こんなEU、あんなEU~日常に見るヨーロッパ | Life in the EU

Archive for the ‘policy’ Category

欧州連合(EU)では昨年、27カ国合計で3万700人が交通事故で亡くなった。ちなみに日本は4863人だった。人口10万人あたりで比べても、日本の3.79人に対し、EUは6.14人と死亡事故の多さが際立つ。ただしこれでも20年間で大幅に改善している。1990年には7万人を超えていた。

EUが域内全体の政策として交通事故対策に取り組んできたのが奏功している。2005年には、欧州委員会のイニシアチブで欧州交通安全憲章が策定され、各国の地方自治体や企業、市民団体、研究機関など2000以上の団体が調印した。ただし、国によって成果にばらつきはある。大まかに言って、「優等生」の国は北半分と西半分に偏り、南半分と東半分に「劣等生」が多い。ギリシャはここでも問題児だ。

フランスはというと、スペインよりはマシだが、ドイツには劣る。可もなく不可もなし、という程度か。そんなフランスで先頃、交通違反に関する珍ニュースが話題になった。「事件」は10月の半ば、ブルターニュ地方に住むジルさんが、遅めのバカンスから戻ったときに発覚した。不在中に郵便物がたまるのはよくあることだが、今回は尋常じゃない。郵便受けを埋め尽くしていたのは、大量の交通違反通知だった。なんとその数143通。 

たしかにジルさんは9月、検問に引っかかり、車に非常用ベストと三角停止表示板を装備していなかったことで、違反キップを切られた。どちらもフランスでは2008年以来、緊急停車の際に着用、表示が義務付けられている。

© Le site de la Sécurité Routière 「黄色で醜く、どんな服とも合わないが、あなたの命を救うかもしれない」 有名デザイナー、カール・ラガーフェルドも非常用ベストの装備を義務づける法改正の広報に一役買った(2008年フランス政府のポスター)。

 罰金は1件90ユーロ。143回犯したとすれば、1万2870ユーロ(約140万円)に上る。しかし実際にジルさんが犯した違反はたった1回にすぎない。そのことは通知に記載された違反の名目、時刻、場所がすべて同一であることからも明らかだ。つまりは警察のコンピュータの処理ミス。ジルさんはさっそく抗議の電話を入れた。

警察の回答はこうだ。「違反がなかったと主張される場合はですねえ、異議申し立ての手紙を書留で送ってもらうのが決まりです。それぞれ処理番号が違いますから、1件ごとに提出してください。1通は間違ってませんから、142通ですね」。何というお役所的な対応!手間もかかるが、郵便代だって馬鹿にならないではないか!

騒ぎを知った隣人が、テレビ局TF1のホームページを通じ、メールで「事件」を「通報」。さっそく取材班がやってきて、一部始終を昼のニュースで報じた。やはりテレビの力は偉大なり。すぐさま県庁から本人に、罰金は「すべて取り消した」と連絡があったという。「すべて」、つまり実際に犯した違反も含めてだ。

すったもんだの末ではあったが、ジルさんにすれば違反の帳消しというハッピーエンド。しかし、これだけ肝を冷やしたのだから、車に非常用ベストと三角停止表示板を積み忘れることはもう二度とあるまい。 
(ル・ジュスティシエ)

【参考資料】
●欧州連合の交通事故データベース(CARE)
http://ec.europa.eu/transport/road_safety/specialist/statistics/care_reports_graphics/index_en.htm

●日本:警察庁交通局の統計
http://www.npa.go.jp/toukei/index.htm#koutsuu

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 10月24日、大手商社の双日はドイツの首都ベルリンから南約100kmに位置するミックスドルフでメガソーラー大規模太陽光IPP(独立発電事業者)事業を開始したと発表した。時はまさに、日独友好150周年記念の行事が行われた翌日のことだ。双日が現地で設立した「ソーラーパークミックスドルフ発電所」は、約80ヘクタールの土地に、太陽光パネルを約10万枚敷き詰める大規模発電所で、今年7月末に完工し、同月から稼働を開始している。総事業費は5,700万ユーロ(約63億円)、年間発電能力は24メガワットと、ドイツ最大クラスのメガソーラー事業となるそうだ。

 競争の激しいこの分野だが、ドイツは2008年、世界の太陽光市場の42%を占めており、Qセルズという世界最大の太陽電池メーカーを有している。元来、経済規模が大きいため、規模の経済が働きやすい中、これらの成長を促したのは、今日世界約50か国に広がっている再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT:Feed-In Tariff)の原型を1991年には導入し、太陽光発電導入に対し長期的で着実なインセンティブを与えてきたからに他ならない。FITは単に導入量を増やし、システム価格を引き下げるだけでなく、技術革新も促してきた。BSW-Solar(連邦太陽光発電工業協会)では、2012年には家庭用電力料金と太陽光発電システムの発電コストが等しくなる、いわゆるグリッドパリティを達成し、2013年以降さらに下がり続け、2017年以降は財政支援がなくても、他の動力源に対して優位に発電所を建設し経営できると発表している。昨今の経済情勢がどれだけ影響するかは、いまだ予断を許さない状況だが、一歩一歩着実に再生可能エネルギーによる国家運営に進んでいるといえよう。

 一方で、IEA(国際エネルギー機関)から政策変更を勧告もされている。つまり、FITによる買い取りで生じた補助金の総額は、雪だるま式に増加し、後々の国家財政を圧迫する要因となるからである。実際に、スペインでは、あまりに経済合理性から乖離した高値の買い取りから、太陽光発電バブルが生じ、弾けてしまった結果、現在、政府保証債権で赤字の穴埋めをする状況に陥っている。デフォルトの危機下にあるスペインでは、これもまた大きな重荷になっていることは容易に想像できる。また、素人目から見ても、ドイツの緯度はスペインよりも高いところにあり、日照時間は短い。それにも関わらず、なぜ太陽光をここまで優遇するのか理解に苦しむところである。ちなみに、今回の双日の事業もFITによるところが大きいことを忘れてはならない。
(ばんどうたろう)

【リンク先】
●日本経済新聞 電子版
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=294837&lindID=5

●Qセルズジャパン株式会社
http://www.q-cells.jp/

●スマートグリッド:太陽光発電のコストダウンはどこまで可能か – IT MONOist
http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1108/11/news015.html

公の場の屋内喫煙に対する規制が厳しくなっているヨーロッパ。規制がないのは、もはやスロバキアとルーマニアだけで、緩いとされるドイツも州によっては厳しい規制がある。

ただし建物の外で吸うには問題がない。したがって法規制のある国では、オフィスで働くスモーカーたちは一服しに外に出なければならない。職場が高層ビルの上階ともなれば、エレベーターの上り下りも含めて、下手をすると10分はデスクを離れることにもなる。これを6回繰り返せば1時間。経営者にとっては頭の痛い問題だ。非喫煙者からは不公平だという声も上がる。

これに厳しく対処したのが、ベルギーのフランス語圏(一部ドイツ語圏)ワロン地域のお役所。ベルギーは隣のオランダやフランスに比べると法の規制が緩いのだが、8月から役所内の通達として、タバコを吸いに外に出る職員にタイムカードの刻印を義務付けたのだ。同国のフランス語夕刊紙「ル・ソワール」が報じた。

当然ながら、「コーヒーならいいのか? トイレが長くてもいいのか? 勤務中の私語のほうがよっぽど問題じゃないか!」とスモーカーからは激しい反発が巻き起こっているという。一方、非喫煙者は「不公平が解消された」と喜んでいるかというと、さにあらず。「これは管理と抑圧以外の何物でもない」と個人の自由の制限に懸念を示す。

ただし現時点では、実際にスモーカーがちゃんとタイムカードを押しているかチェックするまでには至っておらず、あくまで自己申告。こっそり吸って何食わぬ顔でデスクに戻る職員が多いようだ。(ル・ジュスティシエ)

RoHSをご存じですか?
健康的で持続可能なライフスタイルで、がちがちの環境志向ではなくて、それなりに生活をエンジョイしながらエコロジカルでオシャレな…。
というのは、LOHAS。

今回のテーマとして取り上げるのは、電子・電気機器における特定有害物質の使用制限についての欧州連合(EU)による指令のこと。「ロース」とか、「ローズ」とか呼ばれている。
有害物質の対象となっているのは、鉛や水銀、カドミウム、六価クロムなど6つの化学物質で、指定値を越えてこうした物質が含まれている電子・電気機器はEU域内には入れない。
2003年2月に公布され、2006年7月に施行されている。この指令に関連して同年12月に、新たに2万種以上の化学物質の安全性の評価を義務付ける化学物質規制「REACH」が欧州議会で可決され、2007年6月より実施されている。

EUは、ルールによって成立している共同体である。
代表的なのは欧州憲法であるが、多くの国と地域が徹底的にディスカッションを積み重ねた上で、共通したルールが作られることになる。
こうしたルールづくりの姿勢はあらゆる分野に及んでいるが、特に厳しいのが環境やリサイクルに関するルールだ。日本やアメリカにはない独自のルールがあり、これを知らずに掟破りを犯してしまうと、多額の違反金を課されるなど手厳しい制裁を受けることになる。

ただし、こうしたEUの厳しい環境規制が世界標準になりつつある現在、そのルールに適応すべく自社の環境対策を強化することは、企業にとってもメリットが多いと言われている。
例えば、エアコンメーカー。エアコンでは中国が世界最大の生産基地だが、RoHSという新しい環境基準にすぐには対応できなかった。その間に、ダイキンなど日本のエアコンメーカーがこれをクリアすることに成功し、EU内のシェアアップにつなげていったそうだ。そしてさらにこうした厳しい環境基準が世界化した際には、先手をとって世界のシェアを確保することも夢ではない。

昨年、知人が、中小企業のために化学物質管理のしくみ作りをサポートする(株)環境化学研究所という会社を立ち上げた。代表取締役である新井曜子さんは、子どもたちが独立してから大学院に入学。2011年の3月に多摩大学の大学院修士課程を修了した。修士論文のタイトルは、「グローバル競争力強化戦略としてのREACH規制対応推進の方法―中小企業における製品含有化学物質管理普及に向けて―」。この論文は、2010年度の同大学の大学院経営情報学研究科の最優秀論文を受賞している。会社のミッションは、「製品含有化学物質管理の普及を通じて、日本の製造業の発展に寄与する」というもの。

企業の体質をエコロジカルに変換していく過程で、内部の結束力が高まり、新たな技術革新が生まれてくることもあるという。こうした会社が、優れた技術をもった中小企業を元気にしてくれることを期待したい。(ロニ蔵)

REACHについて
http://www.deljpn.ec.europa.eu/modules/world/environment/reach/index.html

(株)環境化学研究所について
http://mm.visia.jp/kankyokagakuken/

3月の東日本大震災による福島第1原子力発電所での事故数日後には、サルコジ大統領自らが原発推進の政策を変えないと宣言し、同月内に来日して支援を申し出たフランス。6月17日、『世界の原発政策を捉える』と題して国際文化会館でパネルディスカッションが行われ、中国、フランス、日本、米国各国の現状を聴いた。

フランスは、国内で推進のコンセンサスが取れており、原発輸出国である。また、電力も近隣国へ輸出している。安全性の確保を最優先に、しっかりとした知識と運用技術を持っていない国に輸出する場合は、厳しいガイドラインをもって指導にあたるとのこと。 

また、国内の全58カ所の原子力発電所でストレステストを進め、報告が9月に、それに対する評価が12月に予定されており、基準を満たさない発電所があれば直ちに閉鎖するとの考えを大統領は示している。同時に再生可能エネルギーによる発電の割合も増やしていく方針だ。

フランスは、5月に行われたG8サミットにおいても議長国として、国際的な規制作りを主導、また6月27日には、サルコジ大統領が次世代原子炉の開発に10億ユーロの投資を表明した。ドイツが脱原発に舵を切っても、フランスは推進派として世界のリーダーシップを執る。これだけ政策が明瞭なのは、その態度ということに関して言えば、日本人からすると少し羨ましい。 (みかん)

 2011年6月1日より、日・EUエネルギー技術協力の枠組みで、日欧6カ国[1]の産学官が共同で太陽電池を開発するプロジェクトが始まった。期間は2014年度までの4年間で、予算規模は双方合わせて12億円以上となる見込み。日本側には経済産業省から新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を通じて、欧州側にはEUの欧州委員会から資金が提供される。 

福島第一原発での震災事故を受けて、将来の電力供給問題を各国が再検討している。代替エネルギーの開発が今日ほど期待されている時はないだろう。本プロジェクトの研究開発では、太陽光パネルに当たった光を電気に変える変換効率[2]を世界最高水準である45%以上に上げることを目標としている。 

日本側の研究開発責任者を務める豊田工業大学の山口真史教授は、この研究プロジェクトによって、現在より高性能の太陽光発電を低コストで行うことが期待できると述べ、2015年にモジュール(パネル)を完成させて世界各地でデータ予測を進め、2030年を目標に実用化、2025年の前倒し実現を目指したい、としている。                                                 

用途としては、原発建設予定地だったところ、あるいは原発跡地[3]で発電することで、雇用を確保し、首都圏へ電力を供給できるほか、農業や燃料自動車にも応用可能だそうだ。 

これまで欧州と日本は、新エネルギーの研究開発においてライバルであった。互いの得意分野を生かした共同開発を行うことで、両者は協力パートナーとなる。原発への依存を少しでも減らすためにも、画期的な試みといえるだろう。  (みかん)


[1]日本側コンソーシアム:豊田工業大学、シャープ(株)、大同特殊鋼(株)、東京大学、産業技術総合研究所など
EU側コンソーシアム:マドリッド工科大学(スペイン)、フラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所(ドイツ)、インペリアルカレッジロンドン(英国)、イタリア新技術・エネルギー環境庁(イタリア)、BSQソーラー(スペイン)、PSE(ドイツ)、CEA国家太陽エネルギー研究所(フランス)

[2]現在使われている太陽電池の変換効率は10~20%程度
http://app2.infoc.nedo.go.jp/kaisetsu/neg/neg01/index.html


自由で活発な発言を歓迎します。

ただし書き込みをする際には、以下の行為は禁じられております。
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このフォーラムの内容は欧州連合としての見解を示したものではありません。

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