こんなEU、あんなEU~日常に見るヨーロッパ | Life in the EU

Posts Tagged ‘リスボン条約

2010年12月1日、EUの外交政策を担当する欧州対外行動庁(EEAS: European External Action Service)が正式に発足した。日本の新聞やニュースサイトで「EU『外務省』発足」と題した記事が掲載されたのをご覧になった方もいるかもしれない。

欧州対外行動庁は、ちょうど1年前の2009年12月1日に発効したリスボン条約に設置が定められたものだ。EUの行政府にあたる欧州委員会や、EU加盟国で構成されるEU理事会に分散していた外交・安全保障・開発分野の部局と人員を統合し、これらの分野の政策をEU加盟各国間で共通化することを目指している。

キャサリン・アシュトン外務・安全保障政策上級代表が率いる欧州対外行動庁は、EUの大使館の役割を果たす代表部を全世界136ヶ所に展開し、2011年初めには約1,600人の職員を擁するようになる。

欧州対外行動庁が加盟各国間で異なる立場を調整し、欧州共通の外交政策を形成できるのかを疑問視する声もあるが、アシュトン上級代表は欧州メディアに対して「(EU加盟27カ国が)共に行動し、声をあげることで、我々はより多くのことを達成できるようになり、その時こそ欧州の本領が発揮される」と述べ、EUの外交政策共通化の意義を強調した。

EUと加盟27カ国の政府開発援助(ODA)合計額は世界のODAの60%を占めていることに現れているように、EU各国が一体となって外交政策を展開すれば、国際社会に大きな影響力を及ぼすことになる。気候変動や途上国の開発、核開発などの問題が山積する中、EUがどのような共通外交政策を打ち出していくのか、今後の動きを注目したい。(PAZ)

欧州対外行動庁ウェブサイト
http://www.eeas.europa.eu/

駐日欧州連合代表部「欧州連合理事会、(欧州対外行動庁)EEASを設立」
http://www.deljpn.ec.europa.eu/modules/media/news/2010/100726b.html

アシュトン上級代表インタビュー(euronews)
http://www.euronews.net/2010/12/01/eu-foreign-policy-chief-common-positions-give-us-all-strength/

Advertisements

これは多くの人が持つ素朴な疑問ではないだろうか。国際問題研究所で行われたEU日本政府代表部の植田隆子大使の講演の中で、機構上の変容について説明があったので紹介したい。

2009年12月のリスボン条約発効に伴い、これまで半年ごとの輪番制で加盟国首脳が務めていた欧州理事会(加盟国首脳会議)の議長職が常任制となり、最長5年の任期でファン・ロンパイ元ベルギー首相が就任したのは、これまで報じられているとおりだ。大統領と言う呼び名はあくまでも通称で、フランスや米国の大統領のような執行権限はなく、27の加盟国をまとめる調整役として、EUが進む針路の舵取りをしていく。

もう一つの新しい役職は、外務・安全保障政策上級代表だが、これまでソラナ上級代表が担当した安全保障分野とフェレロ=ヴァルトナー委員の担当した対外関係を、アシュトン上級代表が1人で担うことになった。こうすることでこれまで別々であった軍隊・警察ツールと開発援助ツールを1本化して有効に活用することができる。新任アシュトン代表を支えるのは、新設された欧州対外活動庁だ。

理屈上はなるほど、と思えるが、実際1人の人間が行う仕事量としては半端ではない激務なのだそうだ。そうでなくても前任ソラナ代表は1週間に100時間働くと言われていた人物。そしてフェレロ=ヴァルトナー委員の仕事も域外出張の多い仕事。加えて、上級代表は対外活動庁のトップとして、予算・規則・会計制度・トップ人事・機構作りを5年の任期中に整えなければならない。

さらに、約130ある代表部の大使選出の際は、今年新しくなる駐日代表部大使も含め、アシュトン代表が自ら面接を行うそうだ。それでは1週間に200時間働いても足りないのではないだろうか。あまり無理をされないで、なんとかハードワークを乗り切ってもらいたいものだ。EUの挑戦を遠くから応援したい。
     (みかん)

駐日欧州連合代表部広報誌『ヨーロッパ』2010年冬号 質問コーナーでもリスボン条約について取り上げています。
http://www.deljpn.ec.europa.eu/modules/media/magazine/2010/10winter.html

欧州理事会常任議長のページ
http://www.european-council.europa.eu/the-president.aspx

欧州理事会外務・安全保障政策上級代表のページ
http://www.consilium.europa.eu/showPage.aspx?id=1847&lang=en

対外活動庁のページ
http://eeas.europa.eu/

EU日本政府代表部の植田隆子大使による講演を、国際問題研究所で聴きました。大使は、欧州の安全保障の専門家であり、現在はブリュッセル外交の現場からEUの政治・外交を見ていらっしゃいます。EUの対外政策については、以下のような内容でお話をされました。

リスボン条約が2009年12月に発効し、EUは新たな体制で動き出した。ファン=ロンパイ欧州理事会常任議長、アシュトン上級代表(外務トップ)が就任して初めての域外国との首脳会議は、2010年4月28日の日本とのサミットだった。

EUは今、加盟国共通の立場で発言して国際社会でのプレゼンスを高め、対主要国外交を強化しようとしている。インドや中国など新興国が経済的な台頭を見せ、先進国は経済的、政治的な影響力を低下しつつある。しかしEUとしては、世界は懸念されるように米中のG2体制に向かうことはないと考えるし、国連やNATOといった国際機関とうまく連携して効果的なマルチラテラリズム(多国間体制)を築いていきたいと思っている。

ファン=ロンパイ議長は、80~90年代の貿易摩擦から始まった日EU間の経済関係の改善のみならず、官僚による各分野の実務対話にとどまらない、政治家同士による政治レベルでの関係に重みを持たせたいと考え、来日した。

1991年のハーグ宣言は、日米欧(EU)三極の全体の安定には、日欧関係の強化が重要であるとして提案された。当時は政治的な関心が低く発展することがなかったが、今年また、日本は主要戦略パートナーの一国としてEUから再発見されつつある。

大使のお話を聞いて、日本も、日米関係以外にもバランスよく気を配り、国際社会全体の中での立ち位置に目を向けて欲しいと思いました。                    (みかん)

植田大使紹介資料集
ブリュッセルで評判を呼んでいるEU米国関係論(環大西洋関係)
By Nick Witney (英国国防省出身)and Jeremy Shapiro (the Brookings Institution)
Towards a post-American Europe: A Power Audit of EU-US Relations

http://ecfr.eu/content/entry/towards_a_post-american_europe_a_power_audit_of_eu-us_relations_shapir/

ハーグにおける共同宣言
http://www.deljpn.ec.europa.eu/relation/showpage_jp_relations.political.hague.php

小和田恒氏によるハーグ宣言見直しの提言(2001年)
The Japan-EU joint declaration and its significance towards the future
Studia Diplomatica, Vol. LV: 2002, n°1-2: Japan – EU cooperation: ten years after the Hague Declaration (Under de direction of Takako Ueta and Éric Remacle)

http://www.egmontinstitute.be/FR/SD-2000-2002.html

ファン・ロンパイ常任議長による2010年2月25日、欧州大学院College of Europe(ベルギー・ブルージュにある官僚養成機関)での政策演説では、EUの世界観、外交方針が述べられた
‘Europe’s role and place in the world’

http://www.coleurope.eu/news/1980

Photo: J. M. Barroso, European Parliament, 2009

Photo: J. M. Barroso, European Parliament, 2009

欧州議会は9月16日、欧州委員会のバローゾ委員長の再任を承認した。欧州委員長の2期連続就任は、1985年から10年間に渡り委員長を務めたドロール氏以来で、第11代委員長として歴史に残る快挙だ。

投票総数718のうち、賛成382、反対219、棄権117と、絶対多数で再任が決まり、「権限強化を勝ち取った」と予想以上の結果を語った。EU加盟国首脳は6月18日の欧州理事会で続投支持をすでに決定しており、他に候補者がいないことから事実上、バローゾ氏の信任投票だった。

2期目の5年間では、国際社会におけるEUの影響力を強化する新基本条約「リスボン条約」の早期発効を目指し、経済・金融危機からの「出口戦略」を探る。しかし10月2日のアイルランド国民投票で可決され、リスボン条約が発効されれば、新設される欧州理事会常任議長(“EU大統領”)の陰に隠れた存在になる可能性もある。

再任された日と同日に、総理大臣に就任した鳩山首相へは、「グローバリズムへの批判は同感であり、人間の尊厳を尊重するという価値観を持ったグローバリゼーションを形づくろうという点で東京とブリュッセルは共通の視点を持てる」とエールを送り、鳩山政権が温室効果ガス削減の中期目標を25%(EUは30%)と掲げていることを評価。また、戦略的パートナーとして、「EUと日本の関係を拡大、深化させるために力を合わせたい」と一層の協力を呼びかけた。(マイケル尊王寺)

行雲流水(個人ブログ)http://blog.goo.ne.jp/ajimayukuo/e/2a44a3abc56395d40a89dae1908cc43b

毎日新聞「鳩山政権、海外でも高い期待」http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090918ddm002010040000c.html

アイルランドと聞いて、何を思い浮かべますか?アイルランドでEU新基本条約(リスボン条約)へ国民の可否を再び問うというニュースを受けて先日、日本アイルランド協会によるアイルランド講座に行ってきました。

あまり知られていないことですが、アイルランドは、国民も中立国マインドを持っている国です。そのため、国際社会の中でも中立国としての立場でコミットしています。国連ミレニアム目標の取り組みについて、アメリカのシンクタンク“Center for Global Development”が2008年に行った調査(The Commitment to Development Index for Africa)の結果、ODA評価で世界第2位になりました。

7分野で評価していますが、中でも、援助や安全保障など、政府主導で行う分野の評価が相対的に高く、国としての強いメッセージが伝わってきます。国連中心主義をとるアイルランドの中立的姿勢は、安全保障理事会改革に関しての発言にもよく表れています。

最近の金融不況を受けて「EUの一員でよかった」と好意的に感じている国民が81%(朝日新聞より引用したアイリッシュタイムズ紙5月の世論調査)ですが、一方でEU統合が進む中、“中立国として独自性が保てるのか”という国民の懸念も聞かれます。

それを反映してか、経済・平和路線を掲げるシン・フェイン党が国内で躍進しています。軍事的な中立性を保ち、税制などの独自性も確保していく。この条件下で、EU新基本条約の批准を目指し秋に2度目の国民投票が行われる予定です。

90年代に“輝ける島”“ケルティック・タイガー”と呼ばれ、大きな経済成長を遂げたアイルランド。小国アイルランドがEUの中に埋没せず、自国のスタンスを維持していく今後を見て行きたいと思います。(くるみ)

リスボン条約についてのアイルランドの国民投票について
http://www.deljpn.ec.europa.eu/home/news_jp_newsobj2921.php

リスボン条約とアイルランド
http://mainichi.jp/select/world/news/20090620ddm007030018000c.html

チェコは、2009年上半期の議長国。2004年以降に加盟した国ではスロベニアに続いて2番目の議長国を務める。山積する国際問題についてEUを代表して調整しなければならないが、EU内ではリスボン条約を批准していない残り数カ国の一国であり、その去就が注目される。

写真クレジット: 大統領府のあるプラハ城 ©CzechTourism.com

写真クレジット:大統領府のあるプラハ城 ©CzechTourism.com

チェコが力を発揮できるのはどこか。冷戦時代は共産圏で、東方の近隣国との関係は、西欧の加盟国よりも深い。長年の加盟候補国トルコをはじめ、クロアチアなどバルカン諸国の加盟交渉をサポートする。ガス供給の再開をめぐってロシア、ウクライナ両首脳との間で対話がスムーズに行われたのは、EU議長国チェコがロシア語を介して行ったところも大きい。

一方で、前議長国のフランスと異なるのは大統領の立場。仏大統領は絶大な権限を持つが、チェコの大統領は政治的権限が限定される象徴的な元首。そうした条件にもかかわらず、クラウス大統領は環境問題などで、大胆で本質的な問いかけを忌憚なく行っている。その人柄が国民からも大きな支持を得ているからのようだ。(みかん)

議長国チェコの公式サイト(チェコ語・英語・フランス語)
http://www.eu2009.cz

クラウス大統領の個人ページ(著書「Blue, not Green Planet」について英語でも解説があります) http://www.vaclavklaus.cz/

日本でチェコ文化を発信するチェコ・センター(日本語)
www.czechcentres.cz/tokyo


自由で活発な発言を歓迎します。

ただし書き込みをする際には、以下の行為は禁じられております。
・差別的なコメント
・フォーラムを荒らすような行為
・スパムメッセージ

このフォーラムの内容は欧州連合としての見解を示したものではありません。

December 2017
M T W T F S S
« Jan    
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

Blog Stats

  • 284,321 hits

Top Clicks