世界には6,000~7,000の言語が存在する。そして、言語は無形の文化を伝える役割を担っているのだ。スペイン・バレンシア地方のエルチェに伝わる宗教劇が若い世代に支持されていて、バレンシア語の復活に役立っているという事例が挙げられていた。

“生物多様性”と比べると取り上げられる機会が少ない“文化多様性”。伝統的なもの、創造的なもの、文化の多様性について、一考する興味深い機会だった。(くるみ)

日仏学院
http://www.institut.jp/

エルチェの神秘儀
http://www.accu.or.jp/masterpiece/masterpiece.php?id=18&lg=jp

 今、日本で地ビールが人気となっているが、ヨーロッパには地ビール大国というべき国がある。ベルギーだ。九州ほどの大きさの国土に醸造所が130以上あり、銘柄も800を超えると言われている。

 ビールといえば、ホップだろうという諸兄も多いと思うが、ベルギービールにはホップを使わずに、他のハーブやスパイスを使用したり、麦芽にしていない小麦を使用していたりするものも。それもそのはず、ベルギービールはホップを使用する製法が定着する以前から作られており、ハーブやスパイスを使用した伝統的な製法が残っているのだ。中にはチェリーやフランボワーズなどの果実を使ったものもある。

 ベルギービールには生きた酵母が残っており、タンパク質やミネラルも豊富。酸味、苦味、甘味などの味わいもさまざまなものがあるのがベルギービールの魅力。その日の気分や料理にあわせて楽しめる。ベルギーで小さな醸造所を家族で営んでいるオーナーが来日したとき、日本酒とベルギービールは同じ味わいがすると叫んだという。そう、ベルギービールはワインや日本酒に近い感覚で楽しむことができる、舌で味わうビールなのだ。銘柄ごとに、デザインに趣向をこらしたオリジナルグラスがあるのも嬉しいかぎりだ。(酒バラ)

ベルギービール博物館のHP
http://www.geocities.jp/beerforum/

  • In: Culture | movie
  • Comments Off on 真の芸術家、カラヴァッジョ Caravaggio

イタリア人画家カラヴァッジョの一生を描いた映画『カラヴァッジョ』がとても良いと聞き、観に行ってきました。

舞台は17世紀のイタリア。カトリックの面でも、文化・芸術の面でもローマが欧州の中心地だった時代で、当時、各地から多くの芸術家たちがローマへと流れ込んでいました。カラヴァッジョもその一人でした。彼は幸運にもデル・モンテ枢機卿に才能を見いだされ、独創性を大いに発揮した作品を作りだします。デル・モンテ枢機卿の元を離れた後も、さまざまな作品を生み出し、世の中から高い評価を得ます。

欧州では、17世紀にバロック美術が花開きましたが、その流れの先駆けとなったのが、カラヴァッジョの絵画でした。カラヴァッジョの作品の特徴は、光と影のコントラストを用いた強烈な明暗の描き方、そしてそのコントラストにより劇的に場面演出されているということが挙げられます。彼の絵を観ていると、あたかも劇場のステージでスポットライトを浴びている一場面を観ているような錯覚を覚えます。

そんな彼の作風は、その時代の画家たちを大いに刺激しました。スペイン・バロックの巨匠と呼ばれる宮廷画家のベラスケスや、17世紀前半に活躍したフランスの画家ジョルジュ・ド・ラ・トゥールなどもカラヴァッジョに影響を受けました。

カラヴァッジョの絵画は圧倒的な迫力で観る者を惹きつけますが、彼を生涯描くことへ突き動かしたものは何だったのだろう、と思います。カラバッジョは気性が荒らく、しょっ中諍いを起こしていたり、決闘で殺人を犯してローマから出ていくことになったりしています。もしかしたら、すぐに逆上したり、刀を持って出かけたりするような彼の気性の激しさこそが、現実のものとは思えないほど迫力がある彼の作品制作の原動力だったのではなかったのだろうか、とあれこれ想像は尽きません。(パクチー)

映画『カラヴァッジョ』オフィシャルサイト
http://caravaggio.eiga.com/

個人のサイト(カラヴァッジョの作品が掲載されています)
http://www1.kcn.ne.jp/~aida/baroque_folder/caravaggio.html


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