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“故郷”がテーマだったウイーン舞台作品の縁で「寅さん公園」Park in Vienna Named After Japanese Film Character
Posted 2009/10/26
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国民的な映画「男はつらいよ」計48作のシリーズ中、どのシーンがいちばん印象的だったかということが仲間うちで話題になるときがある。ほぼ全作品を見ているが、小生にとっては、1971年正月に封切された第6作目「純情篇」の中で、旅に出るフーテンの寅と妹さくらが京成柴又駅で別れるシーンがもっとも印象に残る。
電車に乗り込んだ寅がプラットホーム上のさくらに向かって「故郷ってやつはよー、なあ、さくら」と言いかけたとたんドアが閉まり、そのあと寅は何かを言っているが、さくらには聞き取れない。「お兄ちゃん、何言いたいの」と言っても、電車は離れて行くだけ。非常に思わせぶりな情景だ。
故郷、郷愁をテーマにしたシーンは、舞台をウイーンにした第41作の「寅次郎の旅路」にも出て来る。初めて寅さんが海外に行ったという設定で、寅さんがマドンナ役の竹下景子に向かって切々と故郷の良さを説明するところは、長く海外生活を送った者たちにとってはジーンと胸に迫ってくるものがある。
そのウイーン現地ロケを記念して、市内フロリズドルフ区のドナウ河畔に、寅さんの石碑や日本庭園が設けられた「寅さん公園」が完成。9月28日、日本とオーストリアの関係者が出席して開園式が行われた。
ウイーンロケが実現したのは、もともと親日家だった故ウイーン市長が飛行機の中で寅さんの映画を見て感動、「ぜひウイーンを舞台に」と強く誘致したためだと言われる。それにこたえて初の海外舞台作品は上質に仕上がり、なんと寅さんの故郷、柴又のある東京都葛飾区とフロリズドルフ区は友好都市になるおまけまで付いた。
寅さんとマドンナの会話の舞台がドナウ河畔であり、あたかも柴又近くの江戸川べりでの会話を彷彿させ、本当に郷愁を誘うところがいい。江戸川が、ワルツにもなった天下の国際河川・ドナウ河と比肩されるとしたら、寅さんも草葉の陰で喜んでいるに違いない。(日暮らし)
読売新聞記事
http://www.yomiuri.co.jp/photonews/photo.htm?ge=1&id=14336
男はつらいよ・寅次郎心の旅路
http://www.h6.dion.ne.jp/~yumejian/tora041.htm