こんなEU、あんなEU~日常に見るヨーロッパ | Life in the EU

Archive for October 28th, 2011

一本の線が描かれる時間というのはほんの数秒のものだろうが、その繊細で憂いをふんだ線が生まれるには、想像を絶するような時間が必要だったに違いない…。

「ウィーン工房1903-1932」展(パナソニック電工汐留ミュージアム)で展示されていたフェリーチェ・リックス(1893-1967)の壁紙「そらまめ」の描線を眺めながら、ふとそんなことを思った。
とにかく実際に見ていただくのが一番いいのだが、その淡い色づかい、ポップな感覚、ふわふわとした浮遊感…、眺めているだけで思わずウキウキしてきてしまう。展覧会は初秋だったけれど、この「そらまめ」を見た瞬間、その周辺が春の爽やかな陽射しに包まれてしまった。

ウィーンの富裕な事業家の家に生まれたリックスは、ウィーン工芸学校でウィーン工房の創立者の一人であるヨーゼフ・ホフマンの教えを受ける。卒業後、ウィーン工房に入り、テキスタイル、陶芸、ガラス、七宝図案などの多くの作品を発表し、モダニズムの先駆者として活躍した。

そんなリックスの前に現われたのが、ウィーンに留学中の上野伊三郎(1992-1972)だった。京都の宮大工の家に生まれ東京で建築を学んだ上野は、建築を学ぶためホフマンの建築事務所に勤務していた。運命的な出会いをした2人は1925年に結婚し、翌年に活動拠点を京都に移した。上野は「上野建築事務所」を開設し、リックスはその美術工芸部の主任となった。上野リチと呼ばれたリックスは京都の伝統職人たちから伝統技法を学び、独自の意匠世界を切り開いていった。

戦後、二人は京都市立美術大学(現京都市立芸術大学)で教鞭をとり、日本の美術界に大きく貢献した。東京でリチの作品をご覧になりたい方は、日生劇場の地下レストラン「アクトレス」へどうぞ。金地に色鮮やかな花模様が描かれた彼女の壁紙を天井や壁面に見ることができる。これは襖紙に描かれたもので、日本の「障壁画」の技法と彼女のモダンデザインが融合したものだそうだ。(ロニ蔵)

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