こんなEU、あんなEU~日常に見るヨーロッパ | Life in the EU

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6月14日から8月21日にかけて、三菱一号館美術館(東京・丸の内)で「もてなす悦び展」が開催された。この展示会は、19世紀末のロンドン、パリ、ニューヨークで人気を博した日本の陶器、漆器などいわゆる美術工芸品を、時代背景と共に紹介するもので、その当時の欧米における「ジャポニスム」旋風を肌で感じることができた。

大学のゼミで「18世紀末イギリスの産業革命」を専攻したこともあり、この時代については、以前から興味があった。卒業論文も、イギリスにおける紅茶文化の普及とジョサイア・ウェッジウッド(イギリス最大の陶器メーカー「ウェッジウッド社」の創設者)の偉業について取り上げたので、基礎知識は十分持ち合わせて展覧会に挑んだつもりだった。しかし、この頃の欧米では、現代の日本の漫画・アニメにも通ずる「日本ブーム」が芸術面で既に開花していたという事実は、新たな発見であり、驚きでもあった。

そもそも、ヨーロッパに紅茶文化が普及し始めたのは、オランダ東インド会社が17世紀初頭に設立され、アジア諸国へ進出したことが大きく影響しているといわれている。肥前、伊万里といった日本の陶器は、それぞれ17世紀後半、18世紀初頭にオランダへ輸出されている。その後、19世紀初頭には、インドで新種の茶樹・アッサム種が発見され、インド・スリランカでの紅茶の栽培が開始。そうしてヨーロッパの紅茶消費量は一気に加速する。ほどなく、上流階級の嗜好品だった紅茶は、労働者階級といった中産階級層にも広まり、産業革命時代には、紅茶は黄金期を迎えるのである。

というのが、少ないながらの私の基礎知識であるが、注目すべきは、中産階級層に紅茶文化が広まったという事実である。「もてなす悦び展」では、実にさまざまな茶器を展示していたが、その頃の大衆文化において、茶器の芸術をたしなむ余裕というものが感じられる。産業革命下において、一般庶民にも裕福とはいえないが、一定の生活水準が保たれるようになり、「美しいものを愛でる」という感覚が生まれてきたのである。

日本の茶器の絵柄に、欧米の人々は魅了された。ティファニー・スタジオが、朝顔柄のガラス工芸品を発表。瞬く間に欧米において「朝顔ブーム」が巻き起こる。その後もファン・パターンといわれる扇の絵柄を真似たり、蜻蛉、蝶、桜、竹、紅葉、ひょうたんといった日本独特の絵柄を、ロイヤル・ウースター社、ウェッジウッド社、ミントン社などが競って自社製品に採用した。

「日本ブーム」に火をつけたのは、19世紀中頃、ロンドン、パリなどで開かれた万国博覧会の影響が大きいといわれる。いわば「日本を欧米の大衆にアピール」する絶好の機会が与えられたのである。

このようにして、日本と欧米の芸術的価値というものがひとつとなった瞬間を、陶器を通して感じることができたことも大きな収穫だった。そしてまたひとつ、大好きな茶器と紅茶文化の知識が膨らんだような気がする。(さくら)

[URL]
三菱一号館美術館「もてなす悦び展」(会期:6月14日~8月21日)
http://mimt.jp/omotenashi/

日本橋馬喰町にある松野商店

日本と英国に、さりげない日常雑貨を求めて国内外を探し歩くユニークなショップがある。日本側は、東京は馬喰町に店を構える荒物雑貨問屋の松野屋。使い勝手のいい暮らしの道具を販売する老舗だ。イギリス側は、ロンドンはチェルシー地区にあるレイバー・アンド・ウェイト(L&W)。イギリスのみならず、ヨーロッパ中の生活雑貨を集めたセレクトショップだ。それぞれのオーナーの目指すところは、「自分たちが実際に使いたいもの」を集めて売ることだ。

日英それぞれのショップに並べられているのは、生活の必然性から生まれた道具であって、いわゆるデザイン雑貨ではない。例えば、松野屋で扱う商品は、町工場や農村で職人たちが一ひとつ手作りでつくった素朴な日用品だ。真竹と籐で編まれた「蕎麦揚げざる」とか、トタン製の「米びつ」などで、いわゆる1点ものの美術工芸品とは異なる。

 「僕にとって使い勝手がいい道具というのは、柳宗悦の民藝運動で生み出されたようなものではなく、手工業による中量生産品です」と松野屋の三代目社長である松野弘さんは言う。「高価なデザイン雑貨や芸術性の高い民藝作家の生活雑器を普段づかいで使える人は限られています。僕が求めているのは、身の回りに置いて実際に使ってみることで、何だか生活が楽しくなってしまうようなモノたちなんです」

 小さな町工場で作られた道具はそのまま都市生活者の空間にもってきても馴染まないと、松野さんは言う。そこで松野さんは、そうした素朴なモノたちに少しだけ手を加えることを考えた。例えば、栃木県で生産されている「座敷ぼうき」。部屋をちょっと掃く時に重宝するが、ほうき草を束ねる糸に赤やピンクといった蛍光色が何色も使われていて、ちょっとチープな感じだった。そこで、松野さんは束ねる糸を黒と赤に統一。それだけで、モダンな印象のほうきに生まれ変わり、お洒落な雰囲気になった。

 松野さんは、日本各地からこうしたスグレモノを探し出し、次々に救済していった。米びつ職人に依頼して作ってもらったトタン製のゴミ箱やCDケースなどはその良い例だろう。「米びつ」にネームケースを付ける工夫を施すだけで、スタイリッシュな収納ケースに蘇生させることができるのである。こうした取り組みをやっているのは自分だけだろうと松野さんは思っていたのだが、ロンドンでも同じようなことをやっているショップがあることを日本の雑誌の記事で知った。その時は、何だか面白そうだなと思っただけだったが、あるセレクトショップを介してこのショップを紹介された。それがL&Wだった。

ロンドンのチェルシー地区にあるL&W

 

昨年3月に松野屋を訪れたL&Wのオーナーであるサイモン・ワトキンスさんとレイチェル・ワーズ・モーランさんは、松野さんとすっかり意気投合してしまった。「無名のデザイン」を集めた日用品の展示会を開くことになったのもごく自然な成り行きだった。昨年10月に開催された、日英の生活雑貨たちが一堂に会した展示会(東京)では、来場者たちは共通する部分がいかに多いかを知ってみんな驚いていたという。

松野さんは、この展示会に集まったモノたちのことを、「民衆的手工芸品」ではなく、「民衆的手工業品」と呼ぶ。「自然食品」があるなら、「自然商品」があってもいいじゃないかというのが松野さんの考え方だ。シンプルで美しく、それでいて機能的な生活雑貨たちには、私たちの生活を見直す上でのヒントがぎっしり詰まっている。(ロニ蔵)

世界中の図書館にある書籍をすべてスキャンしてデータベース化しようという「電子図書館構想」の試みがグーグルなどを中心に進められているが、こうした話を聞くと思い出す町がある。イングランドとウェールズの境にある「ヘイ・オン・ワイ」という英国の田舎町だ。ロンドンから電車で3時間、さらにバスで1時間あまりの辺鄙な町だが、ここには古書を求めて年間500万人の本好きが訪れるという。商店街の半分以上、40軒近くが古書店という変わった町で、古城も映画館も消防署も協会も古書店に衣替えをしているというから驚きだ。所蔵の書籍総数は100万冊を超えるが、「ボクシング」や「ミステリー」、「鉄道」、「シネマ」、といった具合に各書店が専門化して棲み分けを図っている。自然に恵まれたこの町で、のんびりと古書巡りの旅をするというのもなかなか乙なものだ。都会の古書街では決して味わえない贅沢な時間を過ごせるに違いない。

この町の歴史がなかなか興味深い。

ヘイ・オン・ワイは、1950年代にロンドンからの単線鉄道が廃線になったため、過疎の山村になってしまった。そこで登場するのが、オックスフォード大学で歴史学を学んだリチャード・ブース青年だ。まず1960年代のはじめに消防署の跡地を改装して古書店を開業。「この村に本を読む人なんていないよ。すぐに潰れるさ」という陰口などどこふく風で、町の至るところを古本で埋め尽くす「野望」を抱いて、最初は通信販売などでスタートした。そしてじょじょに外部の古書店を誘致するなどして、本好きの評判を集めるようになった。こうなってくると、この町の魅力に魅かれてやってくる旅行者たちのためのB&B(宿屋)やレストラン、アンティークショップなども建ち始め、いつしか「本の王国」として世界中に知られるようになった。

仕掛け人のブースの方は、古書店の放漫経営から何度も破産宣告を受けるなどいろいろと問題もあったらしいが、ヘイ・オン・ワイはイギリスで最も成功した町おこしの例として全世界の注目を集めている。日本でもこの町を参考にしながら、「本の町」を呼びものにして観光客を集めるブックツーリズムの動きが、長野県伊那市の高遠町などで盛んになっている。電子書籍もいいが、本好きとしてはこのような町づくりがグローバルに広がってほしいものだ。(ロニ蔵)

Ribbon Coat Rack

ヘッドスプラング(HeadSprung) (動)その時に完全に熱中し、引き込まれる、(名)突然の着想または素晴らしいアイデア、名案、明快になった瞬間

上は、英国のデザイン会社ヘッドスプラング社によるヘッドスプラングの定義だ。社長兼デザイナーのヘマル・パテル氏に話を聞くと、彼のひらめきはヘッドスプラングな瞬間に起こるらしい。それはトイレとかシャワーの中とか、頭の中に何も入っていない状態で起こるのだそうだ。

リボンがひらめいているのを見て、きれいだなぁ、と思っただけでなく、それをコート掛けにしてしまう。それは機能がありながら、何もかかっていなければ壁のオブジェになる。機能を持ったアート。

全ての商品は手作りのため、少しずつ形が異なるところもまた、大量生産はしないアーティストのなせる業。機能を持ったものをもっとよく見せたいと、自然に湧き出る感情を大切にしているそうだ。コート掛けに美しいと思った形を取り入れたように、実用に新しい解釈を加えることでユニークなデザインが生まれている。

Ooob

ドアストップとしても、ブックエンドとしても(またはオブジェとしても)使えるOoobは、2008年の英国グランドデザイン賞を受賞している。日本でのポテンシャルがある企業として、今年、European designに出展した企業40社の1社に選ばれた。(みかん)

     
European Design
http://www.europeandesign.jp/ (参加ブランドのカタログを見ることができます)

http://www.headsprung.co.uk/home.html

ラフォーレミュージアム原宿で開催されているカール・ハイド展を観てきた。

カール・ハイド(イギリス)は、世界のダンスミュージックを牽引するエレクロミュージック・ユニット「アンダーワールド」のボーカル/ギタリストだ。アンダーワールドは、彼とリック・スミス(Key)の二人による、ロンドン、いや世界のクラブシーンの最先端を走るカリスマ・バンド。映画『トレイン・スポッティング』にも彼らの曲(ボーン・スリッピー)が使われていたから、ご存じの方も多いと思う。

一時期アンダーワールドに嵌っていたことがある(特に深夜のドライブには必需品だった)ので、カール・ハイドが一体どんな絵を描くのかずっと気になっていた。というのも、カールとリックの二人は、音楽以外でも、アート集団tomatoのメンバーとしてファッション、アート、デザイン、映画など、表現の可能性を押し広げるさまざまな活動を行っているからだ(tomatoが手掛けたちょっとユニークな作品としては、テレビ朝日のロゴタイプなどというのもある)。あるミュージック・フェスティバルで、全長45メートル、高さ7メートルという巨大なウォールペインティングを一夜がかりで完成させて観客の度肝を抜いたということも聞いていた。そして原宿で、世界で初めてカールの個展が行われるというのだ。

今回の展覧会では、2メートル以上に及ぶ大作を含めた約90点のペインティング作品が展示されていた。僕は、「Elevated on Instruments of Altitude」(http://www.underworldlive.com/art/viewgallery.asp?DID=1335)という作品がいたく気に入ってしまった。英語に「spontaneous:自然に起きる、無意識の」という単語があるが、まさしくそんな感じなのだ。そして、しばらく眺めていると、「無為自然」という言葉が思い浮かんできた。無為自然とは、宇宙のあり方に従って、自然のままに生きていくこと。そんなに大げさに考えなくてもいいのだろうけれど、彼の絵を観ていると世界がどんどん広がっていくような気がする。アンダーワールドの音楽もそうなのだが、閉じていくというよりも、どこか解放的で、別の世界に連れて行ってくれるところがある。でも、それが一筋縄ではいかない解き放ち方だから、とても魅力的なのだけれど。

水墨画など日本の絵画から、横尾忠則、森山大道など、日本のアートをリスペクトするというカール。展覧会場には、彼のこんなメッセーが寄せられていた。
「ダンスが一枚の絵になり、絵がある言葉の連なりになり、言葉の連なりが一枚の写真になり、写真がダンスになる」
「踊っているあなたの頭の中では、いったい何が起こっているのか?」(展覧会のタイトル)

そこにはまさしく一枚の絵となったダンスが…。(ロニ蔵)

ラフォーレミュージアム原宿
http://www.lapnet.jp/event/event_r100825/

1894年に丸の内に最初に立てられた英国式建築、三菱一号館が、解体後40年の歳月を経て2010年に復元された。当時は銀行の営業部と貸事務所として使われていた。実際、2階まで吹き抜けの趣きあるカフェは、当時の銀行の窓口を残した造りとなっている。

この一号館は復元されて美術館となった。訪れた展覧会では岩崎家の収集したあらゆる美術品の一部が公開されていた。そもそも一号館を建てた三菱の第二代社長岩崎彌之助は、この地域をビジネスだけでなく、芸術文化も共存する場所にしたいと、「丸の内美術館」を建設する構想をコンドルと練っていた。当時は実現しなかったが、今日一号館がその場所となった。

国の事業としてではなく、財力のある民間人が、こうした公共のための事業計画を進めていた。今でいうCSR(企業の社会的責任)は明治時代の日本にもあったのだな、と感慨深い。現代日本は突如として現れた訳ではなく、先人達が描いた将来像があっての今日であり、歴史とのつながりを感じた。 (みかん、写真も)

三菱一号館(まるで英国にいるかのような中庭も素敵です)
http://mitsubishi-ichigokan.jp/

展覧会「三菱が夢見た美術館」
2010年11月3日まで開催
http://mimt.jp/

EUフォーラム「英国人建築家ジョサイヤ・コンドルと日本の近代建築」
https://eueublog.wordpress.com/?s=%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AB
写真
http://www.flickr.com/photos/50162395@N02/sets/72157624968444232/with/4995393517/

地球表面積の約70%を占める海洋は、生態系の維持、レジャー、漁業などのほか、資源としての価値も改めて注目されています。世界では、たとえばユネスコで今年も5月に世界海洋会議(Fifth Global Ocean Conference at UNESCO)が開かれ、海洋ガバナンスや生命の保全などについて話し合われました。EUは2006年に海洋に関するグリーンペーパーを採択し、持続可能な海洋活用のためのビジョンを展開するための取り組みがなされています。

EU各国や自治体もこれまで対策を講じてきました。海洋資源が豊かで、複数の国が面する北海沿岸地域には、経済的・社会的・文化的アイデンティティがあります。これを守るため、国家を超えて北海沿岸の各自治体が参加するグランドデザイン・プロジェクト(NorVision)に、これまでEUが越境地域協力資金(Interreg)を提供してきた経緯があります。

またイギリスは、海岸部にトラストや国有地が多くあり、自然環境をガバナンスしています。同国は国際貿易航路が経由する港をいくつも有しており、環境負荷をかけない持続可能な資源利用を目指して、昨年末には海洋及びアクセス法案が制定されました。海洋管理庁が海洋開発の認可・管轄を一元化し、内陸部の淡水魚を保護するためにイングランド沿岸部にレクリエーション道路を設けるなどの内容を盛り込んでいます。

日本は6852の島嶼から構成されているそうです(財団法人 日本離島センター)。沿岸や海洋というコンセプトに目を向けるのもいいかもしれませんね。(くるみ)

EU海洋政策
http://www.deljpn.ec.europa.eu/union/showpage_jp_union.maritime_policy.php
http://www.jstra.jp/html/PDF/EUkaiyoukankyoukisei.pdf

Norvision
http://www.clair.or.jp/j/forum/forum/chouryu/169/index.html

イギリス 海洋及びアクセス法案
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/legis/23902/02390204.pdf


自由で活発な発言を歓迎します。

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