こんなEU、あんなEU~日常に見るヨーロッパ | Life in the EU

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最近、欧州の女性リーダーが新聞やテレビによく登場しているのを目にします。9月、デンマークで女性初のシュミット首相が誕生。10月に入るとギリシア危機で欧州金融安定基金(EFSF)拡充案の批准をめぐって、スロバキア初の女性首相ラディツォバー氏が目立っていたし、ドイツのメルケル首相も欧州の金融危機のカギを握っています。

女性リーダーが取り上げられるのは、リーダーになるケースが男性よりもまれだからという印象が以前は濃かったのですが、最近は女性として自信を持って働く姿が印象的に映ります。フランスのクリスティーヌ・ラガルドIMF専務理事が7月就任直後に「私の姿を見て、若い女性たちが、『どんな人生の選択もできる』と勇気を持ってくれたらうれしい」とコメントしていたのを覚えています。これからを生きる若い世代にとって今の女性リーダーの活躍ぶりはどのような姿として心に残るのかと頭をよぎりました。女性リーダーが増えれば世の中が変わっていく気がします。(くるみ)

私は最近まで、上場企業の投資家向け広報(インベスター・リレーションズを略してIRと称す)に関連した仕事をしていた。その経験から知ったのは、投資家はグローバルに存在するが、企業が発信する情報にはお国柄ないし地域柄が表れるということである。

IR情報のなかに、アニュアル・レポート(年次報告書)というものがある。事業戦略の説明や写真など、企業が自社のアピールのためにつくる企画ページと、法令や上場取引所のルールで開示が決められた、財務諸表や注記をはじめとする財務情報が一緒になった資料である。このアニュアル・レポート、読み比べると、アメリカとヨーロッパの企業で傾向が異なるのである。

アメリカでは、2002年に会計・監査・情報公開などの制度が改革されSOX法が成立して以降、徐々にアニュアル・レポートの企画ページが減ってきた印象がある。IBMを例にとれば、2002年版アニュアル・レポート中40ページを占めた企画ページは、2010年版では16ページになっている。これは、SOX法によって開示が義務づけられた項目が増えた影響だろう。財務部分の開示情報が増え、それにともなってレポートづくりの労力と費用が増加したぶん、企画ページが減ったというわけである。全体として、アメリカの企業のアニュアル・レポートは、無味乾燥で読み物としての魅力が乏しいものが増えた気がする。

対してヨーロッパでは、年ごとに企画ページが膨張して、とうとう自立するくらいに分厚くなったアニュアル・レポートも多い。例えば、内容もプレゼンテーションも洗練されていて、筆者が毎年チェックしていたイギリスのランド・セキュリティー社の2011年版アニュアル・レポートは企画部分が88ページ。スウェーデンのエレクトロラックス社の2010年版レポートは2分冊のうちの第1部全94ページが企画モノ。ドイツのバイエル社の2010年版レポートでは企画部分がなんと139ページにものぼる。

実は、ヨーロッパにおいても2005年の国際財務報告基準(IFRS)の導入以降、財務情報は増加している。にもかかわらず、製品やサービスを魅力的に見せる美しい写真を多数掲載し、成長戦略を図表も交えて説明するなど、多くの企業がそれまで以上に企画ページに力を入れているのだ。ここには、ヨーロッパにおける「企業価値」に対する考えかたや、「企業価値」のプレゼンテーションを重視する姿勢が表れていると思う。

とはいえ、情報が詰め込まれた大冊アニュアル・レポートは、必ずしも読み手である投資家に好評とばかりとはいえないのが実情だ。ページ数が多すぎて、投資家にとって本当に肝心な情報が埋没してしまうという声もしばしば聞かれる。イギリスの金融機関HSBCが発行した2006年版アニュアル・レポートは、1冊で454ページ、1.47㎏にもなったことが英紙フィナンシャル・タイムズで揶揄されたほど。ただし、アップル社のアニュアル・レポートに代表される、財務情報に表紙をつけただけという究極的なアメリカ型も、つまらないと不評である。

ここ数年は、ヨーロッパ・アメリカともに(そして日本でも)、印刷物としてのレポートの配布は止め、オンライン・レポートのみとする企業も増えてきた。企業価値の説明がいかになされるべきなのか、さまざまな立場から知見を持ち寄り、意見を交換するセミナーやウェブサイトも活発だ。正解のない課題だけに、今後も模索が続くことは間違いない。
(オオカミ女)

 

【リンク】
●IFRS財団 ウェブサイト
http://www.ifrs.org/Home.htm

●プライスウォーターハウスクーパースの「コーポレート・レポーティング」サイト
http://www.pwc.com/corporatereporting

 前回に引き続き、ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団(West-Eastern Divan Orchestra)についてお話をしたいと思います。

 1999年にドイツ・ワイマールにおいて創設された同管弦楽団は、その後、スペインのアンダルシア地方に拠点を定め、アンダルシア自治州の支援を受けながら、ワークショップや演奏会のツアーといった活動を続けています。2011年現在、同楽団は105人の団員を抱え、その構成は、アラブ諸国出身が41名、イスラエルが37名、スペインが22名及びその他国籍が4名であるそうです。加えて、さらに若い音楽家達からなるオーケストラ、アンダルシア管弦楽団も編成されており、アラブ諸国出身の17名、イスラエル出身の6名、及びスペイン出身11名が、選抜体であるウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団への入団を目指して練習に励んでいるそうです。

 2004年には、同自治州の支援により、音楽家の育成と音楽を通じた平和教育を促進させる目的で、バレンボイム・サイード財団が設立され、同管弦楽団以外にも様々な活動が行われるようになっています。フラメンコと闘牛で有名アンダルシア地方ですが、紀元前2世紀に古代ローマ、5世紀にはゲルマン系の西ゴート王国、8世紀にはイスラム系のウマイヤ朝の支配を受け、13世紀以降はキリスト教諸国による国土回復運動(レコンキスタ)征服が進むものの、1492年にスペイン王国に統一されるまではイスラムの支配が残ったという経緯を持っています。ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団は、異なる歴史的、文化的、社会的背景を持つ若者による音楽活動を通じた関わり合いの場であり、アンダルシアは、その本拠地たるにふさわしい歴史を歩んできた地であると言えましょう。

 EU諸国の財政問題が喫緊の問題とされている昨今ですが、10月18日、大手格付け会社ムーディーズは、スペインのソブリン格付けを「Aa2」から「A1」へと2段階引き下げると発表すると同時に、同国の自治州の財政状況についても、今年度の財政赤字抑制目標を達成できないであろうとの厳しい評価を下しました。大きな財政赤字を抱えるEU加盟国に対しては、経済ガバナンスのより一層の強化が求められていますが、スペインでは、医療や教育など生活に不可欠な社会サービスの責任を負っている自治州に対しても、財政赤字抑制要求の矛先が向けられているようです。その影響あってかどうか、バレンボイム・サイード財団についても自治州からの財政支援の停止まで取り沙汰された(ている?)ようで、今年は15%の予算削減を余儀なくされたとのことです。他方、8月のスペインの新聞は、バレンボイムが今夏もセビリアを訪れてウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団を指導したこと、そして同楽団が今年も世界ツアーを敢行したことを報じており、何よりです。今後とも、同財団による音楽家の育成と音楽を通じた平和教育が続いていくことを期待します。

 他方、10月31日には、ユネスコの総会でパレスチナの正式加盟の是非を問う採決が行われ、圧倒的な賛成多数で可決されたとのニュースも流れました。パレスチナの国連加盟を巡る協議が続くなか、イスラエルやアメリカは、和平交渉を妨げる一方的な動きであるとして強く反発。イスラエルはユネスコに対する資金拠出の凍結を決定し、ユネスコ最大の資金拠出国である米国も資金拠出の凍結の可能性を否定しない状況となっています。

 やれやれ、音楽と社会。

(オラ!カティ)

【記事に関するリンク先】
●バレンボイム・サイード財団(スペイン語、英語)
http://www.barenboim-said.org/en/inicio/index.html

●ムーディーズ格付け情報(英語、2011年10月19日スペインのサブソブリン格付け引き下げ)
http://www.moodys.com/research/Moodys-downgrades-Spanish-sub-sovereigns-negative-outlook–PR_228335

●エル・パイース(スペイン主要紙)記事(スペイン語、音楽と平和(2011年7月29日))
http://www.elpais.com/articulo/revista/agosto/Barenboim/vuelve/arena/elpten/20110801elpepirdv_1/Tes

●エル・パイース(スペイン主要紙)記事(スペイン語、バレンボイム再来(2011年8月1日))
http://www.elpais.com/articulo/andalucia/musica/argumento/paz/elpepiespand/20110729elpand_14/Tes

9月30日に、経済広報センターと日独センターの共催でシンポジウム「日本再建~変貌する国際関係への視点も含めて~」が開催された。ロルフ・ヘンペルマン・ドイツ連邦議会議員、植田隆子・国際基督教大学教授による基調講演のほか、知日派のドイツ人ジャーナリストによるプレゼンやディスカッションで、日本の何が語られるのかというのが私の関心ごとだった。

エネルギー・経済政策専門のヘンペルマン議員からは、東日本大震災後の今、政府の素早い行動が必要との意見が出され、問題解決が早ければ早いほど、国際社会での評価が上がる点が強調された。また、復興のためには「連帯感」がキーとなる話がなされた。東西ドイツ統一にあたっては「連帯税」が導入され、東ドイツで使うお金を国民から回収してきた。ドイツはまた積極的にEU設立に関わってきた。戦後ドイツは国際市場やEUの枠組みによって復興が前進してきたため、ここでも「連帯」がキーワードだった。

東日本大震災を受けて、脱原発の路線をとったドイツは、2010年、15年、20年という5年ごとの区切りにおいて、どのくらい再生可能エネルギーに代替できるのかという課題が待っているという。

ジャーナリストの方々からは、今の日本における議論の必要性が強調された。ドイツにおける「環境問題」は、エネルギー業界における独占市場と政府の力関係のことまでを含んで民主主義に対する問いかけでもあるという。日本においても、一人ひとりが現状の問題点について考え、社会とコミュニケーションを図っていくこと、またメディアも議論のたたき台になる話題を提起していくべきだと指摘された。市民社会の代替機能を果たし得るソーシャルメディアによって伝統的なメディアにはチャンスとリスクが共存しているが、はたして未来はどのようになっていくのだろうか。(くるみ)

【リンク】
日独センター
http://www.jdzb.de/

  • In: Business | Country | economy | Germany
  • Comments Off on 中国大手自動車会社がドイツで技師100人採用へ Major Chinese Automaker Hires 100 German Engineers

中国の大手自動車メーカー、北京汽車集団(北汽集団)がこのほど、ドイツで行われる合同企業説明会に参加した。エンジニア100人を確保する予定で、中国の自動車メーカーによる海外での採用活動としては過去最大となり注目を集めている。

合同企業説明会は、シュツットガルト、ミュンヘン、アーヘンの3都市で開催され、北汽集団の韓永貴総経理代理が、合弁会社「北京ベンツ・ダイムラー・クライスラー有限公司」(BBDC)などグループ各社の代表を連れて乗り込んだ。

現地のドイツ人だけでなく中国人留学生も対象に、自動車製造の各工程のエンジニアを募ったが、650人あまりの応募があったという。

中国は世界一の自動車大国で、生産・販売とも1800万台を超える。しかし、業界の急速な成長に技術力の進歩が追い付かず、自動車の主要部品は輸入に頼っている。また、乗用車はドイツや日本からの輸入車が絶大な人気を誇る。

中国は官民挙げて自動車メーカーの技術力向上に躍起となっており、北汽集団の海外エンジニアの大量招へいもその一環だ。中国人の大胆な動きに、人材を引き抜かれるドイツの業界に衝撃が広がっている。

2010年12月16日と17日の両日、東京で「開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループ」(Leading Group on Innovative Financing for Development)の第8回総会が開催された。「革新的資金調達」とは、巨額の費用がかかる途上国の貧困や気候変動(地球温暖化)の対策において、ODAなどの既存の資金源では賄いきれない部分の資金を新しい手段で調達しようというものだ。リーディング・グループには世界の約60カ国が参加しており、2006年に第1回総会がパリで開催されて以来、革新的資金調達に関する議論が重ねられてきた。

革新的資金調達と言われると、何かいかめしく、縁遠い話のようにも聞こえるが、意外に身近な話題だ。フランスや韓国など約15カ国では、2006年以降、革新的資金調達メカニズムの1つである「国際連帯税(航空券税)」が導入されており、これらの国々を出発する国際線の飛行機を利用する人は、日本人を含めて誰もがこの税金を支払っている。フランスや韓国を旅行すると、フランスの場合はエコノミークラスで4ユーロ(約450円)、ビジネス/ファーストクラスで40ユーロ(約4,500円)、韓国の場合は1,000ウォン(約73円)を負担することになる(円換算は2010年12月現在)。また、日本の証券会社でも販売された「ワクチン債」も革新的資金調達メカニズムの1つだ(ちなみに、ワクチン債は英国が主導している)。この2つのメカニズムで得られた数百億円の資金は、途上国における3大感染症(HIV/AIDS、結核、マラリア)予防・治療のための医薬品や子どものワクチン接種の費用に使われている。

いま、革新的資金調達メカニズムの中で特に世界の注目を浴びているのは金融取引税だ。金融取引税のうち、通貨取引税は金融機関やヘッジファンドなどが外国為替市場で行う円やドル、ユーロなどの取引に課税するもので、市場での年間取引額が8京円(!)以上に及ぶことから、0.005%という低い税率でも税収は4兆円程度になると見込まれている。リーマンショック以後の金融・経済危機の中で、世界各国に不況と政府による巨額財政支出(それに伴うODAの減少)をもたらした金融機関やヘッジファンドにそのコストを負担させるべきだと、欧州を中心に導入の機運が盛り上がっている。サルコジ仏大統領やメルケル独首相も積極的な姿勢を示しており、仏独両国はG20首脳会議に議題として提起している。

こうした動きを受けて、EUも取り組みを始めている。2009年10月に、EU加盟各国の首脳らで構成される欧州理事会は、欧州委員会(EUの行政部門)に世界的レベルでの革新的資金調達についての検討を求めたほか、2010年3月には欧州議会が国際金融取引税の影響についての評価を欧州委員会に要請した。そして、欧州委員会はこれらの求めに応じて、2010年4月に作業文書を公表し、金融機関による負担やCO2排出への課金によって、資金調達と市場の効率性・安定性向上という2つのメリット(「二重の配当」)を得られるとした。同文書は、金融機関による負担やCO2排出への課金のような革新的資金調達手段の実施を成功させるためには、世界的レベルでの連携・協力(EU以外の世界の主要アクター[国家]の参加)が不可欠であることを強調している。しかしその一方で、EU単独での実施は効果が薄れるものの、EUがリーダーシップを示すことで、他のアクターも追随すると見込まれることから、検討しうるとも指摘している。

日本では、革新的資金調達メカニズムの第1段階ともいえる国際連帯税(航空券税)の導入の議論が行われている。12月16日に発表された「平成23年度税制改革大綱」では、同年度からの導入は見送りになったが、前原外務大臣は同じ日に開かれたリーディング・グループ総会において引き続き導入を目指すと発言した。

2011年は、これまで航空券税を主導し、金融取引税導入にも積極的なフランスがG8とG20の議長国を務めることになっており、既にサルコジ大統領は国際社会での革新的資金調達に関する議論を主導する決意を2010年9月の国連総会の場で示している。この問題を巡っては、今後も世界、欧州、そして日本で様々な動きが見られることになるだろう。(PAZ)

欧州委員会、主な革新的資金源に関する分析を公表(2010年4月、駐日欧州連合代表部/日本語)
http://www.deljpn.ec.europa.eu/modules/media/news/2010/100406b.html

「開発のための革新的資金調達に関するリーディンググループ」ウェブサイト(英語)
http://www.leadinggroup.org/rubrique20.html

開発のための革新的資金調達(日本外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/doukou/kklg/index.html

UNITAID(英語)=航空券税で得られた資金を管理・配分する機関
http://www.unitaid.eu/

予防接種のための国際金融ファシリティ(日本語資料あり)=ワクチン債で得られた資金を管理・配分する機関
http://www.iff-immunisation.org/

先日、ノーベル化学賞の受賞が決まった根岸英一教授、鈴木章教授は、記者会見で「若者は海外に出よ」「若い人もがんばれ」 と呼びかけた。日本人研究者が海外に行きたがらなくなっていることは、最近よく耳にする話だ。

そんな折、「知識源のグローバル競争における日独戦略的パートナー 協力進化の展望と可能性」と題して、日独の産学界から代表者を招いて東京で開催されたパネルディスカッションを傍聴した。

技術力や品質の高さへの追求など、共通する強みを生かし、日独が連携して研究を進めていくことが期待されている。そのためにはどのように目標を定め、進めていけばよいのだろうか。

パネリストのひとり、東京大学の濱田純一総長は、安定した時代は、経験豊かな教授の指導の下で若い研究者が学んでいくのが学問の世界では主流であったが、この時代には、変化に柔軟に対応できる若い人たちに活躍の機会を与えていくべきである、と発言。

日本学術振興会の小野元之理事長も、早急な研究成果を求めがちなトップダウンの支援ではなく、蒔いた種の中から将来性のある芽が出そうな研究を見抜き、若手研究者のイノベーションが製品化まで結びつくようなボトムアップ式支援の重要性を強調した。

ドイツでは既に、例えば製薬企業が実際に医薬品開発に学生を参加させて、製品化に役立てる試みがあるそうだ。高齢化社会など両国が取り組む課題について、文化の違いも研究チームでうまく生かしつつ、産学が協力していける環境が整うとよいと思う。(みかん)

ドイツ 科学・イノベーション フォーラム
http://www.dwih-tokyo.jp/ja/


自由で活発な発言を歓迎します。

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このフォーラムの内容は欧州連合としての見解を示したものではありません。

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