こんなEU、あんなEU~日常に見るヨーロッパ | Life in the EU

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リトアニアが2004年に欧州連合(EU)に加盟する条件のひとつになったのが、ヴィサギナス市のイグナリナ原発の閉鎖であった。ここの原子炉は、チェルノブイリで事故を起こしたのと同じ黒鉛減速沸騰軽水圧力管(RBMK)型であったため、安全性が懸念されていた。2004年の第1号基に続き、第2号基も2009年に閉鎖。その後リトアニアは、同じ場所ヴィサギナスに新たに原子力発電所を建設する方針を打ち出していたが、7月14日、リトアニアのエネルギー省は、日本の日立製作所(米国GE合弁企業との連合)を戦略的投資企業に選んだと発表した。

リトアニアが原発建設を継続するのも、ロシアからのエネルギー供給に頼らずに、これまでのインフラ開発や安全性維持の経験を活かしながら、国内だけでなく、近隣国にも電力を供給できるとの考えがある。エストニア、ラトビア、ポーランドもパートナーとして本プロジェクトに参加している。

今回の建設には、プロジェクトの51%という負担額が大きすぎるため、フランス企業は応札しなかったようだ。韓国企業も最後になって手を引いた。米国のウェスティングハウス(東芝傘下)と日立の2社が残り、資金面で有利な提示をした日立が交渉優先権を獲得した。年末までに合意契約を結び、2020年末までに稼動を始めることを目標としている。

日立の提案では、新たな発電所の建設には、第3世代型の改良型沸騰水型原子炉(ABWR)も含まれている。一方で、隣国ロシアもカリーニングラード地域に、同じくベラルーシもリトアニアとの国境近くに原子力発電所の建設を進めており、エネルギー供給の競争は今後も続く模様だ。

リトアニアのエネルギー政策は、経済や環境の面からのみならず、地政学的な観点からも考え続ける必要があるようだ。日本企業と手を携え、地域の安定したエネルギー供給にリトアニアが役割を果たすことを期待したい。       

                                                                                                            (みかん)

地図
http://www.lonelyplanet.com/lithuania/eastern-and-southern-lithuania/visaginas-and-ignalina-nuclear-power-station

参考:チェルノブイリ原発事故の概要(JapanEcho.Net)
 http://japanecho.net/jp/disaster-data/1103/

【主な出典】
リトアニア共和国エネルギー省 
http://www.enmin.lt/en/news/detail.php?ID=1418

LiT News ( Nuclear news  17 June 2011)
 http://www.litnews.lt/litnews/news.htm

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  • In: Culture | movie
  • Comments Off on 桃井かおりが主演、ラトビア人が監督した映画『AMAYA』 Kaori Momoi Starring in the Lativian film AMAYA

EUフィルムデーズ2011でラトビア映画『AMAYA』を観た。といっても、ラトビアはラの字も出てこない。舞台は現代の香港で、中国人の夫と桃井かおり演じる日本人の妻雨夜の周りで起こるいくつかのエピソードが、英語、中国語、日本語で交錯した国際色豊かなストーリー。

世界のどこの国でもおこりそうな出会いと別れと再会。監督の出身国を強調することなく、逆に、ある人が感じることを今やユニバーサルに共感することができる、まさに時代はグローバルだということを感じさせる映画だった。

旅行者ポールは、雨夜の働くマッサージ店に講習を受けにやってくる。出身はヨーロッパだが「小さな国で誰も知らないよ」と語らない辺りがラトビアを連想させたが、母親との電話の会話が英語だったので英国に移住した家庭に育ったのかも、と想像が膨らむ。

このポールを演じたのはリトアニア人ミュージシャン・俳優・音楽プロデューサーのアンドリュス・マモントヴァス。恋人と別れてから世界を放浪してきた自由人、世界の人と通じ合えるものを持っている世界人の雰囲気を上手く表現していた。テーマは人類愛?自分らしく自由に生きたいと願いつつも、実際はそれぞれが複雑な思いを抱えている、そんなところに見応えを感じた。    (みかん)

 

2011年3月2日、外務省の招待で来日した、エストニア、ラトビア、リトアニアの科学技術政策担当者によるセミナーが日本科学技術振興機構と外務省の共催で開催され、「産学連携とイノベーション」がテーマとなった第2部を傍聴した。印象に残った各国の昨今の事情を紹介したい。

エストニア国内の研究投資を分野別に見ると、2009年は36%が情報通信分野に向けられ、主要産業であることが見て取れる。一方で、同分野への外国直接投資は2010年9月時点で3.3%のみ。エストニア政府は産学連携を推進し、より創造的な経済の創出を目的として、中小企業向けに1社当たり3,200ユーロ相当のヴァウチャー(券)を発行し、研究機関のサービスを利用するよう推奨している。2010年春の評価では、90%の参加企業が協力関係を継続したいと回答した。(テア・ダニロフ経済通信省経済開発局長の発表より)

ラトビアの技術革新には歴史がある。例えば、1937年に世界最小と発表されスパイカメラとも呼ばれたミノックスカメラはラトビアで開発されたもの。そして今日では、製薬会社と研究機関の連携などにより、過去5年間で270以上の特許が登録されている。そうした最先端分野の一つに挙げられるのは、MADARAの有機化粧品だ。国際有機認定基準「エコサート」を取得しており、日本でも入手できる。(ヤーニス・スタブルニエクス ラトビアン・テクノロジカル・センター所長の発表より)

リトアニアでは、研究基盤の拡充に重点を置き、GDPにおける研究開発費の比率を上げることを目標にしている。レーザーや光技術、バイオ技術、持続可能化学やバイオ薬学、アグロバイオテクノロジーや生物エネルギー、海洋環境などの研究拠点として、5カ所のバレー(研究都市)を発展させていく計画だ。日本企業との連携も歓迎するそうだ。(ネリヤ・プチナイテ教育科学省副大臣の発表より)
(みかん)

日本科学技術振興機構
http://www.jst.go.jp/

外務省
http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html

MADARA
http://www.madara-cosmetics.lv/intl/

MADARA取扱業者「WAYS SHOP」

優勝作品「世界はミツバチの巣、責任を持とう」と3人の彫刻家たち (C)さっぽろ雪まつり実行委員会

毎年多くの観光客で賑わうさっぽろ雪まつり。第38回目を迎えた2011年の国際雪像コンクールでリトアニアのチームが優勝した。リトアニアのチームは出場10回目、2回目の優勝だという。

雪像のテーマは、ミツバチだ。蜂は働き者のシンボルでもあるが、以前にこのEUフォーラムで紹介したように、リトアニアでは蜂は友情・仲間を象徴するもの。リトアニアの農民たちは昔から、蜂の社交性や勤勉さに注目していた。今回のミツバチと蜂の巣の雪像を通して、3人のリトアニア人彫刻家たちは、「社会人が責任感を持ち、助け合って生きていこう」というメッセージを投げかけた。

なお、彫刻家の一人、ケスチュティス・ラナウスカスさんは、西会津国際芸術村の第1回招聘者として、2004年から1年間日本に滞在したことがあるのだそう。今年札幌で、また別の交流が生まれ、そして仲間を作ったことだろう。(みかん)

さっぽろ雪まつり 第38回国際雪像コンクール
http://www.snowfes.com/place/contest/index.html

優勝作品「世界はミツバチの巣、責任を持とう」
http://www.snowfes.com/place/contest/contest-2.html#t10

西会津国際芸術村
http://www.nishiaizu-artvillage.com/

関連記事 「クリスマスに蜜蝋キャンドルを」
https://eueublog.wordpress.com/2010/12/28/candles/


リトアニアで美味しいものは、数え切れないほどある。どこの黒パンとも違う、しっとりとして味わい深い黒パン、用途の多いカッテージチーズやその他豊富なチーズ、ビールやハーブ酒、ハーブと一緒に燻したサバの燻製。ジャガイモや豚肉は日本の味とは全く異なる。そして蜂蜜も。スプレッドのように少し固めのものを黒パンに塗るなどしていただく。

リトアニアでは養蜂が盛ん。アウクシュタイティア国立公園には養蜂博物館もあって、各種巣箱や道具のほか、屋外では木製の彫刻で養蜂の歴史を紹介している。また、リトアニア語で、親友のことをBiteというが、これは「蜂」という意味。Biteという名前の携帯電話会社まである。

蜜蝋は、蜂蜜の巣を加熱・圧縮して作る。リトアニアでも蜜蝋が作られており、キャンドルを点すクリスマスには活躍する。ただ、火をつけてしまうには惜しいようなかわいらしい細工のろうそくも多い。これらはオンラインで日本でも手に入る。(みかん、写真も)

写真: 12月18日に、東京・中目黒でラトビアとリトアニアのクリスマス・イベントが開催された

主催:リガ・コレクション http://www.riga-gbs.com/index.html

ポエティックドキュメンタリー映画は、リトアニアの歴史の中で独自に確立されていった映画ジャンルである。ソビエト時代、映画製作もプロパガンダ的な内容でなければ抵抗とみなされた。その中で、リトアニア人は、一見叙情的な記録映画の中に、リトアニア人だからこそ理解できる抵抗を込めていた。

リトアニアの映画評論家ルータ・ノレイカイテは、詩的記録映画の草分け的存在であるロベルタス・ヴェルパ監督の作品は例えば、ソ連時代のリトアニア人を題材にしながらも、ソ連の体制が全く見えない形にすることで、リトアニア人はソ連併合前の時代を思い起こし、登場人物に精神的なつながりを感じさせている、と説明している。

こうしたドキュメンタリーは視覚的かつ詩的で、それを個人的に解釈することができる点が特徴的だ。静かに描かれる風景や時間は、時代からの逃避ではなく、彼らの主張なのだとノレイカイテは説明する。

リトアニアの独立回復後のポエティックドキュメンタリーは、再生を表現する手段の一つとしてさらに発展していく。1960年代から2000年代に制作されたこれら映画が、この夏駐日リトアニア大使館で上映される。リトアニアを知る貴重な機会となるだろう。

(みかん)

リトアニア映画の夏 ポエティックドキュメンタリー 1965-2003
第1回 6月18日(金) 19:00~
第2回 7月23日(金) 19:00~
第3回 8月20日(金) 19:00~
主催・会場:リトアニア共和国大使館 http://jp.mfa.lt/index.php?-1845048674定員:35名(入場無料、要予約) events@lithemb.or.jp

参考文献 
岡澤憲芙・村井誠人編著 『北欧世界のことばと文化』 成文堂
http://www.seibundoh.co.jp/shoten/search/014367.html

1日400~600人が訪れる観光地となっているリトアニアのジェマイティヤ地域マズーチャイの日本庭園は、日本の専門家により今も造園が続いている。この築園の発起人であるシャルーナス・カスマウスカス氏がこのほど初来日し、駐日リトアニア大使館でプレゼンテーションを行った。

日本庭園造りは、日本で修行を積んだリトアニア青年の庭園を知り、交流が始まったことがきっかけだった。完成しているのは全体の10~12%程度だが、それでも庭園の植物を見たり、悪天候でも働く勤勉な日本人の姿を見たい、と訪問者が後を絶たない。また、不景気の中、ショッピングセンターに買い物に行くのではなく、庭園で心静かに過ごしたいと訪れる若い家族も。

リトアニアには6,000もの島があると言われるが、この庭園が一つの日本と言う島になればよいとカスマウスカス氏は考えている。日本庭園には多くの石を必要とするが、同国に山がなく国内で採れる石は少ない。だが、マズーチャイは比較的石が多い地域であり、すでに1万トンを集めたという。

本業は医師であるカスマウスカス氏は病気の治療についても投薬より、自然の治癒力を信じる人。その彼から見ると、ここではポジティブなエネルギーが確認されており、石があることでより強いエネルギーを発散するのだとか。つまり病気の人々を癒す力がある。リトアニアは、欧州でもキリスト教を取り入れたのが最も遅く、13-14世紀までは原始宗教が主。国民は、自然信仰のあった日本に精神面での共通点を見出し、この庭園に親しみを感じているのだろう。(みかん)

「歌う石の谷 マズーチャイ」 - パートナーシップ庭園 
http://www.japangarden.lt/index.php?lang=3

「素晴らしいバルト旅行」プロジェクト(英語)
http://www.greatbaltic.eu/en/home.html


自由で活発な発言を歓迎します。

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このフォーラムの内容は欧州連合としての見解を示したものではありません。

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