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国立市に棲む怪物たち The Monsters of Kunitachi City: Kanematsu Auditorium

Posted on: 2010/08/25

東京・国立市にある一橋大学には、学園都市のシンボルとも言うべき建造物がある。昭和2年に建造された兼松講堂だ。他の大学の記念碑的な建造物の多くがゴシック様式なのに対し、ロマネスク様式なのが大きな特徴だが、ではなぜ、ロマネスクなのか。

 ローマ帝国を滅ぼしたゲルマン民族はアニミズム的な宗教を信仰していたが、徐々にキリスト教の影響を受けるようになり、10世紀に入るとヨーロッパ全土でキリスト教が再生し始める。そして11〜12世紀にはローマをお手本にした教会や修道院がヨーロッパの各地で建築されていった。それがローマ風の建築、ロマネスク建築だ。20世紀に入り、ヨーロッパ独自の美術がロマネスクで初めて成立したと再評価されている。

 大学は中世ヨーロッパの修道院に起源を持つ。兼松講堂を設計した伊東忠太は、おそらくオリジナルにこだわってロマネスク建築を選択したのだろう。そしてもうひとつ、伊東忠太はロマネスク様式に登場する怪物たちにこだわった。ロマネスク様式で建てられた建造物の柱には奇妙な怪物たちが彫り込まれている。この柱頭彫刻には、まだ、アニミズム的な精霊信仰を捨てきれなかった中世の人々の世界観が表現されている。フランスのブルゴーニュ地方にはロマネスク時代の素晴らしい建築物がいくつもあり、ヴェズレーにあるサント=マリー=マドレーヌ聖堂やオータンにあるサン=ラザール大聖堂の柱には不自然な姿勢の人間や奇妙な怪物たちが棲みついている。

 キリスト教の概念では、こうした彫刻は悪魔のシンボルと解釈されてしまうため、ゴシックの時代には廃れてしまう。しかし、江戸時代の末期の山形県で生まれ育った伊東忠太は、無類の怪物好きとして知られ、学者になってからも、怪獣たちの絵を描き続けたと言われる。彼の想いが、中世のヨーロッパを国立に蘇らせたのだろう。兼松講堂の外側にはヨーロッパを起源に持つ怪物が彫られ、内部には伊東忠太のオリジナルの怪物たちがたくさん登場する。国立を散策する際にはぜひご覧あれ。(酒バラ)

兼松講堂を紹介した国立市のHP
http://www.city.kunitachi.tokyo.jp/kikaku/01kikaku/01145/01145_1_06.html

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