こんなEU、あんなEU~日常に見るヨーロッパ | Life in the EU

Archive for the ‘Politics’ Category

  • In: Belgium | Country | Politics
  • Comments Off on ベルギーの「内閣不在」記録、世界一へ Belgium About to Set New Record for Political Gridlock

欧州連合のお膝元、ブリュッセル(欧州委員会の所在地)が首都のベルギーでは、政府が1年近く「不在」である。もちろん、本当に政府がない訳ではない。ちゃんと首相もいて、先日訪欧中の松本外務大臣を歓迎した。つまりは、昨年6月13日に行われた連邦議会選挙(総選挙)の結果を反映した内閣がまだ出来ていないのだ。ベルギーでは連立政権が通常で、今回も昨年の総選挙で勝利を収めた政党を中心に複数の政党の間で組閣交渉が断続的に行われている。この様子は1月の記事にも紹介したが、関係者間の話し合いがこじれ、いまだに決着していないのである。今回は、これまでのベルギー国内の「内閣不在期間」最長記録の194日(2008年)を既に大きく上回っている(5月27日時点で348日)。

しかし、先日大きな転機が訪れた。5月16日、フランス語系社会党党首ディ・ルポ氏がベルギー国王から組閣交渉をとりまとめる「組閣担当者」に任命されたのだ。過去、「組閣担当者」が組閣交渉を決着させ自ら新内閣の首相に就任した例が非常に多い。今回は、総選挙で大勝したオランダ語系政党の党首や上下両院議長など何人もの政治家たちが総選挙後から組閣交渉の調整役等に任命されてきたが、「組閣担当者」の任命は初めてだ。したがって、少なくとも形の上では組閣交渉が「最終コーナー」に入ったといえる。

とは言え、この「最終コーナー」が恐ろしく長い道のりになる可能性がある。ディ・ルポ氏の「組閣担当者」任命をきっかけに組閣交渉が一気に決着するとみている当地メディアや有力政治家は皆無で、新内閣の誕生は「早くて夏休みの後」との見方が大勢を占めている。筆者のベルギー人の友人も「残念だけどそのとおりになりそう」と語った。

このベルギーの「内閣不在期間」の記録は、3月末には「290日」としてギネス世界記録に認定された(世界第2位)。トップ記録はカンボジア政府の354日(2004年)であるが、この記録を抜くのはほぼ間違いない。ベルギー政治ウォッチャーとしては、この不名誉な記録をベルギーに更新して欲しいような欲しくないような、複雑な心境である。
(じょぎんぐまん)

2011年3月2日、外務省の招待で来日した、エストニア、ラトビア、リトアニアの科学技術政策担当者によるセミナーが日本科学技術振興機構と外務省の共催で開催され、「産学連携とイノベーション」がテーマとなった第2部を傍聴した。印象に残った各国の昨今の事情を紹介したい。

エストニア国内の研究投資を分野別に見ると、2009年は36%が情報通信分野に向けられ、主要産業であることが見て取れる。一方で、同分野への外国直接投資は2010年9月時点で3.3%のみ。エストニア政府は産学連携を推進し、より創造的な経済の創出を目的として、中小企業向けに1社当たり3,200ユーロ相当のヴァウチャー(券)を発行し、研究機関のサービスを利用するよう推奨している。2010年春の評価では、90%の参加企業が協力関係を継続したいと回答した。(テア・ダニロフ経済通信省経済開発局長の発表より)

ラトビアの技術革新には歴史がある。例えば、1937年に世界最小と発表されスパイカメラとも呼ばれたミノックスカメラはラトビアで開発されたもの。そして今日では、製薬会社と研究機関の連携などにより、過去5年間で270以上の特許が登録されている。そうした最先端分野の一つに挙げられるのは、MADARAの有機化粧品だ。国際有機認定基準「エコサート」を取得しており、日本でも入手できる。(ヤーニス・スタブルニエクス ラトビアン・テクノロジカル・センター所長の発表より)

リトアニアでは、研究基盤の拡充に重点を置き、GDPにおける研究開発費の比率を上げることを目標にしている。レーザーや光技術、バイオ技術、持続可能化学やバイオ薬学、アグロバイオテクノロジーや生物エネルギー、海洋環境などの研究拠点として、5カ所のバレー(研究都市)を発展させていく計画だ。日本企業との連携も歓迎するそうだ。(ネリヤ・プチナイテ教育科学省副大臣の発表より)
(みかん)

日本科学技術振興機構
http://www.jst.go.jp/

外務省
http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html

MADARA
http://www.madara-cosmetics.lv/intl/

MADARA取扱業者「WAYS SHOP」

EU加盟国27か国の中で国王のいる国は幾つあるかご存知だろうか。
実は、国王(女王)がいる国は意外に少なく、ベルギー、デンマーク、オランダ、スペイン、スウェーデンと英国の6か国だけである。一口に王室と言っても成り立ちはそれぞれ異なり、たとえばオランダでは独立戦争の際に諸侯の中で最も信望のあったオレンジ家が国王となり、ベルギーの場合は周囲の列強のおもわくで、ドイツから招かれたザクセン・コブルク家がベルギー王室となった。

上記の各国の王は実質的な政治上の権力はもたない(立憲君主制)。にもかかわらず、ベルギーのアルベール2世国王は、ここ3年間、政治のせいで気の休まらない状況にある。2007年春に行われた総選挙後の組閣交渉(複数の政党間で連立政権を発足するための交渉)が194日間まとまらず、その年の夏、国王は、交渉の頓挫を理由に辞意を表明した組閣担当者(現ベルギー首相)に対し「続けたまえ」と促した。その翌08年秋には、司法介入疑惑の渦中にあった首相から「やめたい」と言われ、「まあ待て」となだめた。そして、昨年6月の前倒し選挙後の組閣交渉がまたしても長引き(二百日を超え、最長記録を更新)、先日、組閣の調停役の元オランダ語系社会党党首から「やめたい」と言われ、これを慰留している。

アルベール2世国王は76歳と高齢であり健康上の不安も抱えているが、ベルギーの政治安定に向けて是非とも頑張ってもらいたいものだ。(じょぎんぐまん)

ベルギー王室
http://www.monarchie.be/en
ベルギー連邦ポータルサイト
http://www.belgium.be/en/
いずれも英語版で、オランダ語・仏語・独語版(ベルギーの公用語3か国語)もある。

ジャンヌ・ダルクが移動した軌跡(C)「舞台『ジャンヌ・ダルク』」より

女優・堀北真希さんが主演した「ジャンヌ・ダルク」を昨年末、赤坂ACTシアターで観劇した。エキストラ100人が観客席にあふれる戦闘シーンは、かなりの迫力で見応え十分だった。堀北さんの熱演も初舞台とは思えなかった。
でも、今なぜ、ジャンヌ・ダルクなのだろうか。

「フランスを救え」と仏東北部のドンレミ村を出て、ルーアンまで約2千キロに及ぶ戦闘を駆け抜けた「奇跡の聖女」は1431年5月、「異端」として火刑に処せられ、19歳の人生を終えた。英仏百年戦争の時代の話、日本でいえば浄土真宗の中興の祖・蓮如がジャンヌ・ダルクより3年後に生まれている。まさに中世の閉塞感と混迷の時代だった。

日本オリジナルのジャンヌ・ダルク劇は今回が初めてだそうだが、バブル崩壊以後、混迷と衰退のぬかるみにはまりなかなか抜け出せない日本、そういう閉塞感の時代だから、ジャンヌ・ダルクのような「聖女」の出現を求めているのかもしれない。

政界再編を実現した政治家たちが国民の期待に応えられず、若い男たちはともすれば草食系になりがちな日本社会になって、「奇跡」を起こす女性の出現を無意識に求めている。客席の大半を占めていた女性客の姿に、そんな心理が潜んでいるようにも見えた。

同じころ、保守系の女性タカ派議員のパーティーに出席した、上智大学の渡部昇一名誉教授は、来賓として壇上に立ち「日本に、サッチャーを、ジャンヌ・ダルクを!」と声を張り上げ、挨拶を締めくくった。「日本を救う」のは、やはり女性だといわんばかりだった。(永田十郎)

2010年12月21日、日欧産業協力センターは、来日中のクリスティーナ・オユランド欧州議員(エストニア出身)と石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の本村真澄氏を招き、「ロシアをめぐる日本とEUのエネルギー戦略」と題してセミナーを開催した。

オユランド議員は、ロシアの原油・天然ガスの産出量や新しいパイプライン建設の現状、2030年までのエネルギー戦略の展望を説明し、その中でEUは、エネルギー調達のロシアへの依存度を減らし、アゼルバイジャンを始めとする多方面から入手する方針であること、また、「欧州2020」戦略では再生可能エネルギーの利用を増やし、エネルギー効率の向上を掲げていることを述べた。

一方、本村氏の説明によると、日本では逆に原油の中東への依存度を低め、輸入先を分散させるために、ロシアからの調達が増えている。中でも供給源となっているサハリン東部は距離的に近く、輸送にかかる日数も短い。また、第3者への転売を禁じた仕向地条項がなく柔軟に取引できるため、日本はロシアから優先的に輸入しているそうだ。

オユランド議員は、2009年にロシアがウクライナへのガス供給を停止して欧州が打撃を受けた例を挙げ、ロシアがエネルギーを政治的な武器として利用していることを指摘。日本でも北方領土を巡る日露関係などロシア政治の方向性は注視されている。それでも本村氏は、ロシアに対して疑心暗鬼になるのではなく、入手できる情報を慎重・丁寧に分析して経済関係を進めるべきだと述べた。ロシアのエネルギーを巡って東西両方の視点から見ることができ、大変興味深いセミナーだった。(みかん)

2010年12月1日、EUの外交政策を担当する欧州対外行動庁(EEAS: European External Action Service)が正式に発足した。日本の新聞やニュースサイトで「EU『外務省』発足」と題した記事が掲載されたのをご覧になった方もいるかもしれない。

欧州対外行動庁は、ちょうど1年前の2009年12月1日に発効したリスボン条約に設置が定められたものだ。EUの行政府にあたる欧州委員会や、EU加盟国で構成されるEU理事会に分散していた外交・安全保障・開発分野の部局と人員を統合し、これらの分野の政策をEU加盟各国間で共通化することを目指している。

キャサリン・アシュトン外務・安全保障政策上級代表が率いる欧州対外行動庁は、EUの大使館の役割を果たす代表部を全世界136ヶ所に展開し、2011年初めには約1,600人の職員を擁するようになる。

欧州対外行動庁が加盟各国間で異なる立場を調整し、欧州共通の外交政策を形成できるのかを疑問視する声もあるが、アシュトン上級代表は欧州メディアに対して「(EU加盟27カ国が)共に行動し、声をあげることで、我々はより多くのことを達成できるようになり、その時こそ欧州の本領が発揮される」と述べ、EUの外交政策共通化の意義を強調した。

EUと加盟27カ国の政府開発援助(ODA)合計額は世界のODAの60%を占めていることに現れているように、EU各国が一体となって外交政策を展開すれば、国際社会に大きな影響力を及ぼすことになる。気候変動や途上国の開発、核開発などの問題が山積する中、EUがどのような共通外交政策を打ち出していくのか、今後の動きを注目したい。(PAZ)

欧州対外行動庁ウェブサイト
http://www.eeas.europa.eu/

駐日欧州連合代表部「欧州連合理事会、(欧州対外行動庁)EEASを設立」
http://www.deljpn.ec.europa.eu/modules/media/news/2010/100726b.html

アシュトン上級代表インタビュー(euronews)
http://www.euronews.net/2010/12/01/eu-foreign-policy-chief-common-positions-give-us-all-strength/

これは多くの人が持つ素朴な疑問ではないだろうか。国際問題研究所で行われたEU日本政府代表部の植田隆子大使の講演の中で、機構上の変容について説明があったので紹介したい。

2009年12月のリスボン条約発効に伴い、これまで半年ごとの輪番制で加盟国首脳が務めていた欧州理事会(加盟国首脳会議)の議長職が常任制となり、最長5年の任期でファン・ロンパイ元ベルギー首相が就任したのは、これまで報じられているとおりだ。大統領と言う呼び名はあくまでも通称で、フランスや米国の大統領のような執行権限はなく、27の加盟国をまとめる調整役として、EUが進む針路の舵取りをしていく。

もう一つの新しい役職は、外務・安全保障政策上級代表だが、これまでソラナ上級代表が担当した安全保障分野とフェレロ=ヴァルトナー委員の担当した対外関係を、アシュトン上級代表が1人で担うことになった。こうすることでこれまで別々であった軍隊・警察ツールと開発援助ツールを1本化して有効に活用することができる。新任アシュトン代表を支えるのは、新設された欧州対外活動庁だ。

理屈上はなるほど、と思えるが、実際1人の人間が行う仕事量としては半端ではない激務なのだそうだ。そうでなくても前任ソラナ代表は1週間に100時間働くと言われていた人物。そしてフェレロ=ヴァルトナー委員の仕事も域外出張の多い仕事。加えて、上級代表は対外活動庁のトップとして、予算・規則・会計制度・トップ人事・機構作りを5年の任期中に整えなければならない。

さらに、約130ある代表部の大使選出の際は、今年新しくなる駐日代表部大使も含め、アシュトン代表が自ら面接を行うそうだ。それでは1週間に200時間働いても足りないのではないだろうか。あまり無理をされないで、なんとかハードワークを乗り切ってもらいたいものだ。EUの挑戦を遠くから応援したい。
     (みかん)

駐日欧州連合代表部広報誌『ヨーロッパ』2010年冬号 質問コーナーでもリスボン条約について取り上げています。
http://www.deljpn.ec.europa.eu/modules/media/magazine/2010/10winter.html

欧州理事会常任議長のページ
http://www.european-council.europa.eu/the-president.aspx

欧州理事会外務・安全保障政策上級代表のページ
http://www.consilium.europa.eu/showPage.aspx?id=1847&lang=en

対外活動庁のページ
http://eeas.europa.eu/


自由で活発な発言を歓迎します。

ただし書き込みをする際には、以下の行為は禁じられております。
・差別的なコメント
・フォーラムを荒らすような行為
・スパムメッセージ

このフォーラムの内容は欧州連合としての見解を示したものではありません。

December 2019
M T W T F S S
« Jan    
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

Blog Stats

  • 304,477 hits