こんなEU、あんなEU~日常に見るヨーロッパ | Life in the EU

Archive for August 2010

東京・国立市にある一橋大学には、学園都市のシンボルとも言うべき建造物がある。昭和2年に建造された兼松講堂だ。他の大学の記念碑的な建造物の多くがゴシック様式なのに対し、ロマネスク様式なのが大きな特徴だが、ではなぜ、ロマネスクなのか。

 ローマ帝国を滅ぼしたゲルマン民族はアニミズム的な宗教を信仰していたが、徐々にキリスト教の影響を受けるようになり、10世紀に入るとヨーロッパ全土でキリスト教が再生し始める。そして11〜12世紀にはローマをお手本にした教会や修道院がヨーロッパの各地で建築されていった。それがローマ風の建築、ロマネスク建築だ。20世紀に入り、ヨーロッパ独自の美術がロマネスクで初めて成立したと再評価されている。

 大学は中世ヨーロッパの修道院に起源を持つ。兼松講堂を設計した伊東忠太は、おそらくオリジナルにこだわってロマネスク建築を選択したのだろう。そしてもうひとつ、伊東忠太はロマネスク様式に登場する怪物たちにこだわった。ロマネスク様式で建てられた建造物の柱には奇妙な怪物たちが彫り込まれている。この柱頭彫刻には、まだ、アニミズム的な精霊信仰を捨てきれなかった中世の人々の世界観が表現されている。フランスのブルゴーニュ地方にはロマネスク時代の素晴らしい建築物がいくつもあり、ヴェズレーにあるサント=マリー=マドレーヌ聖堂やオータンにあるサン=ラザール大聖堂の柱には不自然な姿勢の人間や奇妙な怪物たちが棲みついている。

 キリスト教の概念では、こうした彫刻は悪魔のシンボルと解釈されてしまうため、ゴシックの時代には廃れてしまう。しかし、江戸時代の末期の山形県で生まれ育った伊東忠太は、無類の怪物好きとして知られ、学者になってからも、怪獣たちの絵を描き続けたと言われる。彼の想いが、中世のヨーロッパを国立に蘇らせたのだろう。兼松講堂の外側にはヨーロッパを起源に持つ怪物が彫られ、内部には伊東忠太のオリジナルの怪物たちがたくさん登場する。国立を散策する際にはぜひご覧あれ。(酒バラ)

兼松講堂を紹介した国立市のHP
http://www.city.kunitachi.tokyo.jp/kikaku/01kikaku/01145/01145_1_06.html

展覧会場入り口

毎年板橋区立美術館で開催されるこの展覧会を初めて訪れた。絵本だから子ども向けだと思うなかれ。絵本用に制作された作品を5枚一組で募集し、国籍の異なる5人の審査員(今年は日本人も含む)が選考する国際コンクールの入選作品が展示されている。コラージュ、版画、水彩画、エッチング…、と手法もさることながら、出品者の創造性やメッセージを見て感じるだけでも面白い。

今年で44回目(板橋区立美術館では30回目)を迎えるこの展覧会では、世界20カ国の作家の作品を展示。絵本の形で実際に読んでみたいと思わせるものばかり。既に出版されている絵本もあれば、この展覧会だけで終わってしまうものもあるそうだ。出品者もプロの絵本作家もいれば、学生アーティストなど様々。新人イラストレーターの登竜門としてもこのコンクールは知られている。
目当てにして来たのは、イタリアのフィリップ・ジョルダーノ氏の作品。彼の別の作品を見て、興味を持っていたからだ。今回展示された絵本「ふしぎな文字の箱」では、アルファベットから独特の世界が広がっていて見ていて楽しい。
ボローニャでの開催はブックフェアに合わせた4日間、世界で巡回するのは日本だけなのだそうだ。この後、兵庫、三重、石川、鹿児島の4県を巡回する。(みかん、写真も)

ボローニャ国際絵本原画展情報(板橋区立美術館ウェブサイト)
http://www.itabashiartmuseum.jp/art/bologna/index.html
ボローニャ絵本展示会
http://www.bookfair.bolognafiere.it/

フィリップ・ジョルダーノ氏は、EUサークル.jpに参加しているガブリエレさんの短編集「10 minuti」の挿絵も手がけています
http://eucircle.exblog.jp/13967748/

華道展でかけるCDを選んでほしい…こんな依頼を受けた。あまりうるさい曲はNGだろうし、そうかといってBGMっぽい曲も避けたい。クラッシックだといかにもという感じになって興ざめだし、ホーンセクションの入ったもろジャズというのもそぐわない気がする。民俗音楽だと色が付きすぎるし、J-POPだと何が場違いな感じがする。主役の花を引き立てるためには、やはりソロがいいだろう。チェロとか、ピアノとか、ギターなんかがいい。10枚ぐらいCDを選んで、そこから気に入ったのを使ってもらうのが一番いいのだが、それもすこし芸がないような気がする。
そこで思案の末に辿りついたのが、ミシェル・ペトルチアーニ(Michel Petrucciani:1962-1999)のソロアルバムだ。

ペトルチアーニは、ジャズの名門レーベルであるブルノート・レコードと最初に契約したフランス人ピアニストとして有名だ。フランスで、彼の右に出るジャズピアニストはいないだろう。そのどこまでも澄み透るような硬質なピアノの音を聴いているだけで、凛として晴れ渡った秋空のような気分になってくる。そして同時に、どこか弾むような躍動感のある音色に満ちていて、思わずスィングしてしまうのだ!
しかしそんな陽気さとは裏腹に、彼は骨形成不全症という先天性疾患を持っていて身長は1メートルにも達せず、骨がもろく、ピアノの前まで誰かに運んでもらわなくてはならなかった。以前、ブルーノート東京で彼の演奏を聴いた時も、共演のミュージシャンに抱きかかえるようにしてステージに登場して、びっくりしたことがある。でも、一端弾き始めると、そんな心配はどこ吹く風と、限りなく透明感溢れる演奏で聴く者をピューリファイしてしまうのだ。

20歳まで生きればいいと言われていたペトルチアーニは、36歳の時、ツアー先のニューヨークで客死した。1999年のことだ。それから10年以上経つが、彼の演奏はコンスタントに聴き続けてきた。会場の生け花たちは、ペトルチアーニのピアノの音色に静かに耳を傾けてくれるだろうか? (ロニ蔵)

ロンドンを舞台に繰り広げられる、ちょっと心温まる映画を観ました。『新しい人生のはじめかた』です。イギリス映画で、監督と脚本は、イギリスの新生、ジョエル・ホプキンス氏。

離婚歴があるニューヨーク在住のCM作曲家(ダスティン・ホフマン)と、統計局に所属しロンドンの空港でアンケート調査の仕事をしている40歳の独身女性(エマ・トンプソン)のラブストーリーです。日々の生活に孤独を感じながら過ごしてる二人ですが、ある日、ロンドンで出会い、少しずつ心の交流が始まります。

二人が散歩をしながら話をするシーンがたくさんでてきますが、その背景には、秋のロンドンの美しい景色が見られます。また、結婚式と披露宴のシーンもあり、イギリス式(アメリカ式)のものが見られて興味深いです。(日本の披露宴でもよくみられるのと同じように雛段がありました。日本の披露宴のやり方はイギリスなどから影響を受けているのですね。)

妻と離婚し、子どもたちとも別れた後、自分の居場所を失った主人公の孤独感や、年齢を重ねるごとに恋愛をして傷つくことに対する恐れの気持ちを感じるヒロインの複雑な心の動きなどがよく描写されています。一歩踏み出して他者と接する勇気がほしい時にオススメの映画です。(パクチー)

『新しい人生のはじめかた』公式HP
http://hajimekata.jp/

ロンドン観光局
http://www.visitlondon.com/jp/

ベルギーがEU議長国を務める2010年下半期でハイライトとなる行事は、10月4-5日にブリュッセルで開催される第8回アジア欧州会議(ASEM8)首脳会議だ。4月以降、開催までの間にさまざまなレベル、テーマで会合が持たれている。

ベルギー政府が掲げたテーマは「Quality of Life(生活の質)」。政治、経済、文化・社会の3つの柱の複数のテーマ(海賊対策、気候変動・生物多様性、人権問題など)でアジアと欧州の対話が行われる。首脳会議直後の10月には生物多様性会議(COP10)、11月にG20、12月には気候変動会議(COP16)が続くこともあり、成果として議長声明で国際社会に向け、アジア欧州のまとまったメッセージを送りたい、と日本の外務省の大久保アジア欧州協力室長は期待する。

ASEMにはASEF(Asia-Europe Foundation) Universityという学生交流の枠組みがあるが、第9回アルムナイネットワーク(ASEFUAN)会議が8月3-4日に慶応義塾大学を会場に、「環境と持続可能な社会」というテーマで開催された。アジア欧州各国から50名ほどの過去の参加者が集まり、参加企業や団体の関係者、大学院生や一般参加者を含めると110名が出席する会議となった。会場では、ストレートな意見が活発に交わされていたとのこと。6日からは箱根旅行にでかけ、アルムナイの交流はさらに深まりそうだ。(みかん)

ASEM8 公式サイト http://www.asem8.be/

在京ベルギー大使館 http://www.diplomatie.be/tokyo/

ASEFUAN http://www.asefuan.org/

第9回会議
http://eusi.jp/content_jp/outreach/seminar/20100803-04-the-ninth-annual-conference-and-general-meeting-asef-university-alumni-network-asefuan.html

ふだん見慣れているものが、異文化というフィルターを通過すると、まるで違ったものに姿を変えることがある。フランス人華道家オディール・ランディさんの生け花を見た時にも、そうした文化の変容ということを実感した。シンプルで、それでいてどこかアヴァンギャルド。しかし、あくまで日本文化のエスプリである、侘び寂びの境地が感じられる。

草月流の1級師範理事の資格を持つオディールさんは、日本国内ではただ一人の最高位の外国人華道師範である。外国人のお弟子さんを数多く抱え、現代も草月流のインターナショナル・クラスの生徒として学んでいる。「華道では、自分を磨くという姿勢がとても大切です。一生研鑚を続け、到達点というものはありません。花を生けることで、毎日、発見があり、生け花を通じて、自分を成長させていくことができます」とオディールさんは言う。

日本で暮らし始めてから10年以上にもなるオディールさんは、生け花の魅力を「精神の解放性」と言う。「欧州のフラワーアレンジメントとは異なり、生け花は空間を創っていくアートでもあります。日本では生け花はお稽古事といったイメージがありますが、フランスにおいては、純粋なアートとして捉えられています。それは、花を生けることで、3次元の空間を創出していくからです。

生け花にはさまざまなルールがあります。そうしたルールを覚えなくては、花を生けることはできません。こういうと、何かルールに束縛されて身動きがとれないような印象を与えるかもしれませんが、それは全然違います。俳句が17文字の中に季語を盛り込んで作句しなければならないが故に、逆に世界で最も想像力溢れる詩のスタイルの一つになりえているように、生け花もルールがあるからこそ世界が広がるところがあります。ルールを学び、そうしたルールを忘れて自由に花を生けることが出来るようになれば、それは本物だと思います」(ロニ蔵)

オディールさんの作品はこちらを
http://www.eucircle.jp/talk/page5-01.html

財団法人草月会
http://www.sogetsu.or.jp/

シンプルで機能的、なおかつ高いデザイン性を有し、世界中の人々を魅了する北欧デザイン。そんな素晴らしいインテリア家具を作るデザイナーの一人に、スウェーデンが世界に誇る家具デザイナー、ブルーノ・マットソン(Bruno Mathsson)(1907-1988)が挙げられます。

ブルーノ・マットソンの家具の特徴は、曲線を描いた美しいフォルム。そして、人間工学に基づいて作られていることによる、使い心地の良さ。そして木工製品では、木の温もりを感じられることです。

本当に良いものというのは長い時を経てもずっと評価され続けていくものですが、彼が1934年に発表した椅子「EVA」はその良い例で、半世紀以上が過ぎた今でも世界中の人たちに愛されています。肘掛や骨組部分は、緩やかな曲線になっています。この部分は木製で、薄い板を何枚も重ね、接着して作られています。座面の部分と背もたれの部分は、麻のベルトが編み込まれており、座ると、優しくほどよい弾力で体を支えてくれます。

最近では、人間工学の観点を採り入れた家具がたくさん登場していますが、そんな中でブルーノ・マットソンが人気を保ちつづける秘密は何なのでしょうか。その答えは、一度ブルーノ・マットソンの家具に触れてみたら、身体で実感できるかもしれません。

ちなみに、彼は日本人の住まいと体型に合うように、座面が低い「Mシリーズ」という椅子を、日本の家具メーカーの天童木工と協力して生み出しました。日本風にデザインしたスウェディッシュデザインが楽しめます。(パクチー)

ブルーノ・マットソン インターナショナル
http://www.bruno-mathsson-int.com/

天童木工
http://www.tendo-mokko.co.jp/


自由で活発な発言を歓迎します。

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このフォーラムの内容は欧州連合としての見解を示したものではありません。

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