こんなEU、あんなEU~日常に見るヨーロッパ | Life in the EU

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夏も終わり秋の気配が濃厚になりつつあるが、夏にふさわしい小説に出会った(特にスリランカに出かけた私の今夏にとって)。マイケル・オンダーチェの書いた『家族を駆け抜けて』。この作家は、植民地時代にオランダからスリランカに渡ったいわゆる“バーガー”と呼ばれる入植者の家庭に生まれ育ち、イギリスに渡った後にカナダに移住。映画にもなった『イギリス人の患者』でブッカー賞を受賞している。 

この本は半自伝的小説で、カナダに住む主人公が十数年ぶりに1970年代のスリランカを訪れ、親戚や家族と話す中で、家族の物語を紡ぎたしていく1982年の作品。なぜ夏にふさわしいかといえば、文章からスリランカの生活の暑い熱気が伝わってくること。そして、休暇に親戚が集まって始まる家族の秘話。自分が生まれてもいない、もしくは幼かったときの両親や先祖の話が聞けるのは、こんな時だけだ。 

実際どこまで真実の話なのか、読者はわからなくなる。詩の中で描かれる情景も、異国情緒に溢れ趣がある。南アジアに暮らすヨーロッパ出身の家族には、それなりの苦労と驚くような物語があって、それらがユーモラスに語られている。お勧めの1冊。 (みかん、写真も)

主人公の家族が過ごすスリランカの避暑地、ヌワラエリヤの紅茶畑。

スリランカ南端の町、ゴールはその要塞とともに、1988年からユネスコの世界遺産に指定されている。この夏休み、要塞の中の小さな通りを歩きながら、小さくも個性ある古い個人宅の建築に魅了されていた。そして、ふと修復された家々にパネルが貼ってあることに気がついた(写真)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴール遺産財団による街並み保存の取り組みは、スリランカとオランダ政府との文化協力プログラムの下に行われていた。

スリランカは、シナモン、紅茶などの産地で、貿易の要所としてヨーロッパとのつながりが長い。ゴールは、14世紀にアラブ人商人の往来により貿易港として発展、16世紀にポルトガルが支配した際に砦が築かれた。その後、17世紀初頭のオランダ東インド会社の上陸でオランダがポルトガルを追放し、この要塞の中に都市を建設した。オランダの支配は140年続き、英国東インド会社が18世紀末に上陸すると、1948年にセイロン国として独立するまで、英国の植民地となる。

ゴールの要塞の中は子ども達の遊び場でもある

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在、この要塞内の通りに住むのはイスラム系スリランカ人が多いそうだ。中東との間で宝石商を営む比較的豊かな層だと聞く。オランダが宗主国時代の歴史遺産として修復・保存に協力し、ゴールは今も昔の姿を残す。そして訪れる人は、その歴史の一部を感じ取ることができる。案内してくれた友人は、きれいに観光地化されすぎているとぼやいていたけれど。     
(みかん、写真も)          

オランダ改革派教会内部。同じ通りにある英国の教会とは趣が異なる

              

オランダ改革派教会は2004年に修復作業が完了した

                                                                              

 

修復された個人宅の一つ

 

 

 

 

 

 

(参考資料)
Centre for International Heritage Activities
Sri Lanka Tourism
スリランカの世界遺産

  • In: Business | Culture | Travel
  • Comments Off on 話題の絶えないアムステルダムのロイド・ホテル Lloyd Hotel in Amsterdam (Temporarily Was in Tokyo Too)

アムステルダムに行く機会があれば、泊まってみたいホテルがある。「文化大使館」との名前も持つロイド・ホテルは、とにかく楽しみ方がいろいろとある。字数の都合により、箇条書きでその特徴とニュースを紹介したい。

    1. 全117部屋は1つ星から5つ星まで(料金も€95~€450)で、国内外のデザイナーの作品により各部屋異なっている。会議室として借りることも可能
    2. 20世紀初頭から移民のための宿泊施設、刑務所、ワークショップ会場と姿を変えてきたが、市の入札を経て2004年に建築家グループMVRDVにより今の形に生まれ変わる
    3. 食事はカフェテリアの中央に設えられた大きなテーブルを囲んで。伝統的レシピから考案され、地元から調達された材料を使った独自のメニュー。ショップで一部販売も。
    4. 「文化大使館」と呼ばれるとおり、ライブや展覧会をはじめとして、様々な文化イベントがホテルを会場に催されている
    5. 日蘭国交樹立400年を記念して、2010年10月には東京・代官山に同ホテルが1カ月限定で開設された。日蘭のデザイナーによるLLOVE HOTELをコンセプトにしたユニークな部屋の数々(写真)
    6. タイムアウト誌アムステルダム版の2010年ベストホテルに選ばれた
    7. 2011年9月にアムステルダム・ファッション・インスティテュートの学生・卒業生と共同で開発されたファッションに重点を置くエクスチェンジ・ホテルがオープンする 

 そのときの財政状況や気分によって宿泊する部屋を変えられるのがいい。自分が訪れるときはどんな部屋に泊まることになるのか、今から楽しみだ。     (みかん、写真も)

  • In: Administration | Culture
  • Comments Off on オランダ大使公邸での夕べ Evening at Dutch Ambassador’s Residence in Tokyo

春の嵐のような雨風が吹き荒れる夕方、東京・神谷町の駐日オランダ大使公邸を訪ねた。
三菱航空機株式会社がオランダに現地法人を設置したことを祝うオランダ大使主催のレセプションに出席するためである。この現地法人が欧州に販売する航空機の素晴らしさについては、《みかん》さんが書いた前々回のブログ記事をお読み頂くとして、この記事ではレセプション後半に催された懇親会のことを書きます。

まず気になる料理であるが当日は立食形式で、幾つもの大皿に盛られた料理の前に二十人前後の出席者が行列を作っていた。筆者は、白身魚のソテーや肉料理を食した。両方ともヨーロピアンな香辛料で味付けされていて幸せな気持ちで頬張った。デザートのチョコレートとラズベリーのアイスケーキの美味しさに驚かされたが、フランス人シェフによる料理と聞かされ、「なるほど!」と合点がいった。

チャンスなので出来るだけ多くのオランダ人の方々と話をした。都内の大学で学ぶオランダ人留学生、駐オランダ日本大使館(ハーグ市)で働いた経験のある女性外交官、日本中を精力的に飛び回っている若き広報担当官、日本に来てまだ1年未満という女性公使との会話を楽しんだ。

大使公邸の庭での1枚。

懇親会が終了に近づいた頃、幸運にもドゥ・ヘーア駐日オランダ大使に挨拶することが出来た。大使は筆者の下手なオランダ語の挨拶にあきれることもなく、流暢な英語で《みかん》さんと筆者に話しかけて下さった。「出島(江戸・鎖国時代、長崎県に築造された人工島で、対オランダ貿易の拠点だった)」の話になった時、大使はとなりの部屋に二人を案内し、壁にかかった日本画を指さした。それは、日蘭貿易を担っていたオランダ東インド会社(VOC)のオランダ人十数名がオランダ商館の一室で晩餐する様子を描いた絵だった。大使によると、VOCが毎日付けていた詳細な活動日誌が後年の通商外交に大きく貢献した。大使の話を聞きながら、政府ではなく民間企業がオランダの海外活動を支えたことが「いかにもオランダらしい」と感心した。

曽祖父が日本人で、自身もオランダのライデン大学で中国語を学んだというドゥ・ヘーア大使はアジアと深い縁を持つ外交官である。人をそらさない人柄と温かいホスピタリティーに引き込まれつい長居をし、最後の客として《みかん》さんと公邸を後にした。「プチ・オランダ」を堪能した夕べであった。(じょぎんぐまん)

甦る出島(長崎市観光情報)
http://www1.city.nagasaki.nagasaki.jp/dejima/main.html

(c)三菱航空機

2011年5月1日、三菱航空機株式会社は、オランダのアムステルダムに現地法人を設立し、欧州での小型ジェット旅客機MRJ(Mitsubishi Regional Jet)販売の拠点とする。リージョナルジェットとは、100席以下の規模の地域間輸送用旅客機のこと。MRJは、日本の航空宇宙産業を担う三菱重工の民間航空機技術を基礎に開発が進められた次世代リージョナルジェットだ。

三菱航空機の江川社長よりドゥ・ヘーア駐日オランダ大使に新会社設立の記念品が贈られた(2011年4月19日、オランダ大使公邸)

格安航空会社が複数競合して航空運賃が安くなるなど、欧州では地域間での空の旅がしやすくなってきている。航空旅客の増加に伴い、今後1,000~1,500機の需要が見込まれており、三菱航空は長期的視野でそのうちの3割の販売シェアをねらう。MRJの売りは、環境に優しいこと。同サイズの従来型ジェットと比べても20%以上燃費がよく、排出ガスが少ない。また、新型機種の開発では、騒音を抑えたことに加え、座席の快適さにもこだわっている。

欧州のハブの一つであるスキポール空港のあるアムステルダムに拠点を置き、三菱航空は、近隣国を含む欧州の航空会社との関係構築と販売を目指す。人の移動の自由が実現し、物理的によりグローバルになっている欧州で、環境配慮型MRJは注目されていくだろう。親日的なオランダ政府も全面的に支援を行っているようだ。
(みかん)

三菱航空機株式会社
http://www.mrj-japan.com/j/index.html

駐日オランダ大使館
http://www.minbuza.nl/PostenWeb/J/Japan/%E9%A7%90%E6%97%A5%E3%82%AA%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%80%E7%8E%8B%E5%9B%BD%E5%A4%A7%E4%BD%BF%E9%A4%A8

  • In: Art | Culture
  • Comments Off on 渋谷にフェルメールの絵が来た(オランダ・フランドル絵画展) Vermeer Painting and other Dutch/Flemish Works on Display in Shibuya

渋谷Bunkamuraで開かれている「フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展」に行ってきた。混雑を避けるために日曜日の開館時間早々に行ったが、同じことを考える人が多いのか、開館直後からチケットのもぎりの前に老若男女が長蛇の列をなし、最初の絵の前に人だかりができていた。

この絵画展では、ドイツのシュテーデル美術館所蔵のオランダ、フランダース地方(ベルギー北部)の絵画75 点などが展示されている。“目玉”は、その絵画展の名のとおり、オランダの画家フェルメールの油絵《地理学者》だ。フェルメールの絵といえば、映画化もされた油絵《真珠の耳飾りの少女》(オランダ・マウリッツハイス美術館所蔵)を思い浮かべる人が圧倒的に多いだろう。

一方、《地理学者》は、日本では馴染みがないかもしれない。とはいえ、この絵はフェルメールのもう一つの有名な油絵《牛乳を注ぐ女》(たしか、この絵の世界を再現したチョコレートのCMがあった)とよく似た構図を採っていて、フェルメールの作品であることが伺われる。部屋の片隅に人物が一人。その人物の右側のちょうど顔の高さにある窓からあたたかい陽射しが差し込み、人物の横顔を浮かび上がらせている。《地理学者》では、人物は農婦に代わって若く聡明そうな学者である。

《地理学者》が描かれたのは17世紀。この世紀は、オランダでは「黄金の世紀(Gouden Eeuw)」と呼ばれる。当時海上貿易の欧州の要衝だったアムステルダム港を擁するオランダには同時代の東西の最先端の事物が次々と入ってきた。オランダ帆船が世界中を航海していたこの時代、船を目的地に正確に導くための地図を作る技術は当時の最先端技術だったに違いない。青年学者の表情からは、こうした研究分野を担っている矜持や研究で得られる充実感が見て取れる。

その他に展示されている絵画にはレンブラント、ブリューゲル父子など有名なオランダ、フランダース地方出身の画家の作品が含まれ、シュテーデル美術館のコレクションの豊富さに驚かされた。オランダ、フランドル地方の風景画や、貴族や民衆の当時の暮らしぶりを描いた風俗画を鑑賞し、しばし“ヨーロッパの空間”を堪能した。寓意画《ネズミのダンス》は実に微笑ましくて、つい帰り際にポストカードを買ってしまった。(「フェルメール展」は5月22日まで開催。)
(じょぎんぐまん)

「フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展」(Bunkamura)

日本でも人気の絵本、ディック・ブルーナさんが描くミッフィー。東北地方太平洋沖地震で被災した日本の子供たちに向け、オランダからブルーナさんが朝日新聞宛てに、主人公のうさぎ・ミッフィーちゃんのイラストを送ってくれたそうです。

普段、絵本の中では、赤や黄色の明るい色のワンピースを着ているミッフィーちゃんですが、今回、ブルーナさんは鉛筆で、あえて色は付けずに描きました。そして、ミッフィーちゃんの頬には涙が2粒、伝わっています。絵を見ればブルーナさんの深い悲しみや、日本の子供たちを心配するブルーナさんの温かい気持ちが伝わってきます。

オランダでは、チャリティーコンサートも行われます。アムステルダムで4月1日に、「SOS Japanチャリティーコンサート」が開かれます。このプロジェクトは、1995年の阪神淡路大震災で被災した日本人が立ち上げました。神戸は日本各地の支援を受けて復興した、その支援に対する感謝の気持ちから、今回少しでも役に立ちたいという思いから発足しました。

この企画の趣旨に賛同して参加するのは、ジャズ・ピアニストのバート・ファン・デル・ブリンクさん、ラテン歌手のデニース・リヴェーラさん、ギタリスト白石怜さんがメンバーの一員でもあるロックバンドのNiCad、そして、ナイトフライト・トゥー・リオが参加します。
(モコちゃん)

朝日新聞記事
http://www.asahi.com/special/10005/OSK201103260148.html

SOS Japan チャリティーコンサート


自由で活発な発言を歓迎します。

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このフォーラムの内容は欧州連合としての見解を示したものではありません。

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