こんなEU、あんなEU~日常に見るヨーロッパ | Life in the EU

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今年、平泉(岩手県)と小笠原諸島(東京都)がユネスコの世界遺産に登録され、日本中が歓喜に沸いた。まさに、日本にとって「世界遺産YEAR」といっても過言ではないだろう。それを意識したわけでもないのだが、今年の夏、ベルギーにある世界遺産「ブルージュ歴史地区」を訪ねてみた。

ブルージュ歴史地区は、首都ブリュッセルの北西に位置し、特急で1時間ほどの距離にある。旧市街には運河が張り巡らされ、その周囲をギルドハウス(ベルギー特有のギザギザ屋根の建物)やゴシック建築の歴史的建造物が囲み、まるで中世にタイムスリップしたかのような錯覚を覚えるほどだ。

船上クルーズ。街歩きとはまた違った魅力を体験できる。

運河クルーズもさることながら、夜のブルージュはまた何とも感慨深い。雨に濡れた地面と霧がかった町並みが、その雰囲気をより一層引き立たせてくれる。
「街全体が美術館」と称される意味が分かるような気がする。

 ブルージュで有名なのが、ボビンレースと呼ばれるレース編み。北海につながる運河のおかげで、15世紀には織物産業による隆盛期を迎えた。その後、ブルージュは衰退の一途をたどるが、19世紀に以前の活気を取り戻し、今では国内外から観光客が訪れる魅力的な街に成長している。 

世界遺産に登録されると、街の景観が乱れ、本来の環境が破壊されてしまわないかと危惧してしまうが、こうやって注目を集めることでより一層素敵な土地へと成長できれば、世界遺産に登録される意義があると私は思う。いつか平泉と小笠原諸島へも足を運んでみたいものだ。(さくら)

夜のブルージュ。雨に濡れた街もまた趣がある。

[URL]
水の古都ブルージュ(ベルギー・フランダース政府観光局)
http://www.visitflanders.jp/what_to_do/travel/hitoritabi3/plan/brugge.html#plan1

Historic Centre of Brugge (UNESCOサイト)
http://whc.unesco.org/en/list/996

ひと月前に、長引くベルギーの組閣交渉について「組閣交渉の関係者がオランダ語・フランス語の言語対立問題に正面から取り組んでしまったことが『パンドラの箱』となってしまうか」という文を書いた(当該過去記事)。筆者はこれで組閣交渉がさらに長期化すると100パーセント予想していた。

ところが、なんとそれからまもなく組閣交渉の取りまとめ役のディ・ルポ(Elio Di Rupo)フランス語系社会党党首のイニシアティブの下、ブリュッセル・ハレ・フィルフォールデ(BHV)選挙区分割問題当該過去記事参照)が決着してしまった。
言語対立問題の代表格であるBHV選挙区分割問題は何十年来の「解決できない問題」であり、筆者がベルギーに住んでいた間も難攻不落ぶりを誇っていただけに、今回の決着のニュースを知ったときは、「え!解決したの?」と驚愕が何よりも先に来た。

今回BHV選挙区分割問題が決着したのは、同選挙区の分割を拒絶し続けてきたフランス語系政党側に対してオランダ語系政党が分割の「見返り」を提示し、それが仏語側に受け入れられたからである。組閣交渉での討議内容が一切非公開ということもあり、「見返り」の内容は上記の「決着報道」から半月以上たってから明らかになった。その内容は、フランス語系住民に十分に配慮したブリュッセル首都圏地域の改革などである。

今回の成功の理由は、組閣交渉の取りまとめ役がオランダ語系ではなくフランス語系政党の党首であったことである。過去の組閣交渉ではオランダ語系政党が主導権を握り、少数派のフランス語系政党が頑なな態度をとるのが典型パターンだった。今回、フランス語系社会党党首がイニシアティブをとったことで、フランス語側が主体的に問題に取り組んだのだった。

これに加え、「新フランドル同盟」というフランドル地域(オランダ語圏)最大の利益代表政党が、この夏に組閣交渉の場から去ったことが成功に結びついた。新フランドル同盟は今回(2010年6月)の連邦議会選挙で大勝したが、協議の進め方に抗議して新政権への不参加を表明した。このフランドル主義のハードライナー(強硬路線支持者)の退場により、オランダ語系とフランス語系双方の歩み寄りが実現しやすくなった。

言語対立問題という難題に一区切りをつけたディ・ルポ党首に残された最後の大仕事は、新政権の参加政党を決め、閣僚人事を行うことである。内閣不在期間は500日に届こうとしている。ベルギー有数の金融機関デクシアの解体に直面し、ベルギーの政治経済に強い不安を覚える国民も多いが、このタイミングで国民に強い期待感を抱かせることのできる新内閣が発足され、力強く船出することを願っている。
(じょきんぐまん)

酷暑だった今年の夏が終わり、“チョコレートの溶けない”季節が到来した!と喜んでいるところである。

ベルギーから帰国し、早くも1年半が過ぎようとしている。帰国直前に購入し、親戚・友人に配ったベルギー・チョコレートの余りが、我が家の食器棚にひっそりと身を潜めているのに気付いた。日本の暑い夏を2度生き延びたGaller(ガレー)のミニチョコバーたちだ(写真)。味ごと(全6種類)に異なる色の包み紙が非常に印象的だ。

ガレーはベルギー王室ご用達の由緒あるチョコレートメーカーである。それにも関わらず、ブリュッセル市内の多くのスーパーではミニチョコバーの“親玉”であるガレーの板チョコ(ミニチョコバーがそのまま巨大になった姿)が売られている。王室ご用達のチョコレートが近所で気軽に買えるところに、むしろベルギー人のチョコレートに対する自信と矜持が感じられる。

原稿を書きながら帰国前にひょんなこと(ブリュッセル市内の日本食材店内に貼った電子ピアノの売り広告を見て電話してきてくれた)で仲良くなったベルギー人夫妻・ファットミルさんからの餞別もガレーのビター・チョコレートだったことを思い出した。…秋が訪れ、少々感傷的になる。

ガレーのチョコレートは日本ではまだあまり知られていないかもしれないが、銀座・松坂屋などで買い求められるようだ。秋の夜長、読書の友にチョコレートはいかがだろうか。(じょぎんぐまん)

【リンク】
●Galler オフィシャルサイト(英語・オランダ語・フランス語版)
http://www.galler.com/index.php
●Galler  日本語サイト(ガレー・ジャパン)
http://www.galler.co.jp/index2.html

公の場の屋内喫煙に対する規制が厳しくなっているヨーロッパ。規制がないのは、もはやスロバキアとルーマニアだけで、緩いとされるドイツも州によっては厳しい規制がある。

ただし建物の外で吸うには問題がない。したがって法規制のある国では、オフィスで働くスモーカーたちは一服しに外に出なければならない。職場が高層ビルの上階ともなれば、エレベーターの上り下りも含めて、下手をすると10分はデスクを離れることにもなる。これを6回繰り返せば1時間。経営者にとっては頭の痛い問題だ。非喫煙者からは不公平だという声も上がる。

これに厳しく対処したのが、ベルギーのフランス語圏(一部ドイツ語圏)ワロン地域のお役所。ベルギーは隣のオランダやフランスに比べると法の規制が緩いのだが、8月から役所内の通達として、タバコを吸いに外に出る職員にタイムカードの刻印を義務付けたのだ。同国のフランス語夕刊紙「ル・ソワール」が報じた。

当然ながら、「コーヒーならいいのか? トイレが長くてもいいのか? 勤務中の私語のほうがよっぽど問題じゃないか!」とスモーカーからは激しい反発が巻き起こっているという。一方、非喫煙者は「不公平が解消された」と喜んでいるかというと、さにあらず。「これは管理と抑圧以外の何物でもない」と個人の自由の制限に懸念を示す。

ただし現時点では、実際にスモーカーがちゃんとタイムカードを押しているかチェックするまでには至っておらず、あくまで自己申告。こっそり吸って何食わぬ顔でデスクに戻る職員が多いようだ。(ル・ジュスティシエ)

9月8日~11日、東京・六本木でベルギービールウィークエンド2011が開催された。6月の大阪会場に続き、東京でもビールだけでなく、ベルギーの軽食や音楽ライブなど、同僚、友人同士、カップルや家族連れなど誰と行っても楽しめるイベントだ。

なんといっても目玉は10のカテゴリーに分けられた62種類のベルギー・ビール。産地や原料、製法、味の特徴、言われなど知れば知るほど、興味深い。修道院で醸造されていた時の製法を受け継ぐもの、今でも修道院の醸造所限定で作られるもの、農家で清涼飲料として製造されてきたもの、木苺やサクランボなどフルーツを使ったものなど。ただし、日本のビールよりアルコール度数の高いものが多いので、飲みすぎに御注意あれ(自戒を込めて)。

東京会場での4日間には、のべ2万1千人が訪れたそうだ。観光案内や雑貨・食品を扱うショップもあり、日本にいながらベルギーについて知るよい機会となった。この模様はベルギーのニュースでも放映された。日本各地で開催されるドイツビール祭・オクトーバーフェストのように、定着していく可能性大だ。  (みかん、写真も)

ビールを買うと各銘柄のコースターがもらえた。上から右回りに、「サンフーヤン ブロンド」、「ヴェデット・エクストラホワイト」、「パトラッシュ」、「レフ ブロンド」。

7月21日はベルギー国民の祝賀日である。今から180年前の1831年、ベルギー初代国王レオポルド一世が出来たてホヤホヤのベルギー国憲法の下で就任宣誓を行った。毎年この日には軍事パレードが行われ、盛大に祝われる。

この前日にはベルギー国王アルベール二世による毎年恒例のテレビ演説が行われる。しかし、今年の国王の演説はいつもと明らかに違った。
「この祝賀日に皆さんと新しい内閣(閣僚)の就任宣誓が聞けることを楽しみにしていた。残念ながら(組閣交渉は)まだ全然進んでいない。嘆かわしいことだ」と厳しい口調で述べたかと思うと、「政治家たちは妥協をしなきゃダメだ!」と1年以上も組閣交渉に手間取っている彼らに喝を入れた。

地元メディアは「国王は怒っている!」と驚き、隣国オランダでもこの様子がメディアで大きく取り上げられた。ベルギーでは昨年6月の総選挙の結果を反映した新内閣がいまだに誕生せず、内閣不在期間はついに400日を超えた。地元の識者によれば、公の場で国王がここまで怒ったのは初めてとのことだ。

新内閣が誕生しないのは言うまでもなく、主要政党間の組閣交渉が難航しているからである。その最大の原因はオランダ語話者(国民の約6割)、フランス語話者(同約4割)から構成されるベルギー(注)の抱える言語対立にあるのだが、それについては機会を見つけて書きたい。(じょぎんぐまん)

(注)ベルギー東部にドイツ語話者約7万人(フランス語とバイリンガル)が住んでいる。ベルギーの公用語はオランダ語、フランス語、ドイツ語。

関連記事
(1)ベルギー・オランダ語公営放送(VRT)ニュース
http://www.deredactie.be/cm/vrtnieuws/binnenland/110720_toespraak_koning

(2)ベルギー・フランス語公営放送(RTBF)ニュース
http://www.rtbf.be/info/belgique/detail_21-juillet-le-roi-hausse-le-ton?id=6481543

あまりの猛暑に吉祥寺にあるビール専門店に立ち寄ったら、面白いベルギービールに出会いました。アルコール度8%のブラウンエール「パトラッシュ」です。甘いのにすっきりした味わいで、最後の1本にちょうど良い感じです。ベルギーでパトラッシュといったら「フランダースの犬」だろうと、マスターに確認したところ、TVアニメの舞台になったアントワープ市近郊のホーボーゲン村にある醸造元のビールとのこと。

実は「フランダースの犬」はベルギーの地元では、あまり知られていなかったそうです。再評価されるようになったのは、海外からの観光客が少なかったアントワープ市のノートルダム大聖堂にある時期から多くの日本人が訪れるようになってから。日本人観光客のほとんどが教会に到着するとまず、「ルーベンスの絵はどこですか」と質問し、絵を見ながら泣き出してしまうそうです。少年ネロと愛犬のパトラッシュがルーベンスの絵に見守られながら静かに息を引き取るアニメ「フランダースの犬」のラストシーンを見たことのある日本人ならその行動も理解できますが、何も知らない現地の人々は衝撃を受けたに違いありません。

そんな訳で、アニメ「フランダースの犬」の存在がベルギーにも知られるようになり、ホーボーゲンにネロとパトラッシュの銅像が建つなど、日本人向け観光スポットが次々に誕生。地ビールの「パトラッシュ」も、2006年に発売されました。同じブランドの「ネロ」というビールもあるそうです。

ビールのラベルの絵柄は妙にリアルで、アニメ版のネロとパトラッシュとは全く似ていません。どんなに酔っぱらっても主題歌を歌いながら泣くようなことにはならないと思います。ただ、猛暑の中で一日働いた後は、つい最終回のセリフをつぶやきたくなります。「パトラッシュ、もう疲れたよ」。

「パトラッシュ」のラベル。飲み終わったビンからはがしたのでちょっとボロボロ。


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