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現代アートの諧謔? Richard Gorman, Paintings and Prints at Mitaka City Gallery of Art

Posted on: 2010/11/15

死にもせぬ旅寝の果てよ秋の暮

アイルランドを代表する現代美術作家、リチャード・ゴーマンの作品展を観ていると、ふと松尾芭蕉の一句が思い浮かんできた。

この句の解釈を簡単に言うと、「行き倒れになる覚悟で旅に出たが、晩秋の今日は知人の家に着いてうたた寝をしている」ということになる。『野ざらし紀行』に収められた句で、大垣の知人宅で詠んでいる。
抽象画と俳句の取り合わせというと奇をてらったという風に思われるかもしれないけれど、この句が実際に浮かんできてしまったのだから仕方がない。

三鷹市美術ギャラリーで、9月11日から10月24日まで開催されている「リチャード・ゴーマンⅡ」展には、日本初公開の65点の作品が展示されていた。シンプルな形をアースカラーで塗り込めた作品群は、ポップな印象を与えるとともに、インナースペースを覗きこんだような、不思議な静謐感に満ちていた。絵を観るというよりも音楽を聴くような展覧会だと言えば、一番しっくりくるかもしれない。特に和紙に木版印刷された作品を観ていると、枯淡の境地を感じさせるような深い味わいがあって、その前から離れられなくなってしまった。

1990年代からリチャード・ゴーマンの活動を追いかけてきた同ギャラリーの浅倉祐一朗副館長によると、1999年に開催された個展に比べると作品が大きく変容しているという。10年以上前の作品は同じ抽象画でも観る者に訴えかけるような作品が多かったが、今回は、「おかしみ」とか「悲哀(ペーソス)」を感じさせ、作品の向こう側へといざなうような作品が多数を占めるようになったそうだ。専門家の前で俳句の話など出来なかったが、説明を聞いていて、あながち的外れな連想ではなかったかもしれないと思った。

1946年にダブリンに生まれたリチャード・ゴーマンは、トリニティ・カレッジで経営学を学び、自動車業界に就職した。しかし画家への夢が断ちがたく、30歳にして美術大学に入り直し、アーティストを目指した。1986年に来日して以来、福井県今立町(現在、越前市)で和紙を漉いたり、京都で作品を制作したりするなど、20回以上も訪日している親日家だ。現在は、ダブリンとミラノのアトリエで制作活動を行っている。彼の旅はこれからも続く…。(ロニ蔵)

三鷹市美術ギャラリー
http://mitaka.jpn.org/ticket/gallery/

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