こんなEU、あんなEU~日常に見るヨーロッパ | Life in the EU

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   文芸誌『すばる』の7月号に、フランスのノーベル賞受賞(2008年)作家、J・M・G・ル・クレジオが今回の大震災に関するメッセージ「荒ぶる神と人災を越えて―日本に寄せる期待―」を寄せている。編集部からの「日本の人々を励ます一文を書いてほしい」という依頼に応えたものだ。この文章では、こどもの頃から憧れてきた日本文化に対する思いを述べた後で、福島第一原発の事故について触れている。

   核エネルギーの危険性について、クレジオはこんな風に述べている。「チェルノブイリ事故の前年、あの原子力発電所は原子力技術が生んだ華として世間に紹介され、北米のさる物理学者、ラスムッセン教授という人ですが、ひとつの原子力発電所で事故が起こる危険は、ある町に隕石が降ってくる危険と同じぐらいに小さいと言明しました。日本は、模範的な勇気をふるって、この恐るべき状況に立ち向かっていますが、数カ月後にこの偉大な国民は、逆境のなかで孤独の重圧をひしひしと感じているかもしれないのです(中地義和訳)」。

   そして最後にクレジオは、黒澤明の作品『まあだだよ』を例に出して、その映画の中で、老教授が第二次世界大戦で焦土と化した東京で生き続けていこうとするときに、書物が希望となったように、世界の文化に寄与した日本文化(芸術、技術、文学、哲学など)が、日本再生の希望となると言っている。
   原発事故の出口が見えない状況だからこそ、私たちはこうした声にもっと真摯に耳を傾けるべきなのだろう。希望は常に文化の中にしかないような気がする。(ロニ蔵)

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