こんなEU、あんなEU~日常に見るヨーロッパ | Life in the EU

本の町へ、ようこそ The “Town of Books” in the UK

Posted on: 2010/11/30

世界中の図書館にある書籍をすべてスキャンしてデータベース化しようという「電子図書館構想」の試みがグーグルなどを中心に進められているが、こうした話を聞くと思い出す町がある。イングランドとウェールズの境にある「ヘイ・オン・ワイ」という英国の田舎町だ。ロンドンから電車で3時間、さらにバスで1時間あまりの辺鄙な町だが、ここには古書を求めて年間500万人の本好きが訪れるという。商店街の半分以上、40軒近くが古書店という変わった町で、古城も映画館も消防署も協会も古書店に衣替えをしているというから驚きだ。所蔵の書籍総数は100万冊を超えるが、「ボクシング」や「ミステリー」、「鉄道」、「シネマ」、といった具合に各書店が専門化して棲み分けを図っている。自然に恵まれたこの町で、のんびりと古書巡りの旅をするというのもなかなか乙なものだ。都会の古書街では決して味わえない贅沢な時間を過ごせるに違いない。

この町の歴史がなかなか興味深い。

ヘイ・オン・ワイは、1950年代にロンドンからの単線鉄道が廃線になったため、過疎の山村になってしまった。そこで登場するのが、オックスフォード大学で歴史学を学んだリチャード・ブース青年だ。まず1960年代のはじめに消防署の跡地を改装して古書店を開業。「この村に本を読む人なんていないよ。すぐに潰れるさ」という陰口などどこふく風で、町の至るところを古本で埋め尽くす「野望」を抱いて、最初は通信販売などでスタートした。そしてじょじょに外部の古書店を誘致するなどして、本好きの評判を集めるようになった。こうなってくると、この町の魅力に魅かれてやってくる旅行者たちのためのB&B(宿屋)やレストラン、アンティークショップなども建ち始め、いつしか「本の王国」として世界中に知られるようになった。

仕掛け人のブースの方は、古書店の放漫経営から何度も破産宣告を受けるなどいろいろと問題もあったらしいが、ヘイ・オン・ワイはイギリスで最も成功した町おこしの例として全世界の注目を集めている。日本でもこの町を参考にしながら、「本の町」を呼びものにして観光客を集めるブックツーリズムの動きが、長野県伊那市の高遠町などで盛んになっている。電子書籍もいいが、本好きとしてはこのような町づくりがグローバルに広がってほしいものだ。(ロニ蔵)

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