こんなEU、あんなEU~日常に見るヨーロッパ | Life in the EU

東京での奇跡 Lithuanian Free-jazz Musician Performs in Tokyo

Posted on: 2010/10/18

リトアニアからやってきたサキソフォン奏者、リューダス・モツクーナス(1976-)の演奏を聴いていると、ジャズについてのさまざまな想いが頭の中を駆け巡った。最近、おしゃれなレストランやバーに行くと、BGMにはたいていジャズがかかっている。また、高級車レクサスのサウンドシステムは、ジャズが最も聴きやすいように設計されていると聞いたことがある。

 そうしたジャズの大半は、‘奇跡的な美酒’と称される、1950年代後半から1960年代前半にかけて録音されたモダンジャズだ。なぜ、モダンジャズがそのように呼ばれているかというと、当時のミュージシャンたちの汗みどろの格闘の末に、本当に陶酔するように美しい音楽へと到達することが出来たからだ。それは天才的な音楽家たちの幾多の出会いを経て成し遂げられた、本当に奇跡的なアートフォームだった。ブルーノートレーベルの1500番台のアルバムを聴くと、そうしたことが実感できるはずだ。

 それがあまりにも美しいものだから、ジャズのもつ雑食性は切り捨てられ、それだけが再生産され、ジャズは僕たちのまわりに溢れる心地のよいアンビエント・ミュージックになった。しかし、それは別に否定すべきことでもない。誰だって、気持のいい音楽が好きだ。

 しかし、リューダスがサキソフォンと一体化して、今までに聴いたことのなかったような囁きや叫びや息づかいでこちらに語りかけてくると、「洗練は衰退の始まり」というのは実に的を射た言葉なんだなと思えてくる。ジャズという音楽の持つ既成概念の彼方に、新しい美学が誕生する瞬間に立ち会うことが出来た喜びに心底ゾクゾクした。

 デュオのパートナーである宝示戸亮二(ほうじと・りょうじ)(1959-)の存在も強烈だった。リリシズムと狂気を併せ持った、彼のピアノ(およびエトセトラ)演奏は極めてスリリングで、相互に触発し合いながらジャズの闘争領域を拡大していった。挑発するようなきわどい宝示戸の存在があってこそ、9月21日・新宿PIT INNでのインプロビゼーション(即興演奏)は、‘奇跡的なスピリッツ(蒸留酒)’となり得たのだ。仙人のような宝示戸のやんちゃぶりに応える腕白坊主は、リューダス以外にはなかなか見つからないかもしれない。(ロニ蔵)

 
リューダス・モツクーナス
http://www.myspace.com/liudasmockunas

宝示戸亮二
http://www5.famille.ne.jp/~kanji/index.html

リューダス・モツクーナス&宝示戸亮二のニューアルバム:vacation music
Disc Callithump(ディスク・キャロサンプ)
http://disc-callithump.galabox.net

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