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「トスカーナの贋作」とは、第63回カンヌ映画祭で、ジュリエット・ビノシュが女優賞を受賞したイタリア・フランス合作の映画。2011年2月から日本で上映されている。

イタリア南トスカーナ地方の小さな町アレッツオで、講演に訪れたイギリスの作家(ウィリアム・シメル)はギャラリーを経営しているフランス人女性(ジュリエット・ビノシュ)に出会う。二人は、作家の新作のテーマである、芸術におけるオリジナルと贋作について論議した後、中世の美しい建造物が残る町として知られるルチニャーノへ向かう。しかし、カフェの女主人が二人を夫婦だと勘違いしたのをきっかけに、15年連れ添ったカップルを装いながら、夜9時までの旅を続ける。

映画は「贋作」についての作家のレクチャー場面から始まり、突然に「夫婦」の会話が紡ぎ出されていく。そこでは、男女の気持ちの違いから生じる口論の場面があるが、英語、フランス語、イタリア語で二人がばらばらに会話しているあたりに、装いを超えた本音のぶつかり合いも感じさせる。現実に留まりたい作家と、虚構の世界に入り込みたいジュリエット・ビノシュがぶつかり合うが、彼女の役回りからくるファジー感が全体に漂っている。

「夫婦」としての仮のシーンが折々に登場するが、恣意的な設定なのか二人の息合せから来ているのか、だんだん分からなくなってくる。そして、ストーリーの結末は、贋作か、真実か・・・。カンヌやヴェネチアで受賞暦のあるイランのアッバス・キアロスタミが監督を務めた。見る人によって捕らえ方が変化し得る不思議な映画的境地に魅せられる。(くるみ)

映画「トスカーナの贋作」公式サイト

 人前で話すことが苦手な人は少なくないと思う。かくいう私もその一人。なるべく人前で話しをしないようにといつも逃げ回っている。でも、それが一国の国王となれば、そうはいかないだろう。

 第83回アカデミー賞で、作品賞をはじめ、主演男優賞、監督賞、脚本賞に輝いた映画「英国王のスピーチ」は、現在の英国エリザベス女王の父上、ジョージ六世が主人公。子供の頃から吃音に悩まされて苦労してきた国王は、夫人のエリザベスに後押しされるように、言語聴覚士ライオネルの治療を受けることになった。このライオネルは、ジョージ六世を呼び捨てにし、対等な立場で治療を施そうとする。しかも、その治療は床を転がりまくったり、大声で罵詈雑言の言葉を発しさせたり、と奇妙なものばかり。ライオネルの無遠慮な態度に、ジョージ六世は最初は反発を覚えていたが、次第にライオネルを受け入れ、信頼する仲に発展していった。

 映画のクライマックスは、ジョージ六世による、ドイツに対する宣戦布告(1939年)のスピーチの場面だ。ラジオ放送のマイクの前に立ち、演説を始めるまで、見ている者はハラハラするだろう。私も思わず「ジョージ六世、がんばれ!」と言いたくなってしまうほどだった。結果的に、国王は英国国民に向かって、一致団結を促し、そして皆に勇気を与える名演説を行った。

 派手な演出やアクションシーンは無いが、それでも最後まで飽きずに見られたのは、これが史実であり、また一人の人間がプレッシャーに押しつぶされそうになりながらも、困難に立ち向かっていく真摯な姿に、心を打たれるからだと思う。いい映画だった!(モコちゃん)

映画「英国王のスピーチ」公式サイト
http://kingsspeech.gaga.ne.jp/

ファティ・アキン監督の『ソウル・キッチン』を観た。監督が生まれ育ち、現在も暮らす、ドイツのハンブルグという街に対する愛に満ち溢れた映画だった。旅をしながらストーリーが展開していく「ロードムービー」も楽しいけれど、そこに暮らした者でなければ描くことができない「ホームタウンムービー」にも捨てがたい魅力がある。

ハンブルグというと国際金融の中心地で何か取っ付きづらいイメージがあったけれど、この映画を観た後では、そうした思い込みがまったく見当違いだったということが分かった。トルコ系移民であるアキン監督のまなざしによって捉えられたこの港町は、さまざまな民族が暮らし、彼らのエネルギーが渦巻く、ごった煮(ソウル・キッチン)状態のカオスそのものだ。映画の舞台となるのは、ギリシア系ドイツ人が経営する下町のレストラン「ソウル・キッチン」。アラブ系やトルコ系、ギリシア系やアフリカ系などバラエティに富んだ若者たちが夜な夜な集まってくる魂(ソウル)の救済所でもある。

ドイツの全人口約8300万人のうち700万人(9%)が外国人だ。これはアメリカ、ロシアに次いで世界で3番目に外国人の割合が多い国ということだ。なぜ外国人の割合が増えたかというと、戦後、かなりの数の外国人労働者を移民として受け入れてきたからだ。彼らの子孫である2世、3世が次々に生まれて、ドイツは多民族国家へとシフトしていった。ベルリンに次ぐドイツ第二の都市であるハンブルグは特に外国人率が高いと言われている。

こうした街に生まれ育ったアキン監督には当然のことながら、トルコ系以外の友人たちも多い。今回、脚本も担当した主演男優のアダム・ボウスドウコス(ギリシア系)もアキン監督の幼馴染。二人でわいわいやりながら、楽しそうにロケハンをしている様子が目に浮かんでくる。シーンの背景となるハンブルグの表情が一つひとつとても丁寧に描かれているのは、この街に対する愛情が半端じゃないからだ。そうした意味で、この映画は、路地裏の隅々までを熟知していないと撮れない究極の「ジモッチー・シネマ」だとも言えるだろう。

『愛より強く』でベルリン国際映画祭グランプリ、『そして、私たちは愛に帰る』でカンヌ国際映画祭脚本賞、そして『ソウル・キッチン』で2008年ヴェネチア国際映画祭審査員特別賞・ヤングシネマ賞をダブル受賞し、36歳で世界の三大映画祭を制覇したアキン監督。若くして巨匠になったからと言って、絶対にビバリーヒルズになんて住まないでね。(ロニ蔵)

「北欧映画の一週間」(2月12日~20日、東京・渋谷)と題し、北欧5カ国(ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、アイスランド)の映画を一挙集結した、トーキョーノーザンライツフェスティバル2011が開催された。昨年のフィンランド映画祭(東京・恵比寿ガーデンシネマ)に引き続き、近年、日本で北欧映画が注目を浴びつつある。

北欧のインテリアやデザインとは違い、北欧映画はどうも日本人にはなじみが薄いように感じるが、実はかなり話題を呼んだ作品も多い。例えば、『ダンサー・イン・ザ・ダーク(Dancer in the Dark)』(カンヌ国際映画祭でパルムドール受賞)、『ソフィーの世界(Sophie’s World)』、『幸せになるためのイタリア語講座(Italian for Beginners)』、『マイ・ブラザー(Brothers)』(2010年にハリウッド映画でリメイク)など、作品は観ていなくともタイトルは耳にしたことがある!という人も多いのではないか。

北欧映画の特徴を一言でいうならば、「生きるとは何か」をテーマとして扱う作品が多いこと。人間の心理の奥底を見事に表現し、娯楽エンターテイメントというよりは、哲学的であり、よりリアルな描写が目立つ。

デンマークの鬼才、ラース・フォン・トリアー監督(Lars von Trier)は、「黄金の心」三部作と称される、『奇跡の海(Breaking the Waves)』(1996)、『イディオッツ(The Idiots)』(1998)、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000)で、純粋無垢な主人公が苦悩の中で懸命に生き抜くも、最後は悲劇で終わるという衝撃的な作品を描いたことで知られる。また、ドグマ95という撮影手法を生み出し、「撮影はスタジオセットなどを禁じ、必ずロケーション撮影でなければならない」「効果音などを加えてはならない」「カメラは手持ちでなければならない」など、映画製作に必要な10カ条の「純潔の誓い」を徹底させた。そんな映画製作事情や背景も、よりリアルさを追求する北欧映画を特徴づけていると言っていいだろう。

ここからは個人的レビューとなってしまうが、これまで観た北欧映画の中で印象的だった作品をいくつか挙げたいと思う。まず、ストーリー仕立てが面白いと感じたのが、『恋に落ちる瞬間(Reconstruction)』(2003)。コペンハーゲンに住む主人公のアレックスにはシモーヌという恋人がいたが、ある夜、スウェーデン人の美しい女性アイメに出会い恋をする(この女性二人は、実はノルウェーの女優、マリア・ポネヴィーが、一人二役で見事に役を演じ分けている)。アイメと過ごした時間はアレックスにとって衝撃的で、まるで自分がまったく別の人間になってしまったようだった。シモーヌも、これまで優しかったアレックスの急変ぶりに戸惑いを隠せない。こうした心理描写が、現実と想像が交錯した手法で描かれており、かなりミステリアスな仕上がりとなっている。現実的なテーマを描くことの多い北欧映画の中では異色の作品と言えるだろう。

もう一作品は、『アフター・ウェディング(After the Wedding)』(2007)。監督は『しあわせな孤独(Open Hearts)』(2002)で、国内外の多くの賞を受賞したスザンネ・ビア。主人公のヤコブ(『007/カジノ・ロワイヤル』の悪役マッツ・ミケルセンが演じている)はインドで孤児たちの援助活動に従事している。物語は、実業家ヨルゲンが巨額の寄付金を申し出てくるところから始まる。彼に会うため故郷デンマークへ出かけたヤコブは、寄付金の交渉を終えてすぐにインドへ引き返す予定だったが、ヨルゲンに半ば強要されヨルゲンの娘の結婚式に出席することに。そこでヨルゲンの妻ヘレナが自分のかつての恋人であるということを知る。人は生まれ育った環境によってある程度宿命づけられている部分はあるが、その中でどう生きるか、どう自分が行動するかが、自身の人生やその周囲の人びとの人生に強く影響しており、人と人の関係性などについて深く考えさせられる作品だ。

このように、北欧映画はリアルさを追求した作品が多いだけに、映画を観終わるとずっしり重い感情にとらわれるが、やはり映画を観る醍醐味というのは、その後味をどのように各個人が噛み砕いて解釈し、生きるヒントにするかにあると思う。その点で、北欧映画の魅力を是非多くの人に味わって欲しい。(さくら)

第22回東京国際映画祭で三冠を受賞したブルガリア映画「ソフィアの夜明け」。年間の映画製作本数が7、8本と言われるブルガリアにおいて、新人監督カメン・カレフのデビュー作にして話題作だ。

主人公イツォがアルコールとドラッグ依存で、人生になげやりになりながらも、自分の心の中と社会に居場所を求めている。弟はギャングに加担していて、とあるきっかけで襲ったトルコ人一家をイツォが助けることから、弟と真に心を通わせて話し合うことができるようになるのだ。また、その事件で、トルコ人の娘ウシュルと出会い、彼女を通して明日を追い求めていく。”輝き”を意味するウシュルの名前だが、彼女の透明感が果たす役割は大きい。スクリーンで見ることが稀な現代ブルガリアを舞台に、青春の感覚と、安定を求める社会情勢が交差する。

イツォ役のフリスト・フリストフが撮影終了間際に不慮の事故で他界した悲劇を乗り越えて完成した作品。日常を切り取ったようなドラマ感と、カルチャーを感じとれる映像が心に残る感覚を与えてくれる。(くるみ)

http://www.eiganokuni.com/sofia/index2.html

今年第7回目となる「ラテンビート映画祭」が9月16日から東京で開催された。スペインをはじめとするラテン諸国から日本初公開の新作話題映画18本が上映されている。東京では1週間ほど、京都、横浜でもほぼ同時期に開催して、10月11日までの日程だ。カンヌ、ベルリン等の国際映画祭に出品された話題作のほか、世界の巨匠がラテン社会を舞台に撮った最新作のラインナップで、カルチャーを存分に感じることができる。

2011年公開予定で、オープニング上映作品となったのは、スペイン内戦下のマドリッドを舞台に喜劇役者と少年の交流を描く「Paper Birds」。スペイン映画界の巨匠カウロス・サウラ監督で史上最高のフラメンコ歌手、ダンサー、ギタリストが出演してフラメンコの情熱的でドラマチックな世界を描くダンス&ドキュメンターリー映画「フラメンコ×フラメンコ」。ミステリー映画「命の相続人」は、2005年アカデミー賞外国語映画賞受賞作品「海を飛ぶ夢」で知られるアレハンドロ・アメナバールと、スペインの人気俳優エドゥアルド・ノリエガがタッグを組んだ最新作だ。

「命の相続人」は、ノリエガ演じる医師・ディエゴが、ある事件から自分に不思議なパワーを備えていることに気がつく。それは、手をあてるだけで人々の傷を癒すことができる“ゴッドハンド”の能力なのだが、他人を救う代わりに、自分の家族の命を失っているということに気がつくのだ。ミステリーとはいえ、この映画からは、命のつながりや人との結びつきのようなメッセージを感じずにはいられなかった。(くるみ)

ロンドンを舞台に繰り広げられる、ちょっと心温まる映画を観ました。『新しい人生のはじめかた』です。イギリス映画で、監督と脚本は、イギリスの新生、ジョエル・ホプキンス氏。

離婚歴があるニューヨーク在住のCM作曲家(ダスティン・ホフマン)と、統計局に所属しロンドンの空港でアンケート調査の仕事をしている40歳の独身女性(エマ・トンプソン)のラブストーリーです。日々の生活に孤独を感じながら過ごしてる二人ですが、ある日、ロンドンで出会い、少しずつ心の交流が始まります。

二人が散歩をしながら話をするシーンがたくさんでてきますが、その背景には、秋のロンドンの美しい景色が見られます。また、結婚式と披露宴のシーンもあり、イギリス式(アメリカ式)のものが見られて興味深いです。(日本の披露宴でもよくみられるのと同じように雛段がありました。日本の披露宴のやり方はイギリスなどから影響を受けているのですね。)

妻と離婚し、子どもたちとも別れた後、自分の居場所を失った主人公の孤独感や、年齢を重ねるごとに恋愛をして傷つくことに対する恐れの気持ちを感じるヒロインの複雑な心の動きなどがよく描写されています。一歩踏み出して他者と接する勇気がほしい時にオススメの映画です。(パクチー)

『新しい人生のはじめかた』公式HP
http://hajimekata.jp/

ロンドン観光局
http://www.visitlondon.com/jp/


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