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  • Comments Off on カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』を鑑賞して Who Determines Your Life?: Review of the Movie Never Let Me Go

ブッカー賞作家カズオ・イシグロの同名小説を映画化した『わたしを離さないで』(原題:“Never Let Me Go”)を鑑賞した。カズオ・イシグロは、1954年に長崎県で生まれ、5歳の時に英国に移住。今回の映画化にあたっては、みずからもエグゼクティブ・プロデューサーとして参加した。

物語は、28歳の介護人のキャシーの回想を通して語られる。キャシー、ルース、トミーの幼なじみ3人の関係性から、幼い頃に育った寄宿学校ヘールシャムでの奇妙な生活、離れ離れになったあとの10年ぶりの3人の再会…。

緑豊かなヘールシャムでの暮らしは、閉鎖的でありながらも、子どもたちは徹底的な健康管理を受け、絵や詩の創作に励んだ日々を送っている。腕にはセンサーが埋め込まれたバンドをはめ、施設から外に出るときは、特殊な機械にそのバンドを通す。そうやって終始監視されている状態だ。学校の敷地には境界線が張り巡らされ、そこから出ることは許されず、外界からは完全に隔離されている。

そんなヘールシャムでの生活を、子どもたちは誰一人として違和感や不信感を抱かずに過ごしている。まるで機械のように、淡々と、冷静にその状況を受け入れているのが印象的だ。心の奥では、外の世界に夢馳せているにもかかわらず…。

やがて思春期を迎える3人だが、ルースとトミーが恋人同士となり、その3人が同じコテージで過ごすことになる。トミーに想いを寄せるキャシーだが、2人の仲をただ黙って見守ることしかできなかった。やがてキャシーは、「介護人」を志願し、コテージを去る。

物語の途中で、彼らはみずからの運命を知ることとなるが、その際も動揺すらせず、ただ黙ってその運命を受け入れるのだった。そこに人間的感情はないように映る。人は、誰もが「自分の人生」を歩むものであると当然のことのように感じてしまいがちだが、ヘールシャムで育った子どもたちの場合は、運命はすでに決定づけられ、みずからの生命は他の者のためにあるという現実を突きつけられているのだ。

主人公キャシーの最後の言葉がとても印象的だった。その投げかけがこの作品のテーマにもなっているように思う。人生を選択できる者として、今をどう生きるか。少し重いテーマではあるが、生き方を見つめなおす良い機会となるであろう。(さくら)

『わたしを離さないで』(3月26日公開)
http://movies.foxjapan.com/watahana/

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日本生まれのイギリス人作家、カズオ・イシグロの初の短編集『夜想曲集』が日本で翻訳出版され、話題を呼んでいます。

カズオ・イシグロは1954年に長崎で生まれ、5歳のときに海洋学者の父親の仕事の関係でイギリスに渡りました。以降、日英両国の文化を背景にして育ち、イギリスの大学で英文学と文芸創作を学びました。

卒業後、初めはロック・ミュージシャンを目指していましたが、1981年から作家活動に入ります。長編第3作目の『日の名残り』(1989)で、イギリス最高の文学賞であるブッカー賞を受賞。国境を越えた普遍的な文学性により、イギリスのみならず世界中から注目されています。

短編集『夜想曲集』には、「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」という副題の通り、様々な音楽家を主人公とした5つの短編が収録されています。売れないのは顔のせいだとハリウッドで整形手術をするサックス奏者(「協奏曲」)、ベネチアでゴンドラ舟に乗って妻にセレナーデを捧げる老歌手とそれを伴奏するギタリスト(「老歌手」)、などが主人公。

誰も音楽の世界で成功しているとは言えませんが、主人公に共通しているのは音楽への深い愛情です。この短編集を読めば、あなたもきっとカズオ・イシグロのファンになるでしょう。(青山コモンズ)

カズオ・イシグロ『夜想曲集』ハヤカワ・オンライン
http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/118116.html

たそがれの愛・夢描く 英国人作家、カズオ・イシグロさん(朝日新聞)
http://book.asahi.com/clip/TKY200907200066.html

今週の本棚:『夜想曲集』=カズオ・イシグロ著(毎日新聞)
http://mainichi.jp/enta/book/hondana/news/20090726ddm015070003000c.html


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