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フランスから見たロンドンの暴動 London Riots as Seen in France

Posted on: 2011/08/19

ロンドンで6日夜に発生し、バーミンガムやリバプール、マンチェスターにまで拡大した若者の暴動。フランス人なら誰しも、全国の都市郊外に暴力が吹き荒れた2005年11月を思い出さずにはいられない。

このときも、発端は警官に追われた移民家庭出身の若者が死亡する事件だった。暴動はパリ郊外ではじまり、やがて地方都市の郊外へと飛び火。おもに路上に駐車した自動車が放火のターゲットにされ、9000台以上が燃やされた。沈静化するまでにほぼ3週間を要したが、警察が「平常通り」と宣言した夜に放火された車の数は98台だった。つまり、一晩に百台くらいの自動車に火がつけられるのは「日常」だったのだ。 

 当時は、海外のメディアがこぞってフランスの都市郊外の「ゲットー化」を指摘した。お隣のイギリスも同様で、そのときはフランスと比較して、自国の移民統合政策が成功していることを暗に誇るような書き方もあった。

古くからイギリスに対抗心を抱くフランスだけに、今回はメディアもここぞとばかりに反撃するのだろうかと思い、ル・モンド紙の社説を見てみた。

同紙は、暴力の急激な連鎖反応という「見かけは似ている」が、背景は「まったく同じとは言えない」と指摘する。フランスでは郊外のもっとも荒廃が進んだ地区で若者が暴発したのに対し、今回のイギリスの場合は、多様な民族、社会階層の住民が混在する地区だった。貧困層と富裕層が共生≪しているかのように見えた≫地区で、格差という現実が「残酷なまでに白日の下にさらされた」のが今回の事件だったというわけだ。

もちろん2つの暴動には、共通の根がある。どちらも「社会の落ちこぼれ」の反逆であり、その≪社会≫とは、もはや彼らに居場所も未来も与えることができなくなっている。家庭、学校、社会から見放された彼らに、「失うものなど何もない」のだ。

そしてル・モンドは、2つの国の政府がとった対応も同様に場当たり的、と嘆く。政治家たちは「法と秩序を守る」ことばかりを優先した。少なくともそのようなレトリックを用いた。「これは単に若者の非行問題のエスカレートである」と片付け、治安の強化に邁進するならば、問題の根を取り除いたことにはならない。暴動から6年近くを経て、いまなお状況に大きな改善が見られないフランスならではの指摘と言えるだろう。
(ル・ジュスティシエ)

〔CC : A.J.〕 2005年11月2日深夜から3日未明にかけて放火された自動車(パリ郊外セーヴル市)

 

【参考記事】
Le Monde, « Tottenham-Clichy, les révoltés du “no future” »

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