こんなEU、あんなEU~日常に見るヨーロッパ | Life in the EU

Archive for April 2011

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  • Comments Off on プチファーブルと呼ばれた画家 The Painter Known as “Fabre le Petit”

熊田千佳慕(くまだ・ちかぼ:1911-2009)という画家をご存知だろうか? 日本のプチファーブルと呼ばれた細密画家だ。フランスのファーブルが著した『ファーブル昆虫記』に魅せられ、ファーブルの世界をスーパーリアルなタッチで描写したナチュラリストである。

プチファーブルと呼ばれるようになったのは、「J.H.ファーブル展」(1989年 神奈川県立美術館)で、フランス・ファーブル博物館のコレクションとともに彼の原画が展示された時からだ。はるばるフランスからやってきた来賓が千佳慕に声をかけた。
「ファーブル先生は虫の世界を文字で世界の人々に知らせたが、あなたは虫たちの生活やファーブル先生の偉業を絵筆で多くの人に知らせてくれた。クマダはプチファーブルだ」(プチファーブル・熊田千佳慕展 図録より)。

フランスからやってきたファーブル関係者を驚かせたのは、千佳慕が日本から一歩も出ていないのに、ファーブルが後半生を過ごした南仏のセリニアンの情景をそっくりそのままに再現したからだった。ファーブルが観察した虫たちの世界を、まるでファーブルと一緒に見ていたようにして描いたことに何より驚愕したのである。

昨年、高崎市美術館(群馬県)で開催されていた「熊田千佳慕展」に足を運んだ時、何よりビックリしたのは、幼い頃読んだ『ファーブル昆虫記』の世界がすぐ目の前に広がっていたことだ。まだ小学生に入る前、なんて不思議な暮らしをしているのだろうと夢中になって虫たちを眺めていた自分が、すぐ目の前にいたのだ。

おそらく、千佳慕の虫たちの世界に触れあった人なら誰でもそんな気持になるに違いない。文章や写真では決して表現できないリアリティがそこにはある。原画を見る機会があったら是非とも彼の世界に浸ってほしい。もしそれが難しいのであれば、小学館から出版されている『ファーブル昆虫記の虫たち』で千佳慕ワールドの扉を開けてほしいものだ。(ロニ蔵)

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  • In: Art | movie
  • Comments Off on カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』を鑑賞して Who Determines Your Life?: Review of the Movie Never Let Me Go

ブッカー賞作家カズオ・イシグロの同名小説を映画化した『わたしを離さないで』(原題:“Never Let Me Go”)を鑑賞した。カズオ・イシグロは、1954年に長崎県で生まれ、5歳の時に英国に移住。今回の映画化にあたっては、みずからもエグゼクティブ・プロデューサーとして参加した。

物語は、28歳の介護人のキャシーの回想を通して語られる。キャシー、ルース、トミーの幼なじみ3人の関係性から、幼い頃に育った寄宿学校ヘールシャムでの奇妙な生活、離れ離れになったあとの10年ぶりの3人の再会…。

緑豊かなヘールシャムでの暮らしは、閉鎖的でありながらも、子どもたちは徹底的な健康管理を受け、絵や詩の創作に励んだ日々を送っている。腕にはセンサーが埋め込まれたバンドをはめ、施設から外に出るときは、特殊な機械にそのバンドを通す。そうやって終始監視されている状態だ。学校の敷地には境界線が張り巡らされ、そこから出ることは許されず、外界からは完全に隔離されている。

そんなヘールシャムでの生活を、子どもたちは誰一人として違和感や不信感を抱かずに過ごしている。まるで機械のように、淡々と、冷静にその状況を受け入れているのが印象的だ。心の奥では、外の世界に夢馳せているにもかかわらず…。

やがて思春期を迎える3人だが、ルースとトミーが恋人同士となり、その3人が同じコテージで過ごすことになる。トミーに想いを寄せるキャシーだが、2人の仲をただ黙って見守ることしかできなかった。やがてキャシーは、「介護人」を志願し、コテージを去る。

物語の途中で、彼らはみずからの運命を知ることとなるが、その際も動揺すらせず、ただ黙ってその運命を受け入れるのだった。そこに人間的感情はないように映る。人は、誰もが「自分の人生」を歩むものであると当然のことのように感じてしまいがちだが、ヘールシャムで育った子どもたちの場合は、運命はすでに決定づけられ、みずからの生命は他の者のためにあるという現実を突きつけられているのだ。

主人公キャシーの最後の言葉がとても印象的だった。その投げかけがこの作品のテーマにもなっているように思う。人生を選択できる者として、今をどう生きるか。少し重いテーマではあるが、生き方を見つめなおす良い機会となるであろう。(さくら)

『わたしを離さないで』(3月26日公開)
http://movies.foxjapan.com/watahana/

日本でも自転車人気が高まっています。自転車を選ぶ目的は、スポーツ用?もしくは、日常使い?ドイツのスポーツ用品メーカー・PUMAは自転車のラインアップも充実しています。スポーツギアで有名ですが、日常生活のことを考えて作られた自転車は見た目もオシャレ。

PUMAと、デンマークの自転車ブランドBiomegaの共同開発によって生まれたのがPUMA BIKE(プーマバイク)。2005年に登場しました。独特のフォルムとデザイン性に特徴があり、おすすめなのが女性向けの「プーマバイク4」。スカートをはいたままでも乗り降りしやすいように、トップチューブがありません。女性の筋力や骨格にも配慮してあって、実用的なので、日常生活の中に溶け込みます。

1999年からPUMAはモータースポーツにも力を入れています。フェラーリやレッドブル等のF1チームのオフィシャルサプライヤーであり、2輪モトGPのトップチーム・ドゥカティ社のライセンスパートナーでもあります。このような経緯もあって、モータースポーツ事業がより多角的に展開されるようになってきました。

2011年F1開幕戦のオーストラリアGPと第2戦のマレーシアGPで、レッドブルのセバスチャン・ヴェッテルが連勝!プーマ・モータースポーツの新境地もチェックしてみてください。(くるみ)

PUMA公式サイト
http://www.puma.jp/

  • In: Administration | Disaster
  • Comments Off on EU諸国からの支援続々と Tremendous Relief Efforts from European Countries

3月11日に東北太平洋地域を襲った大震災から早くも一ヶ月半が経とうとしている。被災地でも、復興に向けての動きが徐々に見えはじめてきた。ただ、今回の地震による津波の被害は、想像をはるかに超えるものであったため、一ヶ月以上たったいまでも、陸に打ち上げられた大型船や、土砂に埋もれた車、崩壊した建物の残骸が手付かずのまま放置されているのが現状だ。そういった被災地の映像を目の当たりにすると、復興への道のりは長く険しく、相当な忍耐力が要求されるだろうというのが率直な感想である。

ただ、この一ヶ月の状況を振り返ってみると、被災地への支援の動きは、日本全国からのみならず、EU諸国をはじめとする各国からも多く寄せられている。そして、特に注目したいのが、日本に駐在する各国大使館の動きである。

通常、大使館(職員)の役割というのは、その国に住む自国民の安全確保や、サポートが主な業務になるのだが、今回の震災では、日本の被災者支援という、通常の枠組みを超えた活動を、大使館員が独自に、また冷静に遂行してくれているのである。その温かい心遣いに感銘を受けたので、いくつかここで紹介したい。

メルビン駐日デンマーク大使は、震災直後の3月31日にみずから被災地、宮城県東松島市を訪れ、デンマークの船社ノルデン(Norden A/S)による1,500万円の寄付金を、すぐにでも使えるようにと現金にして市長に手渡し、また被災地の子どもたちには、LEGO社から寄付されたおもちゃを手渡して回った。また、4月1日には、デンマーク大使館のシェフが、東京ビックサイトに一時避難している被災者に対し、デンマーク流弁当を振る舞うなど、その迅速な決断と、被災者支援の強い思いに、胸が熱くなった。

そのほか、フランス大使館では「フランス炊き出し隊」を結成し、4月3日から9日まで、福島県郡山市に避難している被災者に暖かい料理を振る舞った。福島原発で不安な日々を送っている避難民の皆さんにとっても、一時でも現実を忘れて、食事で暖を取る機会となったであろう。

ベルギー王国大使館は、ベルギー観光局ワロン・ブリュッセルと共同で、被災した子どもたちへの寄付を目的としたチャリティー・マーケットを企画(4月23日)。入場料と売り上げの一部を、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンを通じて被災した子どもたちのために寄付するという。

ここで紹介した支援はごく一部であり、全てを紹介できないのは残念ではあるが、EU各国の支援を受けて、われわれ日本人は復興に向けて前進しているということを忘れてはならない。
(さくら)

  • In: Art | Culture
  • Comments Off on 渋谷にフェルメールの絵が来た(オランダ・フランドル絵画展) Vermeer Painting and other Dutch/Flemish Works on Display in Shibuya

渋谷Bunkamuraで開かれている「フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展」に行ってきた。混雑を避けるために日曜日の開館時間早々に行ったが、同じことを考える人が多いのか、開館直後からチケットのもぎりの前に老若男女が長蛇の列をなし、最初の絵の前に人だかりができていた。

この絵画展では、ドイツのシュテーデル美術館所蔵のオランダ、フランダース地方(ベルギー北部)の絵画75 点などが展示されている。“目玉”は、その絵画展の名のとおり、オランダの画家フェルメールの油絵《地理学者》だ。フェルメールの絵といえば、映画化もされた油絵《真珠の耳飾りの少女》(オランダ・マウリッツハイス美術館所蔵)を思い浮かべる人が圧倒的に多いだろう。

一方、《地理学者》は、日本では馴染みがないかもしれない。とはいえ、この絵はフェルメールのもう一つの有名な油絵《牛乳を注ぐ女》(たしか、この絵の世界を再現したチョコレートのCMがあった)とよく似た構図を採っていて、フェルメールの作品であることが伺われる。部屋の片隅に人物が一人。その人物の右側のちょうど顔の高さにある窓からあたたかい陽射しが差し込み、人物の横顔を浮かび上がらせている。《地理学者》では、人物は農婦に代わって若く聡明そうな学者である。

《地理学者》が描かれたのは17世紀。この世紀は、オランダでは「黄金の世紀(Gouden Eeuw)」と呼ばれる。当時海上貿易の欧州の要衝だったアムステルダム港を擁するオランダには同時代の東西の最先端の事物が次々と入ってきた。オランダ帆船が世界中を航海していたこの時代、船を目的地に正確に導くための地図を作る技術は当時の最先端技術だったに違いない。青年学者の表情からは、こうした研究分野を担っている矜持や研究で得られる充実感が見て取れる。

その他に展示されている絵画にはレンブラント、ブリューゲル父子など有名なオランダ、フランダース地方出身の画家の作品が含まれ、シュテーデル美術館のコレクションの豊富さに驚かされた。オランダ、フランドル地方の風景画や、貴族や民衆の当時の暮らしぶりを描いた風俗画を鑑賞し、しばし“ヨーロッパの空間”を堪能した。寓意画《ネズミのダンス》は実に微笑ましくて、つい帰り際にポストカードを買ってしまった。(「フェルメール展」は5月22日まで開催。)
(じょぎんぐまん)

「フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展」(Bunkamura)

  • In: Food | Lifestyle | Uncategorized
  • Comments Off on フェッラーリで幸せを味わう Ferrari Wine from Italy Offers a Taste of Happiness

震災後、不謹慎とのお咎めを承知で書くと、お花見で頂き物のスパークリングワインを開けた。イタリアの「フェッラーリ・ブリュット」。春風の中で味わったせいか、フルーティな香りと軽やかな味わいが、これまで飲んだスパークリングワインの中でも最上のものに入る気がした。満開の桜を眺めながら幸せな気分になった。

自動車Ferrariと同じで覚えやすいが、いったいこれはどんなワインだったのか知りたくなった。するとなんと、イタリア大統領官邸や各国のイタリア大使館で必ず出される銘柄なのだそうだ。そして、シャンパンの国フランスでも愛飲されている稀なスプマンテ(イタリア語で発泡ワインのこと)だという。

その美味しさの秘密は、伝統を守り続けていることにある。1902年にジュリオ・フェッラーリ氏が、シャンパンと同じ瓶内二次発酵を行う製法でスプマンテを作り始め、その古典的方法(メトッド・クラシコ)が、1952年にルネッリ家にワイナリーが引き継がれた後も忠実に守られ、今に至っているのだ。使われるブドウは、トレントの土地で取れる最上のものだけ。

厳格に伝統を守り維持される高品質。イタリアのこだわりを垣間見た気がした。自分で気軽に買える値段ではないので、またいつかどこかでお目にかかれることを楽しみにしていよう。 
(みかん)

Ferrari Spumante
http://www.ferrarispumante.it/en/Momenti-Ferrari-En.htm

日欧貿易(日本の取扱業者)
http://www.jetlc.co.jp/index.html

関連記事 「リトアニアのシャンパン?」

  • In: Culture | Lifestyle
  • Comments Off on デンマーク家具デザイナーによるユニークチェアーの数々! “Whiteout” Exhibit of Danish Furniture

© Steen Dueholm Sehested(デンマーク大使館提供)

先日、五反田の東京デザインセンターで開催されていた「WHITEOUT展」(会期:4月2日(土)~8日(金))を訪れた。展覧会のタイトル「ホワイトアウト(雪や雲などにより視界が白一色となり、方向・高度・地形の起伏が識別不能となる現象)」が物語るように、デンマークの家具職人による個性豊かで、アイデアがたっぷりつまった真っ白な椅子が展示場に並べられていた。

面白いことに、38脚の全ての白い椅子は、個性的でありながらも、全て80×80×120cm の規格で統一されており、そのユニークなコンセプトにも遊び心が表れていて、見る人を大いに楽しませてくれる。

© Kjeldtoft Møbelsnedkeri(デンマーク大使館提供)

一例を紹介すると結束バンド(インシュロック)をつなげて椅子を形作っている作品(実際座って試すことはできなかったが、多分座っても壊れないのであろう・・・)、フワフワした羊の毛を使ったとてもメルヘンな作品や、アコーディオンのように連なった板を結束させることで初めて座ることができるという、なんとも奇妙な発想の作品など、38脚それぞれが独自の世界を創り出していて、人の数だけアイデアがあるというのはこういうことだなと、なんだかやけに納得してしまう自分がそこにいた。

北欧デザインは、どちらかというと、ヴィヴィットで鮮やかな色調が特徴であるし、家具も木目や木そのものを基調とした素材が多い中、このように「白」だけで表現する作品展はとても珍しいのではないかと思う。そういった意味で、また新たな北欧デザインを発見できたことにもちょっぴり嬉しさを感じてしまうのであった。(さくら)

© Torben Skov(デンマーク大使館提供)

「WHITEOUT展」(会期:2011年4月2日~8日)


自由で活発な発言を歓迎します。

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