こんなEU、あんなEU~日常に見るヨーロッパ | Life in the EU

Archive for the ‘Science and Technology’ Category

 アジアの2大新興国であるインドと中国。経済面だけでなく軍事面でもライバルであり、インド側は、中国側が両国国境地帯の軍備を充実させていることや、インド洋沿岸の諸国にまで海軍の拠点をつくり始めたことに神経を尖らせている。

 インド空軍はこのほど、EU 4カ国(英、独、伊、西)のユーロファイター社かフランス・ダッソー社から計126機もの最新鋭戦闘機を買うことを決め、近く入札が行われる。中国空軍への対抗が目的だが、インドの著名軍事アナリストがこのほど「欧州製戦闘機を買っても中国空軍の優勢を覆せない」という内容の論文を専門誌に寄せ、興奮するインド軍首脳に冷や水を浴びせた。

 アナリストによると、ユーロファイター社のタイフーンとダッソー社のラファールは、「第4.5世代」の戦闘機。今年初飛行に成功した中国の「殲―20」(J-20)型戦闘機は「第5世代」に属し、レーダー類から探知されないステルス性を備えるため、欧州機は太刀打ち出来ないのだ。しかも全機の配備が終わるのは早くても2050年で、あまりにも遅すぎる。

 欧州の2社は、タイフーンやラファールがなお世界最先端の戦闘機で、「殲―20」に対抗できると言い張っているが、第4世代や第4.5世代の戦闘機は、いかに改良してもステルス性を備えた第5世代の敵ではない。ロシアがスホーイ社のSu-33、Su-35を懸命に売り込む一方、同社のステルス戦闘機T-50の開発を急ぐのはこのためだ。インド軍がタイフーンやラファールで中国軍を圧倒しようという考えは、ザルで水をくむのと同様、無駄な結果に終わる。

 別のアナリストは「中国空軍の近代化の成功は、自主独立の開発理念の結果だ。自前の近代的な軍事工業システムを完備しようという理念が、優れた国産兵器を生み出し、空軍全体の進歩ももたらしている」と指摘。これに対しインドの軍事力の整備は「条件反射式」で、中国にますます遅れる原因となっているとの見方が出ている。(しおせんべい)

国連気候変動枠組条約締約国会議(COP17)が11月下旬から南アフリカで開催される。2年前の2009年はデンマークで開催され、京都議定書後の合意に向けた討議で注目されたが、このCOP15と時期を合わせ、コペンハーゲン郊外のルイジアナ現代美術館で、「将来に向けたグリーン建築」と題して展覧会が開催されていた。持続可能な発展のためのユニークなアイデアが都市、気候、エネルギー代謝といった視点から紹介された。

この中に、フランスで活躍する建築家フィリップ・ラーム氏の手掛けた「大気中の家」という実験がある。これは、家の中を平面ではなく、気象情報のように高低ある大気圏で捉えて設計を考えたもの。温かい空気が天井まで上昇し、冷たい空気が足下に下がるのであれば、温かい温度が必要な部屋(たとえば浴室)を高めの位置に、低い温度でもよい部屋(台所など)を低い位置に置けばよい。家の中で大気を区切らない作りにすれば、室温調節は少なくて済むのだ。

2011年9月26日から東京で世界建築会議(UIA2011)が開かれた。この公開プログラムの中でラーム氏自らこの考え方を説明し、参加した建築家を始め、学生ほか一般聴衆の注目を集めていたので、改めてここで紹介したい。 (みかん)

 10月24日、大手商社の双日はドイツの首都ベルリンから南約100kmに位置するミックスドルフでメガソーラー大規模太陽光IPP(独立発電事業者)事業を開始したと発表した。時はまさに、日独友好150周年記念の行事が行われた翌日のことだ。双日が現地で設立した「ソーラーパークミックスドルフ発電所」は、約80ヘクタールの土地に、太陽光パネルを約10万枚敷き詰める大規模発電所で、今年7月末に完工し、同月から稼働を開始している。総事業費は5,700万ユーロ(約63億円)、年間発電能力は24メガワットと、ドイツ最大クラスのメガソーラー事業となるそうだ。

 競争の激しいこの分野だが、ドイツは2008年、世界の太陽光市場の42%を占めており、Qセルズという世界最大の太陽電池メーカーを有している。元来、経済規模が大きいため、規模の経済が働きやすい中、これらの成長を促したのは、今日世界約50か国に広がっている再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT:Feed-In Tariff)の原型を1991年には導入し、太陽光発電導入に対し長期的で着実なインセンティブを与えてきたからに他ならない。FITは単に導入量を増やし、システム価格を引き下げるだけでなく、技術革新も促してきた。BSW-Solar(連邦太陽光発電工業協会)では、2012年には家庭用電力料金と太陽光発電システムの発電コストが等しくなる、いわゆるグリッドパリティを達成し、2013年以降さらに下がり続け、2017年以降は財政支援がなくても、他の動力源に対して優位に発電所を建設し経営できると発表している。昨今の経済情勢がどれだけ影響するかは、いまだ予断を許さない状況だが、一歩一歩着実に再生可能エネルギーによる国家運営に進んでいるといえよう。

 一方で、IEA(国際エネルギー機関)から政策変更を勧告もされている。つまり、FITによる買い取りで生じた補助金の総額は、雪だるま式に増加し、後々の国家財政を圧迫する要因となるからである。実際に、スペインでは、あまりに経済合理性から乖離した高値の買い取りから、太陽光発電バブルが生じ、弾けてしまった結果、現在、政府保証債権で赤字の穴埋めをする状況に陥っている。デフォルトの危機下にあるスペインでは、これもまた大きな重荷になっていることは容易に想像できる。また、素人目から見ても、ドイツの緯度はスペインよりも高いところにあり、日照時間は短い。それにも関わらず、なぜ太陽光をここまで優遇するのか理解に苦しむところである。ちなみに、今回の双日の事業もFITによるところが大きいことを忘れてはならない。
(ばんどうたろう)

【リンク先】
●日本経済新聞 電子版
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=294837&lindID=5

●Qセルズジャパン株式会社
http://www.q-cells.jp/

●スマートグリッド:太陽光発電のコストダウンはどこまで可能か – IT MONOist
http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1108/11/news015.html

 私は鉄道マニアのみなさまに比べたら、まだまだ口ばしの黄色いひよっこだが、中国から帰国してから本当に鉄道が好きになった。とにかく好きで、私の好奇心をくすぐる対象だ。どうやら鉄道マニアの間では「京急に始まり、京急に終わる」といわれているのが分かった。私も京急車両は好きだ。特に好きなのは発車時の「トゥルルルルル~♪」と音階が上がっていく、臨場感たっぷりの発車音。最近これがモーターを制御するためのインバーターと呼ばれる機械の音だと知った時、非常に驚いた。てっきり、京急側が粋な計らいをして流している人工音だと思っていたのだ。しかも、この通称「ドレミファ音」は、ドイツのシーメンス社のこれまた通称「ドレミファインバーター」が奏でていると分かってなお驚いた。

 シーメンス社、最初の印象は大きな冷蔵庫や洗濯機を作っているメーカーくらいだったが、調べてみると、日本との付き合いが実に124年にわたる老舗企業であることが分かった。124年前を元号に置き換えると明治20年、さらに歴史の重さを感じてしまうのは日本人だからだろうか。現在シーメンス社は情報通信、電力関連、交通、医療、防衛、生産設備、家電製品等の分野で、製造、システム・ソリューション事業まで、重電から軽電、モノづくりの川上から川下まで行っているが、特に得意なのが情報通信と電力関連、そして電車なのである。

 日本国内にいると、鉄道車両といえば国内メーカーばかりと思ってしまうが、カナダのボンバルディア・トランスポーテーション、フランスのアルストム、ドイツのシーメンスが三大鉄道車両メーカーといわれ、この3社で世界シェア全体の約半分を持っているという。鉄道に関するすべてを製造することができるそうだ。国内のメーカーは、とにかく車両の発する音を小さく、静かにしようと必死に開発し、世界に類を見ないほど静かな車両を造り続けているが、一方のシーメンス社は「ドレミファインバーター」で、雑音・騒音を心地よい発車音に変えたのである。この二者の違いは、なんだか文化的な、民族的な違いを想起せずにはいられない。

 ちなみに、今年3月に、日立製作所がイギリスへ車両を製造・納入することがニュースで流れたが、圧倒的シェアを持つビック3に割って入ったということを意味し、大変なことだったのは想像に難しくない。(ばんどうたろう)

【リンク先】

● シーメンス・ジャパン株式会社のホームページ
http://www.siemens.com/entry/jp/ja/

●京急グループのホームページ
http://www.keikyu.co.jp/index.html

● 2011年3月3日日テレニュース24より『英国の高速鉄道事業、日立製作所が受注へ』
http://www.news24.jp/articles/2011/03/03/10177108.html

 私が、メーカーで働いていた頃、ある先輩が、世の中にはまだまだディスプレー化できるモノがあると予言していた。ほんの5年前の話であり、世の中にはすでに液晶テレビを始め、さまざまなディスプレー化された製品があふれていた。5年後の今、その言葉を振り返った時、街にはスマートフォンやタブレットPC、さらにはデジタルサイネージ(電子広告)や次世代自動販売機等、想像を絶するスピードで様々なものがディスプレー化されている。先輩の予言の通り世の中が変化している。その中で、今でも液晶型のディスプレーは、プラズマ型や有機EL型を抑え、最も使い勝手が良いとされ、シェアも非常に高い。

 そんな現代社会のキーパーツの液晶は1888年から人類に発見され、120年以上の歴史を持つ古い素材だ。オーストリア人植物学者ライニッツアーとドイツ人結晶物理学者のレーマンによって発見・解明された。その後、研究はドイツ・メルク社が主導するようになり、今では数多くの特許を有している。メルク社が製造する液晶化合物の供給量は、日本のチッソ社と世界市場を二分しているといわれ、メルク社が液晶を造らなくなると世界からディスプレーが消えてしまう可能性があるという。

 そんな世界を動かしているメルク社の液晶だが、1930年代初めから1960年代後半の約30年研究が休眠してしまう。数多くの液晶のための学会、発表会、討論会で、工業用用途を模索したが使い道が見いだせなかったためである。ところが、再スタートのきっかけは、アメリカの電機会社の研究グループが行った液晶に関する様々な提案だった。例えば、サーモグラフィー、非破壊検査、診断薬等、特に液晶型ディスプレーの基礎となるものに、メルク社は素早く反応した。時代の波に乗ることができ、液晶事業は『往年の研究』から『先端的な成長事業分野』へ大転換を遂げた。
 今では、この分野において、世界にとってメルク社は無くてはならない存在となっている。
(ばんどうたろう)

【リンク先】
・ウィキペディア内、液晶について
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B6%B2%E6%99%B6

・ドイツ・メルク社のホームページ
http://www.merckgroup.com/en/index.html

2011年のツール・ド・フランスが7月に閉幕し、オーストラリアのカデル・エヴァンスが豪州勢として初めて総合優勝した。ほぼ年中開催されている自転車レースだが、通常見なくても、ツール・ド・フランスだけは見る、という特別なファンは少なくない。最近は、自転車やトライアスロンを趣味にしている人も増えてきているようで、健康的な趣味だなと感じたりする。しかし、自転車好き、または自転車レース好きな人にとって、レースの楽しみは、競技用の高価な自転車や、自転車のパーツを見ることだったりするようなのである。

自転車パーツでは、“自転車界のインテル”と呼ばれるシマノに見られるように、日本の企業は世界最大規模のサプライヤーだ。ツール・ド・フランスに出場するような強豪チームにも使用されるスペインのピナレロに、東レのカーボンが独占供給されていたりする。

自転車競技が盛んな欧州勢として、たとえばフランスのTIME社は、カーボンフレームの自社生産している世界でも数少ないメーカー。その性能は高く評価されている。足の裏とペダルを固定するビンディング・ペダルでも有名だ。

夏休みに自転車をチェックしながら、2011年、次の自転車レースである、ブエルタ・ア・エスパーニャに注目してみてはいかがだろうか(スポーツ専門放送局J SPORTSで放映予定)。8月20日から9月11日にかけて、スペイン3300キロを疾走するレースだ。(くるみ)

ブエルタ・ア・エスパーニャ生中継番組情報
http://www.jsports.co.jp/cycle/

6月28日(火)、EUIJ早稲田主催によるシンポジウム「再生可能エネルギー20%へのシフトは可能か?:欧州の経験から考える」を聴講した。

現衆議院議員をはじめ、駐日欧州連合代表部、駐日フランス大使館の、環境関連分野に従事している6人がスピーカー兼パネリストとして参加した。日本の「総電力量に占める再生可能エネルギーの割合を2020年までに20%にする」という目標達成が可能かどうか、欧州の事例等から検討する貴重な講演会となった。

今、日本のエネルギー事情は、大きな転換期(パラダイムシフト)にあるといってよい。シンポジウムではまず、再生可能エネルギーをめぐる以下のような日本の現状が報告された。日本政府は、2010年に「エネルギー基本計画」を打ち出し、「2030年までに原子力エネルギーによる電力発電の割合を30%から50%へ」という目標を掲げていた。しかし、3月11日に発生した地震と津波による福島第一原発の事故を受けて計画は白紙に。そこで、注目されているのが、再生可能エネルギーの普及である。現在国会で法案審議されている「再生可能エネルギー固定価格買い取り法案」は、まさに、その普及の第一歩であるが、電気料金の値上がり等、家庭や企業の負担も避けられない。

また、再生可能エネルギー(太陽光発電、風力発電、地熱発電といった自然エネルギー)を導入するにあたっては、コスト面(初期投資・運用資金)、地元住民・自治体からの同意(風力発電などは、騒音といった問題に対する近隣住民の理解)、気候条件(供給の不安定化)といった、さまざまな懸念事項が浮上する。

                         
こうした日本側の見解に対して、再生可能エネルギーを導入することが、結果的に経済的効果や地域社会のメリットを生み出すというのが欧州側の考え方である。新エネルギー分野が拡大すれば、技術革新や経済の活性化が進み、新たな雇用が生まれる。また、当然のことながら、自然エネルギーの割合を増やすことで、温室効果ガス排出の削減や、化石燃料、原子力エネルギー依存から抜け出すことができる。

欧州連合(EU)においても「最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を2020年までに20%にする」という目標が掲げられている。そのためには、加盟国27カ国の共通認識と目標達成への推進力が極めて重要となる。そこで、欧州委員会は加盟各国に「国別再生可能エネルギー行動計画」の作成を義務づけ、目標達成状況の把握や、数値の見直し・明確化を徹底している。

 日本とEU諸国は、もちろんその規模も体制にも違いはあるが、再生可能エネルギーの取り組みに関して、日本がEU諸国から学べることといえば、そういった国家目標の明確化であり、それを推進していく力であると考える。

 

日本は一つの国でありながらも、国家目標に向けて国民全体が一つになる機会は残念ながら近年あまり見受けられないように思う。模範としてのEU諸国の姿勢を大いに取り入れていければ、日本のエネルギー事情ももっとよりよい方向へ進むのではないか、とセミナーに参加して強く感じた。(さくら)


自由で活発な発言を歓迎します。

ただし書き込みをする際には、以下の行為は禁じられております。
・差別的なコメント
・フォーラムを荒らすような行為
・スパムメッセージ

このフォーラムの内容は欧州連合としての見解を示したものではありません。

June 2017
M T W T F S S
« Jan    
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

Blog Stats

  • 275,700 hits

Top Clicks